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2013年05月23日

城下町はずれも楽し赤穂かな


より大きな地図で 長谷川峠〜大津川あたり を表示

b.557号線の峠をひたすら下って、残すは赤穂の城下町のみとなりましたが、

a.とは言っても、城下まではまだ距離を残すエリア、ここはここで城下町とちがった魅力があるんで、そのあたりを探りながら例によって迂回旅じゃ、

b.どんな魅力ですか、

a.峠を越えてすぐ感じることだけど、とにかく明るい、これは瀬戸内海に面した町すべてに言える事だろうけど、

b.海が近いと明るいか、そりゃ日影無いすもんね、海には、

a.特に光が少ない冬場は驚くほど明るくて、ココロまでそうなる、

b.ココロまでそうなるんすか、

a.そうココロまで、明るく暖かくなるんだ、寒けりゃ寒いほど、

b.やはり瀬戸内海は良いっすね、

a.琵琶湖も良いけど、また違った魅力があるなあ、何やろ、この魅力、

b.とはいえ、瀬戸内海はまだ数キロ先、どうします?

a.先ほどの峠から流れ出たこの大津川にそって進むことにしよう、

大津川上流

大津川下流

b.貝かエビか居るのかなあ、おじさんおばさん、川で何か採ってますよ、

a.夕飯のおかずになんのかなあ、ここで一句「家の前、川砂掘れば食卓へ」、

b.なんか、ワイルド&便利だなあ、買ったらけっこうするやろうし、

a.ところで、ここ大津川流域も全国の地方都市同様、丘を造成して新しい宅地が高台に集まり、歴史的集落と田園がそれを取り囲むかたち、

b.道路もそれに合わせて新旧ふた通りありますね、昔ながらのうねうねした細い道と、クルマが楽に走れる広くてまっすぐな道、

a.海岸線が近づくにつれて、家も道路も窮屈なスペースへぎゅっと押し込まれるようになって走りづらくなってきた、

b.そろそろ渡りますか、クルマだらけの幹線道路、

a.そうだな、ここで降参、道を渡って、しかし、正面に良さそうな細道があるではないか、

b.いかにも行き止まりの気配が漂っておりますが、

a.行ってみよう、きっと良いことが待ってるはずだ、こちとらチャリンコでい、

b.おお、瀬戸内海とおぼしき物が見えて参りました、

a.もうちょっと、感動無いのか、やっとこさ山越えてたどりついたってのに、

b.しかし、これはまだ、海というか、

a.なるほど、これじゃ無理もない、まだ感動するにはちと早いようじゃな、

b.JR赤穂線の鉄橋やセメント工場の煙突が並んで、海というにはちょっと、

大津川河口にかかるJR赤穂線の鉄橋

a.そうやなあ、でも、海の気配は濃厚でござるな、

b.そうっすね、この分厚いコンクリート堤防も高潮対策か、ずいぶん背が高いし、漁に出る船もちらほら、

a.ここからだと、工場にブロックされて海岸に出るのは不可能だし、とりあえず塩屋公園に立ち寄って仕切り直しじゃ、

塩屋公園

b.いかにも塩の町、赤穂らしい名前の公園や、

a.赤穂に何度か立ち寄るにつれて分かったけど、公園がたくさんあるんだ、特に戦後の新しい町並にステキな公園がさりげなく作られてて、ちょっとうらやましい、

b.なんでうらやましいんすか、

a.心が豊かになるから・・・家がびっしり建てこんでるより、ちょっと公共のスペースが確保されてるとホッとするやんか、

b.なるほど、ベンチでジイちゃんバアちゃん笑ってたり、とか、

a.中学生のアベックが並んでブランコこいでたり、とか、ええやろ、そういうの、自分とは関係ないけど、町の風景として、

b.そうっすね、なんか映画のワンシーンで使えますねえ、新しい町に新しい公園、

a.そして新しい恋の始まりか、しかし、恋をしてないなあ、ここんとこ、

b.もう50も半ばにさしかかるとダメなんすかねえ、色々と、

a.いやいや、そんな事はないはず、でも今はマルちゃんみたいな猫ニャンと暮らしたいなあ、

b.猫の娘さん亡くしてもう3年ですもんね、そろそろ玉(=お宝)のような猫ニャンがどっからかやって来るころかも・・・






2013年05月22日

赤穂城下へわざわざ峠道で


より大きな地図で 長谷川峠 を表示

b.今日の道筋は?

