2019年03月12日
二極化する競合の財務諸表分析
コンサルティング・ファームの価値提供の一つに、リサーチはまだ存在している。
だが、昔とは違って、オンライン上で取得できるデータベースが発達し、誰でもできる、価値の薄くなったリサーチもある。
競合財務諸表分析である。例えば、業界分析をするとき上場企業のIRから財務諸表を取ってきて、比較表を作ることがある。
そんなときは、たとえばここのデータにアクセスすれば、数秒でエクセルの一覧表がダウンロードできる。
ユーザベース社 SPEEDA
http://www.uzabase.com/speeda/
公式サイトをみたら、現時点で600以上の企業・団体に導入とある。
コンサルティング・ファームだけでなく、大手の企業はすでにみんな、同じデータベースへのアクセスをもっているのだ。
エクセル慣れしたコンサルティング・ファームにかかれば、ダウンロードしたデータから、比較表を整理してパワーポイントを書く作業には数時間もかからない。もはや、もたもたしていると怒られる、価値がでなくなってしまったリサーチだ。
しかし一方、競合調査で、競合の財務諸表が推定できないか? という悩みは今もある。分析ではなく、推定というところがポイント。
企業がどんどんホールディングス化される中で、企業単体のPLが公表されなくなっているのである。
あるいは、企業単体の財務諸表は公表されているが、企業の経営そのものが多角化しているために、特定セグメントのコスト構造が分からない、という話もある。
これは正確な数字については調査しようのないことがほとんど。業界に詳しい方にインタビューを繰り返し推定する方法がなくもないが、そこまで細かいことは分からないことが多い中、リサーチとしては相当に高くつく。
全体として、競合の財務諸表分析の難易度は上がっている。そんな印象である。
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