根来寺(根來寺、ねごろじ/ ねごろでら)は、和歌山県岩出市にある新義真言宗の総本山の寺院。山号は一乗山。本尊は大日如来・金剛薩埵・尊勝仏頂の三尊。開山は覚鑁(興教大師)。詳しくは一乗山大伝法院根来寺と称する。
歴史
平安時代後期の高野山の僧・覚鑁が、1130年(大治5年)に高野山内に小伝法院を創建したことに始まる。1131年(天承元年)、鳥羽上皇により勅願所とされたのを機に、院号を大伝法院と改めた。
1134年(長承3年)に覚鑁は金剛峯寺座主に就任し、高野山全体を統轄する強大な勢力をもつに至る。覚鑁は当時堕落していた高野山の信仰を建て直し、宗祖・空海の教義を復興しようと努めたが、高野山内の衆徒はこれに反発し、覚鑁一門と反対派は対立しあうようになった。
1140年(保延6年)には、覚鑁の住房・密厳院を含む覚鑁一門の寺院が高野山内の反対勢力により焼き討ちされるという事件(錐もみの乱)が発生し、覚鑁一門は高野山を下りて大伝法院の荘園の一つである弘田荘内にあった豊福寺(ぶふくじ)に拠点を移した。さらに新たに円明寺を建てて伝法会道場とする。こうして豊福寺・円明寺を中心として院家が建てられ、一山総称としての根来寺が形成される。覚鑁は1144年1月18日(康治2年12月12日)、49歳のとき円明寺で没する。それから1世紀以上後の1288年(正応元年)、大伝法院の学頭であった頼瑜は大伝法院の寺籍を根来寺に移し、この頃から大伝法院の本拠地は高野山から根来寺に移った。
文化財
国宝
大塔
重要文化財
大師堂 附:厨子及び須弥壇
根来寺(建造物)6棟
大伝法堂 附:棟札2枚、板札4枚
光明真言殿
大門
不動堂 附:厨子
行者堂
聖天堂 附:板札4枚
木造大日如来坐像・金剛薩埵坐像・尊勝仏頂坐像 - 大伝法堂に三尊として、中央に大日如来、左方(向かって右)に金剛薩埵(こんごうさった)、右方(向かって左)に尊勝仏頂を安置する。像高は順に350センチメートル、343センチメートル、335センチメートル。建物は江戸時代後期の再建だが、これらの三尊像は秀吉の焼き討ちをまぬがれたもので、大日如来像及び金剛薩埵像内の墨書から1387年(嘉慶元年)から1405年(応永12年)にかけての制作と判明する。仏像彫刻衰退期の室町時代における佳作と評価されている。大日如来、金剛薩埵、尊勝仏頂の三尊の組み合わせは珍しく、中でも尊勝仏頂は彫像としては稀有の遺品である。この三尊の組み合わせは、覚鑁が高野山に建立した大伝法院にすでにあったことが知られ、彼独自の教義解釈による組み合わせと思われる。
絹本著色鳥羽天皇像 - 平成27年9月4日指定。
交通アクセス
JR西日本和歌山線岩出駅から
和歌山バス那賀
樽井駅前・りんくうタウン駅前行きに乗車。 ※近畿大学を経由する便は根来寺停留所下車すぐ、しない便の場合は岩出図書館停留所下車のち東へ徒歩1.2キロメートル。
岩出市巡回バス
東巡回(船戸・根来)コースに乗車。根来寺停留所下車すぐ。 ※1日4往復のみ。
南海本線樽井駅・JR西日本阪和線和泉砂川駅から
和歌山バス那賀
岩出駅前行きに乗車。 ※近畿大学を経由する便は根来寺停留所下車すぐ、しない便の場合は岩出図書館停留所下車のち東へ徒歩1.2キロメートル。
入山料
大塔エリア・光明殿エリアは有料(大人500円他)、大門エリア・ 不動堂エリアは無料。
所在地 和歌山県岩出市根来2286
位置 北緯34度17分14秒 東経135度19分0秒
山号 一乗山
院号 大伝法院
宗派 新義真言宗
寺格 総本山
本尊 大日如来金剛薩埵尊勝仏頂
創建年 1130年(大治5年)
開山 覚鑁(興教大師)
正式名 一乗山 大伝法院 根来寺
札所等
真言宗十八本山第17番
近畿三十六不動尊霊場第34番
紀伊之国十三仏霊場第1番
役行者霊蹟札所
神仏霊場巡拝の道第9番(和歌山第9番)
文化財
大塔(国宝)
大日如来坐像・金剛薩埵坐像・尊勝仏頂坐像、大師堂、大伝法堂ほか(重要文化財)
根来寺境内(国の史跡)
根来寺庭園(国の名勝)