a.千種川と分かれて、国道2号線を左に見ながら西へ進み、途中で長谷川にそって左折して南へ向きを変え峠道に入る、

b.どれくらい登るんすか、

a.海抜30mから始めて、峠のてっぺんは210mだから180mほど、

b.きついっすね、

a.いやそりゃきついと言えばきついけど、スピード出したり重いギア踏み込んだりするわけじゃないし、峠道としては坂も穏やかなほうだ、

b.じゃあ、行きますか、

a.そうしよう、

b.さすがに国道2号線はクルマ、ビュンビュンすね、

a.クルマ、ビュンビュンやなあ、それに長距離トラック用のドライブインが充実してるのも印象的だなあ、さすが西日本の大動脈、

b.デカいトレーラーやトラックが何台も並んで独特の雰囲気だなあ、平成の宿場だ、

a.でも江戸時代は俺らが流してる、のどかなこの道が国道だったんだろうなあ、


大円寺

b.道すがら大小の神社や寺院がつぎつぎに登場します、

a.この道それ自体も、何気ないカーブに味があるだろう、

b.長い歴史の中で自然にこんなカーブがついたんだろなあ、時速20キロ前後でのんびりこいでると、ほんま心地良いっすね、ココロが飽きないっていうか、

a.こんなのどかな道が永遠に続くんなら馬の鞍と交換しても良いかな、と思ったあたりで、しかしこれも国道2号線に合流して、海抜100mの鯰(ナマズ)峠へ、

b.なんで鯰(ナマズ)なのか、ウェブ調べでも分かりましぇん、

a.われわれは、鯰峠の手前で左折して長谷川ぞいを進もう、

b.国道からほんの100m入っただけなのに急に静けさが、そして左右から徐々に山が谷を狭(セバ)めて近づいてくる、

横山橋

a.さっきから「ゆらのすけ」ってバス停がちょくちょく出てくるなあ、

b.赤穂市のコミュニティーバスで、ちゃんと名前の由来も書いてありますわ、「ゆ」、ゆったり31人乗り、「ら」、らくらく外出をお手伝い!、「の」、ノンステップで乗りやすい!「す」、すみからすみまで赤穂を走る!、「け」、経済的、100円もって出かけよう!

a.忠臣蔵の「大星由良之助」と、バスのゆらゆら揺れる感じを掛けてるのか、この長谷川あたりは毎週月木の運行、しかし一律100円とは強気な商売やな、

b.しかも、救急用にAEDも備え付けてありやすぜ、バスのペーパークラフトもダウンロードできるし、

a.やるな赤穂市、ところで、我々は長谷川づたいにゆる坂を登ってきたんだが、

b.「ゆらのすけ」が最後に停車する横山バス停から
、流れが左右に分かれますが、

a.右手に行くと、有年大池あたりから「あこう河鹿の森」ハイキングコースになって400mほどの山登りが待ってる、

b.じゃあ我々は左っすね、

a.ここからようやく峠らしい山坂道が始まる、

b.ここもあちこち不法投棄の粗大ゴミが目立ちますね、

a.ああ、これもしかし、努力の甲斐あってだいぶ沈静化してるなあ、見かけはするけど前ほどひどくないような、

b.川の流れも細くなって、せせらぎの音もずいぶん下から聞こえてくる、それだけ登ったってことか、

a.しまいにそのせせらぎも聞こえなくなってくると、いよいよ峠はすぐそこ、

b.やはり峠が近づくとワクワクしますね、

a.峠の向こうに何があるか分かっててもワクワクする、なんでやろ、

b.もう漕がなくても良いからじゃないすか、

a.空気感もガラリと変わるしな、おやつ食べてもいいしな、まあいつ食べても良いけど、

b.しかし、ヒト来ませんねえ、

a.ハイキングのヒトは先ほどの「河鹿(カジカ)の森」から登るだろうし、自転車はふつう有年方面からだと千種川ぞいに赤穂の町中へ入るだろうし、クルマもこんな道ドライブしづらいし、

b.峠をすぎてしばらく下ると、ふもとの池と新幹線らしき線路が遠くに見えてきました、200mといってもけっこう高く感じるなあ、それにこっちの下り坂の方がけっこうきついっすね、



a.坂が急だから実際より高く感じるんやろ、両脇から山がせまって深いV字谷やし、

b.じゃあ今夜はこのあたりで野宿にしますか、

a.それだけはイヤじゃ、安旅館でいいから赤穂の城下で1泊さしちくり、

b.それもそうっすね、赤穂名物「塩味饅頭(しおみまんじゅう)」もあることだし、

a.濃いめの緑茶といっしょに、チビチビかじりてえなあ、塩味まんじゅう、

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感想(5件)






2013年05月21日

秘密の抜け道で赤穂市へ

a.吉幾三さん1984年の大ヒット曲「オラ、東京さ行ぐだ」じゃないけど、たしかに「クルマはそれほど走ってねえ」、

b.吉幾三さんといえば、最近じゃワークマンのCMが有名すね、



a.「この町で暮らそ〜、みんな住む町で〜、行こうみんなでワークマン!」、京都もずいぶん南のはずれに1軒あったけど、岡山じゃまだ見かけないなあ、

b.信じられないほど軍手の安い店、

a.女性が非常に入りづらい店、

b.入っても実用品ばかりでココロがときめかない店、
なんか悪口ばっかりですんません、

a.でもまあ、労働現場の実用品中心だから仕方ないか、でも何度か入ったけど、ズボンのベルトに通す小物入れなんか、ホームセンターよりデザインもサイズも豊富で便利だったぞ、

b.そんなの使ってましたっけ、

a.自転車のハンドルに取り付けて、鼻紙ホルダーに使うんだ、冬は寒さで春は花粉で鼻水止まらないから、ワークマンの小物入れに抗菌ハンドタオル突っ込んで、片手で鼻かみながら走るんだ、

b.いろいろあるんすね、自転車乗りにもそれなりの工夫が、

a.プロの自転車乗りになると、こぎながら手鼻を上手にかむんだけど、どうしても出来ないんだ、オレには、

b.手鼻って?

