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2015年07月11日

TAP

失語症患者の呼称訓練において
ほぼ必ずといって良い程
認められるのが「保続(ほぞく)」症状です。

これは特定の動作・言語・思考を
繰り返してしまう事を指し、言語面においては
会話の成立に困難が生じます。

実はこの保続、軽減させる訓練方法が
あるのです。有資格者の方にとっては既知の
ものですが、Helm-Estabrookら(2004)
によって提唱されたタイトルである

TAP
(=Treament for aphasic perseveration)



この訓練方法は正確には、
ボストン失語症検査(以下:BDAE)
の呼称課題から、各カテゴリーの正答率、
反応時間、保続出現率を算出し、
カテゴリー別に難易度決定〜優しい
ものから実施する手続きを踏みます。

しかし臨床では実際SLTAはあっても
BDAEが無い施設は非常に多いと思います。
私の施設も勿論置いてないです(苦笑)。
ですので、ここでは考え方を中心に
紹介できればと思います。


【対象・目的】
 ⇒中等度〜重度の呼称障害を
  持つ患者に保続症状を自覚させ、
  抑制して正反応を促通する。


【方法】
 ⇒常に時間を確認しながら、
  刺激毎に5〜10秒の休止を取る。
 ⇒必要に応じて休止時に会話を取り入れ、
  注意の転換を図る。
 ⇒非言語課題(構成課題etc)or
  患者に適したヒント(ジェスチャー、描画etc)
  の実施を与える。
 ⇒保続出現時に患者自身に
  自分の状態を認識させる。


【保続出現頻度に影響を与える条件】
◎課題特性
 ⇒復唱<呼称で出現。
◎課題順序
 ⇒類似した課題の連続で出現。
◎課題呈示速度
 ⇒早いほど出現。
◎頻度語の差異
 ⇒低いほど出現。
◎意味的・音韻の類似性
 ⇒高いほど出現。


以上、個人的に保続を患者に
認識させるというのがセラピストの
技量が試される過程だと思います。

刺激の入れ方によっては
負のフィードバックになりますし、
コミュニケーション意欲自体を
減退しかねません。

手技としての改善効果を意識しつつ、
言語コミュニケーションのみに
固執しすぎない、敢えて難易度の
低い課題を入れて機能再編の促し、
成功感を適度に与える
といった様々な配慮もやはり必要ですね。
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