b.それ、誰っすか、
a.京都にいたころ、臨時入社してた若い女性の派遣社員なんやけど、恐ろしく無口でなあ、こっちが心配になるほど、
b.無口が原因で辞めたんすか、
a.いや、会社が猛烈に忙しくなって、それが収まるまでの臨時雇用だった、
b.好きだったんすか、
a.いやそうじゃなくて、お父さん目線ていうか、あまりに内気な子なんで、なんかそばで見ててハラハラしてなあ、ベテラン社員のオバチャンに話題振られても、全然しゃべんねえし、しまいに喧嘩売ってるような雰囲気になるし、そのあと近所のスーパーでレジ打ちやってたって、ウワサだけど、何となく気がかりなんだなあ、うまくやれてんのかなあ、
b.やっぱり好きだったんちゃいますか、
a.どっちでもエエわ、それより何でこんな話してるんや、
b.きのうはJRびわこ線の小さな駅「篠原」から自転車でわずか1500メートルしか走ってませんけど、どうするんすか、これから、
a.思い出した、そこから吉川緑地へ行きたいんじゃ、それで吉川君思い出したんや、
b.吉川つながりか、しかし、聞かない名前っすね、
a.「正式名を湖岸緑地中主(チュウズ)吉川地区」、平成13年から少しずつ整備されて、やっと目鼻立ちがついてまだ2〜3年くらいか、
b.お気に入りなんすか、
a.何にも無いっちゃ何にもないんだけど、なんか良いんだなあ、手を加えすぎず、昔の川筋を残して当時の面影もあるし、トイレもベンチもきれいだし、何よりヒト少ないし、
b.ヒト多いのダメなんすか、
a.ダメなんす、子供や学生やオバチャン、ワイワイ騒いでんの苦手なんす、iPodで耳ふさいで死んだフリっす、
b.よっぽど苦手なんやなあ、
a.ところで、話ちがうけど近江太郎って、知ってる?
b.議員のようやなあ、土建屋上がりで馬力やたらあって、良いことも悪いことも平気でやっちゃうような、清濁合わせ飲む人物、県会議員「近江太郎」、
a.キャラ的にはそれで合ってるけど、じっさいは川の名じゃ、ウェブで調べたらすぐ分かる、
b.なになに、関東の利根川が「板東(バンドウ)太郎」、これに対して関西の野洲川は「近江太郎」って呼ばれるか、
a.戦前まで手のつけられない暴れ川だった近江太郎こと、野洲川、戦後は、大々的に人の手が加えられて、今じゃ好好爺(コウコウヤ)、
b.好好爺って?
a.やさしいオジイサン、
b.しかし、この野洲川と吉川緑地公園だっけ、どういう関係なんすか、
a.近江太郎が好好爺になったんで、これを機会にと、むかし暴れたころの河川跡を公園にしようってことで、そのひとつがこの吉川緑地、
b.琵琶湖大橋のそばにも河川跡あるけど、ここもやはり公園か、
a.こっちの方が早く着工してて、広大な敷地なんで、公園もいくつかに分かれてて、そのどれもが素晴らしい、吉川同様、手を入れ過ぎない良さ、ほんとセンス良いわ、この辺の公園、
b.自転車ならなお楽しめると、
a.河川跡の公園はどれも、クルマで来られるように駐車場が完備されてるけど、これらの公園をハシゴしたり、ちょっと足のばして、琵琶湖大橋のてっぺんから眺めを楽しんだり、対岸の道の駅や浮御堂で遊んだり、これには自転車が最高の移動手段、渋滞もないしね、
b.クルマじゃ橋のうえ停まれないし、これだけの距離、歩くとなったら大変だ、
a.ああ、こんな話してたら行きたくなってきたなあ、オレも行こかなあ、でも岡山からじゃ往復かかるしなあ、日帰りじゃ切ないし、失業保険暮らしだからなあ、
b.というわけで、お近くに住んでおられる皆さん、幸せはすぐそこにあると、そういうことらしいっす、
野洲川物語―流域住民の永年の悲願、近江太郎「野洲川」の鎮静。ここで繰り広げられた男達の葛藤。 新品価格 |
赤い押しピンが吉川緑地です。
他にも名所旧跡など美味しい場所をマークしましたので、サイクリングの参考になさって下さい。
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