a.鼻を片方ふさいで、道ばたにチンッって鼻水を吹きとばすんだ、下手すると風で自分に舞い戻るという、きわめて危険なワザ、よい子は決してマネしないでね、

b.プロ選手も色々と苦労あるんすね、

a.で、すっかり話がそれちゃったけど、今我々が居るのは兵庫県上郡町の田園、これから、千種川(チグサガワ)にそってこの町を出て、赤穂市へ向かうことにしよう、

b.お、先ほどの安室川にまた出て来ましたぜ、親方、

a.これもクルマが来ない川ぞいをのんびり流そう、

b.あれ、結局、出発したJR上郡駅の反対側にトオチャコ、

ホタルの欄干

a.ホタル舞う安室川がすぐそば流れるから、こっち側には改札無いのか、

b.だけど、散歩に最適の良い道ですねえ、ほとんど舗装されてるし、喫茶店までのんびりしてら、こんなとこでやってけんのかなあ、

a.川向かいに総合体育館あるから、けっこう団体さんで入店とかあんのかなあ、ママさんバレーとか練習帰りに、

上郡町立総合体育館

b.上郡中央公園っていうのか、野球場もあるし、テニスコートもあるような、どっからか歓声が聞こえてくる、

a.桜並木にそってゆるく左へ蛇行して、このまま千種川へ合流、

b.橋わたるんすか、5号線の、

a.いや、このまま右岸をなぞって行けることが前回の調査で判明したのだ、

b.でも、これ河原の石、ゴロゴロしてまっせ、

a.それでも行けるのだ、クルマは無理やけど、ほら、カブに乗ったオジサンが今通ってったろう、行けるんや、これ、地元の人のみぞ知る秘密の抜け道、

b.コンクリートの堤防っすね、この上を走るわけか、

a.安室川が千種川に合流する最終エリア、この堤防の右が安室川、左が千種川でござる、



b.雨が多い日は水没するんでしょうねえ、この道ごと、ていうか堤防ごと、

a.流されてきた丸太や材木が、河原の木に引っかかって、そのまんまなんだぜ、ワイルドだろ〜、

b.これが杉の丸太だったら、それこそ「ワイルド杉チャン」すね、

a.以前ほど出てこなくなったけど、芸能界やってけんのかなあ、バイトしないでも、

b.しかし、地元住民御用達(ゴヨウタシ)のワイルドな抜け道ぬけると、ほっとしますね、ふつうの道がいいや、やっぱり、

a.下手したら堤防からチャリごと川に落っこって、そのまま赤穂御崎まで行っちゃうんだぜ、ワイルドだろ〜、



b.そんでもって、ずっとまた千種川ぞいでいいんすか、

a.そう、橋わたらんと右岸をずっと南下すればよい、

b.ところで右岸左岸ってどっち向きで言うんすか、

a.下流に向かって右が右岸、左が左岸、で良いはず、学校で教わらなかったけど、

b.ありやしたぜ、親方、「みんなで作る土木用語辞典」ってサイトに、

a.じゃあこれでいいんだな、よかった、

b.ところで、知らんまに赤穂市に入ってました、

a.赤穂市に入って最初のエリア、難読地名やなあ、「有年」と書いて「うね」と読むのか、

b.「上郡」と「相生」の間にある駅も「有年」と書いて「うね」と読むっす、

a.昭和そのものといった素朴な駅舎が魅力的なJR有年駅、まもなくリニューアルするんで、見るなら今のうちだぞ、興味ないか、

昭和の駅舎だぜ〜レトロだろ〜

b.でも、われわれは、

a.そっちとは逆方向なのだ、

b.この千種川にそって走れば楽に赤穂御崎へ行けんのに、なんで遠回りしてわざわざきつい山坂道を選ぶかねえ、

a.いつの頃からか、峠バカになったんでしょうがない、そこはこらえちくりぃ、すこし道路に高低差ないと生きてる感じがしないんや、

b.まあそこまで言うんやったら付き合いますけど・・・


より大きな地図で 上郡町から千種川ぞいに赤穂市へ を表示


2013年05月20日

JR上郡駅からのろのろスタート


より大きな地図で JR上郡駅前から船坂地区 を表示

a.「相生行き上り普通電車、次は上郡、上郡駅にトウチャコします」、

b.トオチャコなんて言いませんよJRの車掌さん、

a.まあそこはエエじゃないか、そう言ってほしいんや、

b.なんて読むんすか、「上郡」音読みなら「ジョウグン」、

a.「かみごおり」と発音してくれたまえ、

b.小さな駅っすね、

a.兵庫県も西の端だからな、のんびりしてる、でも不思議ともう播磨(ハリマ)の雰囲気なんだな、これが、備前じゃなくて、

b.なにが違うんすか、備前と播磨、

a.岡山県と兵庫県の県境に船坂峠があって、国道2号線もJR山陽本線も長いトンネルに入るんだけど、きっとここで空気が入れ替わるんやろな、

b.だから、どう違うんすか、

a.播磨に入ると、ほんのちょっとだけ関西の気配が漂い始める、

b.関西の気配って?

a.岡山県は船坂峠で関西地方としっかり区切られてるけど、峠をくぐって兵庫県上郡まで来ると、あとは平野づたいに神戸大阪方面へ結ばれてる、そこから来る雰囲気の違いかなあ、活気があるというか、集落より個人が際立つというか、田畑もつ者より持たない方が主流になるというか、ほんのかすかな違いなんだけど・・・

b.じゃあ、備前というか岡山県はどうなんすか、

a.もう少しのんびりしてて、村落共同体がまだぎりぎり機能してる感じ、で、近畿圏とはまた別個の、まとまり感があるんだ、微妙な感じだけど、暮らしてるとハッキリちがいが分かる、

b.なるほど、じゃあ大阪府と奈良県の境に生駒山がそびえてるおかげで、奈良県北部が大阪府に飲み込まれなかったようなもんすか、

a.生駒山のおかげで奈良の古墳もずいぶん助かってるんじゃないか、まあ大阪府にも古墳多いっちゃ多いけど、

b.ところで、このひなびたJR上郡駅前から自転車で何やるんすか、われわれ、

a.誰に頼まれもしない山越えを敢えてして、赤穂御崎(アコウミサキ)を目指すんじゃ、

b.フラットな千種川にそって道があるってのに、それに、いきなり逆方向では、

a.なにも急がないし、自然豊かな上郡町を反時計回りに少し見て回ろう、

b.しかし、駅前はすこしずつ変わりつつあるんすね、観光案内所や真新しいドラッグストア、

a.かと思えば、歴史的建造物というほど古びたパチンコ店も、ああまた写真とり忘れた、

b.「テレビもねえ、ラジオもねえ、クルマもそれほど走ってねえ」、



a.吉幾三か、1984年の大ヒット曲、えらいなつかしいな、しかし、上郡の町民に代わって、ハッキリ言っとくけど、今の全部まちがってるぞ、

b.すんません、ついのんびりしてるもんで、良い意味で歌ったんすけど、

a.そうかあ、田舎バカにしてないだろうな、で、JRと智頭(チズ)急行が枝分かれする、この川ぞいの小道が良いんだ、



b.なに川っすか、

a.いずれ赤穂の城下町から瀬戸内海へ流れ込む千種(チグサ)川の支流だけど、なんてんだ?

b.安室川っす、マピオンに出てました、

a.水のきれいな安室川と小山に挟まれて、昔ながらの良い気配が生き続ける、上郡町船坂地区、



b.でも、不思議っすね、ここから船坂峠まで他にも集落あるのに、ここが船坂なんて、

a.ほんまやなあ、峠までまだ三つ四つ集落あるしなあ、こんな素朴な疑問からきっと郷土史家が育つんやろな、

b.お、こんなところに撮り鉄の若者ふたり、ご苦労さんです、で、踏切渡らんとこの超細い道でいいんすか、



a.この超細い道でいいんす、JRと90号線に挟まれた幅1mあるかないかの細道、でもしっかり仕切られてるから安全で快適、

b.そしてこの明治時代から変わってないような苔むした線路のくぐり抜け、なんか良いすね、ちょっと暗くて湿っぽいけど、

a.両側から山が迫って、ここで区切れるんだろうな、船坂村が、

b.ここでようやく逆方向に転じて、赤穂方面へ向かう事になるわけか、

a.まあ全部が道草のようなもんだから、別にどこ行ったって良いんだけどね、

b.ところで、何を基準に道選んでるんすか、さっきから、

a.そりゃ、料理と一緒で、より味わい深い道をいつだって探してるさ、分かれ道さしかかるたんびに、もっとうめえ道ねえかって、

b.クルマが来ない静かな道っすね、簡単に言えば、

a.うん、そんな道ばかり走れるんやったら、馬の鞍(クラ)と交換したって構わないぜ、

b.なんすか、それ、

a.大昔テレビでやってたMJBコーヒーのCM、

b.なんとYOUTUBEにありましたぜ、このCM、



a.なんでもあるんやなYOUTUBE、

b.YOUTUBE見れるんやったら馬の鞍と交換したって構わないぜ、

a.どこに馬の鞍があるんや、

b.ここにありますぜ、親方、アマゾンさんに、

a.おお、これは風変わりな鞍じゃのう、

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2013年05月14日

山越えの旅ふりかえりローソンへ

b.なんで保津川とか大堰川(オオイガワ)とか、名前変わるんすか、おなじ桂川なのに、

a.「川」だけに、「変わ」るんだ、ここ八木町から保津川下りの出発点あたりを「大堰川」、ここから「保津川」に名前を変えて渓谷が続いて、舟下りの終点、嵐山から「桂川」とまた名が変わる、日本語はニュアンス豊か過ぎて、ときに面倒やなあ、

b.川の両岸に広がる八木町の公園、特に下流に向かって右手はユニークというか、



a.左岸より狭いけど、なんかしゃれてるんだ、すぐ下流にせき止めがあるせいで、水量も豊富、桂川ぞいの公園じゃここが金メダルって来るたびに思う、

b.ここの木陰でゆっくりして、スーパーマツモトで買ったおはぎとコロッケ食べますか、もうあとは吉富の駅まで少し、平坦な川ぞいの道すすむだけやし、

a.どうだった?、嵯峨嵐山から始まったこの旅、けっこうキツかったと思うけど、

b.そうっすねえ、大きな達成感、やりとげた感はありますね、登りはキツいし、下りは吸い込まれるように進んでく、景色もバリエーション豊か、時間以上に中身が濃かった、

a.40才の手前で自転車にはまったせいか、「より遠くより速く」ってことに全く興味が持てないんだ、

b.どういうことっすか、

a.前にも話したけど、立ち止まれる面白さが自転車にはある、

b.たしかに橋の上にクルマ停めたら、邪魔でしゃあない、

a.橋の上ほど簡単に眺めが良い場所もない、自転車なら気軽に橋の上に止まって景色を楽しめる、買い物袋両手にぶら下げたオバチャンの三分の一の幅しかないから、

b.チャリンコの魅力っていうと、ほかには?

a.歩きより何倍も遠くへ楽に移動できる、と同時に、歩くほどゆっくり静かに進むことも可能、

b.下り坂は重力エンジン、追い風は風力エンジンでラクラク静か、だけど、よく見かける自転車乗りは、体育会系というか、ひたすら速く遠く走るのを目指してるような、

a.そうなんだ、そういう走り方が主流だから、自分としてはもっと運動苦手な文化系の人たちにこそ、こういう本格的な山岳コースを試してもらいたい、押して歩いたって良いじゃないか、文化系だもの・・・そんで、大いに立ち止まって欲しいんだ、気に入った景色があったら、その前でスケッチしたって良いじゃないか、絵心あるんだもん・・・そして、ゆっくり時間をかけて峠をアップダウンしてほしい、なんなら峠の途中から引き返したって良いじゃないか、トレーニングじゃないんだもの、

b.自転車こいで、時に押し歩いて、いろんな景色に出会って、まるで旅の小説を実体験するようもんすね、

a.おまけに輪行なら、退屈なエリアは飛ばしていいとこ取りできるし、疲れたら最寄り駅から切り上げたらいい、なにも無理することなんかない、

b.無理はいけません、文化系だもの、こればっかりやな、今回、

a.つーわけで、ここ八木町のステキな公園から終点JR吉富駅へゆるりと参ろう、

b.あいわかった、このまま川ぞいでいいんすね、しばらく進むと広くて新しい橋が見えてくるけど、

a.「夢かなえ橋」、誰がこんなステキな名前思いついたんだ、



b.渡って夢かなえますか、

a.いや、別にいいけど、

b.すぐとなりに国道9号線が走ってるんで、この道すいてて走りやすいや、

a.地元の人しか使わないから、すれ違うクルマの運転もたいていは穏やか、

b.そんな中、真新しい自転車道が竹林に分け入って作られてます、

a.まだできて2〜3年ほど、そのまま、川ぞいの遊歩道へとつながる寸法じゃ、

b.右に流れる桂川、左に小学校の運動場、旅の景色だなあ、



a.正面にはメグミルクの大きな工場も、ああ、それから、ちょうど対岸は、竹やぶが絶好の目隠しになって、たくさんの時代劇が撮影されたらしい、

b.我々の進むこの道も、左手は広いアスファルトだけど、右手はまるで江戸時代そのままの道筋、

a.もちろん我々は右手の細道でJR吉富駅へ向かうことにしよう、

b.その前に駅の向かいのローソンでからあげクン買っていいっすか、

a.おお、オレもカフェラッテのエスプレッソとコンビニスイーツをどれかひとつ、

b.どれかひとつって言われても、

a.分かった、オレも中入るわ、

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2013年05月12日

山おりておはぎコロッケいと恋し

廻り田池のユニークな石碑

b.しかしこの廻り田池、ながめ良いのに、見てる人ぜんぜんいないっすね、

a.みな忙しいからな、

b.でもせっかくここまで来たんやし・・・そうか、クルマやバイクじゃ停まりにくいか、スピード出してるし、

a.自転車も素通りするほど人気ない池だけど、よく見ると人工的な農業用の池にしてはとてもステキなんだ、

b.みんな忙しいんすかね、

a.みな忙しいんや、色々とアレコレあってな、

b.というわけで、あとは紅葉峠へ向かうだけ、最短コースの直線路がありますが、

a.その道はバイクやクルマにお願いして、我々はより昔の風情をとどめる477号線をなぞり、郵便局の先にあるうす暗い池から左の小道へ分け入り、八木町神吉の歴史的集落へ向かおう、

b.ちょっと、入っていくのためらうほど内輪の雰囲気っす、この小道、

a.こんもりと姿の良い千歳山のふもとに高低差をともなってぎゅっとまとまった歴史的集落、神吉(カミヨシ)地区、

b.遠くから眺めても印象的な景色や、

a.集落内をゆっくり流すと、見晴らしが良くて、これまた清々(スガスガ)しい、たまに村人とすれ違うとちょっと緊張するけど、

神吉の集落から愛宕山を振り返る

b.それはきっと向こうもそうでしょう、赤の他人が立ち入る場所じゃない、って雰囲気ただよってます、

a.たしかにな、だから、迷惑かからないよう静かにゆっくり進んで行こう、

b.で、先ほどの直線道路にもどって、これをすぐ渡って、田んぼに下りていくこの道でいいんすか、

a.いったん下ってまた少し登る、あとは紅葉峠の展望台へ一気に下るだけ、

b.わずか30m登るだけで峠のピーク、標高390m、

a.ふもとは120mだから、下りは270mも、

b.30m登って270m下る、なんか得した気分、

a.ちなみに展望台は峠から100m下った地点、一時、ゴミ捨てがひどかったけど、地元の人々の努力が実って、捨てるヒトもパッタリ居なくなった、

b.きれいな東屋(アズマヤ)ですね、望遠鏡まである、それに眺めがハンパない、180度近いパノラマ、

紅葉峠展望台

a.亀岡盆地は霧の深いエリア、運がいいと雲海も見られるし、夕日が沈むころも素晴らしい、ただ人気の展望台なんで、他の人たちと被(カブ)ることも多い、

b.そんなときは、

a.ふもとの池にも東屋がある、眺めはそれなりだけど、

b.でもトイレありませんねえ、このあたり、

a.そう、最寄りのJR八木駅かその手前、桂川両岸の公園に簡易トイレがある程度、

b.さて紅葉峠からどうします?

a.JR八木駅から輪行するか、となりの吉富駅まで走るか、

b.吉富駅前には9号線へだててローソンあります、

a.道分かりにくいけど、コロッケが評判のスーパーマツモトもあったな、

b.桂川渡って右よりに少し入ったとこ、

a.勝手にマツモトマジックって言ってるけど、強気の値段設定ながら、客の絶えないスーパー、京都市内で今いちばん勢いのあるスーパーだけど、ここ亀岡盆地に一号店があるらしい、

b.八木町の店は個人まりして田舎のスーパーといった風情、京都市内のはデカいけどなあ、

a.京都市在住のおり、個人的には業務スーパーと西友を使い分けして、値段高めのマツモトへは寄らなかったが、時にどうしても寄りたくなることがあって、

b.レジの女性に片思いすか、

a.というより、ここのおはぎがうまくてなあ、あんこが絶妙にうまい、ぜんぶアンコにしてほしい、

b.評判のコロッケは?

a.たしかにうまいけど、自分で袋に入れるの面倒でな、あらかじめ何個か袋に入っててほしい、

b.それでトライアルの爆安コロッケよく買ってたのか、

a.100円で5個くらい入ってたか、

b.ちなみにウェブで調べると、岐阜県では今年4月時点で税込み一個17円、やっぱ安いっすね、

a.ここで一句、「コロッケも17円やトライアル」、

b.「マツモトのおはぎのあんこオレを呼ぶ」、

a.ところで、我々のチャリ旅はどこまで行ってんだ、

b.さあ、JR嵯峨野線、八木駅のあたりかと・・・


より大きな地図で 廻り田池〜紅葉峠〜JR吉富 を表示

大きなサイズで関連写真もどうぞ、
https://www.icloud.com/journal/ja-jp/#1;CAEQARoQZERUuABtLukjz2Qbnzsg-w;F977D8D6-236D-4F33-9F4E-8747C8AA2C56



2013年05月11日

山腹を下るばかりのチャリオかな

CSファミリー劇場
再放送は今月17日&21日!



b.琴欧洲とヨーグルトで有名なブルガリア、その国の大統領までが葬儀に参列する大予言者、ババ・ヴァンガとは、

a.なに、「若旦那(ワカダンナ)」?、

b.いや、「ババ・ヴァンガ」、「ヴァン」だから、ココしっかり舌噛んでくださいよ、

a.めんどくさいわ、しかし、さいきんファミリー劇場も飛ばしてるなあ、「蟲師」一挙放送のつぎは「若旦那」、いや「ババ・ヴァンガ」か、

b.番組には出口王仁三郎(オニサブロウ)の予言も出てきます、

a.彼はここ亀岡市の出身ではないか、

b.たしか、西国三十三所札所「穴太(アナオ)寺」近くの生まれとか、そっちへ向かうなら、あの池から林道を下って、

a.それもそうだが、こっちの50号線をたどってダム湖に出て、川ぞいを南下すれば、宮本茂氏の故郷、京都府南丹市園部町だぞ、

b.ゼルダの伝説やスーパーマリオで任天堂を世界的企業に変身させた立役者、やはりこのエリア全体がパワースポットなんすかねえ、

a.京都一円はやっぱりスゴいとこなのかなあ、

b.で、このまま50号線でいいんすか、

a.ダム湖も人工的に清々しいが、今回はその手前で左折して、さらに眺めのすばらしい紅葉峠を目指そう、

b.え?、また坂登るんすか、

a.いや、コレは変な峠でな、こっち側からじゃほとんど登ることなく下る一方、その途中に展望台があって、亀岡市が一望できるんじゃ、ここからの眺めはエ〜デ〜、

b.なるほど、

a.それでは、いざ参ろう、登り坂もあとちょっとや、

b.しかし、この道ってけっきょく、嵯峨野から見えてた愛宕山(アタコヤマ゙924m)の中腹にそって北に向かってるわけか、

a.火の神を祭ってむかしから人々の信仰を集めてる山なんで、あちこちに登り口があるようだ、

b.なんだかんだで、ようやく名もない本当の峠508mポイントにトオチャコ、

a.ここからはほとんど一方的に下るばかりや、

b.久々に集落が見えてきました、地図で見るとまだ嵯峨という地名が頭に付くんすね、嵯峨樒原(シキミガハラ)か、標高は440〜450m付近、

a.原神社のデカいイチョウの木も良いし、前に広がる棚田のラインも美しい、



b.「原」っていうだけあって、ここに来てやっと広がりある空間に出たって気がします、気分良いなあ、それにスゴイ遠くへ来た気分になる、実際より、

a.それにもうエグい登りもない、

b.ここでおむすびタイムっすね、

a.原神社の脇の石段に腰掛けて、おむすび食べてると、同じような峠に魅せられた自転車乗りたちが通り過ぎてく、紅葉の季節はとりわけ素晴らしくて、いつまでも居たくなる場所やなあ、

b.で、ここからさらに心地よく下ると、一層広がり感が増してきて、嵯峨越畑というエリア、小中学校もあるのか、なんて読むんやろ、

a.「宕陰」と書いて、「とういん」か、読めんなあ、日本語ムズいなあ、

b.自販機もあります、JA京都の前に、

a.なんか町やなあ、今まで心細い道ばかりだったんで、えらい町に感じるわ、

b.それに自販機のありがたみも、

a.で、しばらく行くと有名な茅葺き屋根のお屋敷とその先にはお蕎麦屋さんも、この順序で良かったか、逆か、

b.もう記憶ゴッチャになってるんすね、最後に走ったのは、

a.昨年九月じゃ、その月の終わりに実家の岡山へ引っ越し、

b.で、下り坂はさらに続き、道の真ん中に埋め込まれた暴走防止の突起物に気をつけながら、クネクネ下ると石碑が印象的なデカい池、なんて読むんだ、

a.「廻り田池」と書いて、わからん、いちおう「めぐりだ」でいこう、

b.ここからは、さらに都会的な道になる、

a.合流する477号線が、大阪からの旅人を運んでくるのじゃ、

b.そういうことで、この辺で今日は終わりにしますか、

a.そうだな、急いだとこで切りないし、あたまや背中ボリボリかきながら、ぼんやりこの池ながめるか、




より大きな地図で 神明峠の先から廻り田池 を表示


2013年05月10日

息切れも楽しき初夏の峠かな

b.さて、国鉄時代の名残りとどめるトロッコ保津峡駅にかかる吊り橋から峠を目指す自転車こころ旅の再開でごわす、

a.ちなみに、この古びた駅のホームから、杉の植わる壁のようなきつい斜面をこれでもかと登っていくと林道の終点に出るんだ、

b.まさかそっちへ行こうというわけでは、

a.いや、力のやり場に困るMTB(まうんてんばいく)野郎にそこはお願いするとしよう、

b.じゃあこのまま道なりにおとなりの亀岡市へ越える峠を目指しましょう、しばらく進むと短いトンネルの先に断崖絶壁、現在のJR保津峡が川向こうに見えます、



a.数年前、観光名物として有名な保津川の川下り中に、このあたりの崖から落石があって、若い女性の頭に直撃する痛ましい事故があった、

b.それ以後、徹底的に落石対策を講じたそうですが、

a.できれば、事故が起こる前にやって欲しかった、

b.JR保津峡駅へ寄り道しますか、

a.いや特にいいけど、トイレと自販機があるので、その際はどうぞ、

b.では、このまま川ぞいに、

a.ここからは保津川の支流、水尾川にそって登りがつづく、

b.だんだん渓流らしくなってきた、道もうねうね曲がって流れも急に、

b.ハイカーのヒトとも良く出くわすし、ツーリングのバイクや、上流の水尾地区と保津峡駅を結ぶ小型バスもときおり、

a.自転車はどうすか、

b.ひとりが多いな、やはり道厳しいから、マニア向けなのかなあ、景色見ながら自分のペースでゆっくり走れば楽しいけどなあ、

b.途中、左へ林道の分岐がありますが、

a.こちらは、一回きつい登りがあるだけで、あとはそれほど登りもなく保津川に合流して、JR馬堀駅の対岸へ出る道、ただし後半は未舗装路でガタピシする、

b.じゃあ細いタイヤのロードバイクじゃ、ちょっと無理か、

a.行けないことないけど、軽量なフレームやタイヤまわりが気の毒、

b.さて、水尾の里へはまだっすか、

a.もう少し行くと渓流と距離が開いて、道が広くなめらかになる、

b.水の音がしなくなってきた、

a.それにつれてだんだんこころも静かになってくる、

b.登りのヘアピンカーブを3〜4回も続けると、ようやく坂も穏やかになって水尾の里っす、

a.集落に入ると広かった道も再び狭くなって、家々や畑が道の両側に迫ってくる、ここにも自販機道ばたにひとつ、

b.じゃあここで休憩しますか、

a.いや、もう少し登って、集落のはずれまで行こう、そこからの眺めが良い、



b.保津峡からいったいどれくらい登ったかなあ、トロッコ保津峡駅が62mとしてここは289mなんで、230m近く登ったのか、

a.登りはさらに続くのじゃ、

b.そういえば、いつかこのあたりでリタイアを検討中のカップル居ましたねえ、男性は先へ行きたがってたけど、女性はもう帰りたそうにしてた、

a.あと、かなり上等なロードバイクを立てかけて、ひとりしょぼんとベンチに腰掛けてたオジサンも居たなあ、

b.ヒザか腰か痛めたんすかねえ、

a.この先407m地点に神明峠という偽りの峠があって、実際はそこからさらに登るんだ、だからけっきょくホントの峠は508m地点が正解、ここからやっと下りになる、

b.じゃあ、ここが289mだからあと220mも登るのか、まだ半分やないすか、トホホ、何故にこげなキツい運動せにゃならんのですか、

a.なんでやろなあ、きっと下り坂が待ってるからじゃないか、歩きと違って自転車は下り坂最高、火野正平さんじゃないけど、

b.そりゃそうだ、自転車は上りと下りのメリハリがハッキリしてる、

a.それに峠を越えるとがらっと景色変わるからなあ、ドラマチックというか、近所でも遠くを旅してる気分、

b.でも偽(ニセ)の峠って、どう言うことっすか、

a.むかしは神明峠が最高点で、ここから谷を下って里に出たんだろう、ところが、その後50号線が敷かれるようになって、峠の位置がズレたんじゃないか、まあ大丈夫、富士登山を思えば、屁のようなもんじゃ、

b.しかし、水尾の里を抜けて本格的な杉木立の中を走ってるような、

a.最後の沢を越えて、水尾川ともお別れ、

b.水音がしなくなってさらにシーンとしてきました、
空気も気持ち乾いてきたような、

a.ここまで来るとカラダも上り坂に慣れて来て、それなりに楽だ、

b.神明峠が京都市と亀岡市の境界になるんすね、

a.しばらくきつい登りを我慢すると、左手に池を見下ろすポイントがある、ここもお決まりの休憩ポイントだったなあ、カロリーメイト・グレープフルーツ味をほおばってぼんやり池を眺めるんだ、

b.神秘的な池っすね、よこに高圧線の鉄塔そびえてるけど、



a.「にっぽん縦断こころ旅」のホームページにも投稿されてた池だ、神明峠から左手の林道を下ってくとこの池に出られる、どう考えても「蟲」の2〜3匹は居るだろう、怖いほど人の気配がしない、

b.じゃあ今日はこの池を見下ろすポイントまで、ということでいいっすか、

a.双子葉、


より大きな地図で トロッコ保津峡駅〜神明峠のちょっと先 を表示



2013年05月09日

嵯峨野から激坂のぼり保津峡へ

a.「おはようございます、今、JRの嵯峨嵐山駅前にいる、さっそく今日のお手紙読みます、ここで良いのかな、よいしょ、じゃあ、本日のこころの風景・・・」、

b.ところで、嵯峨嵐山駅前もすっかり綺麗になりましたねえ、

a.むかしの駅舎も古風で味があったけど、屋根に風見鶏ついてたような、

b.がらーんとした木造平屋のそっけない建物でした、もちろんエレベータ、エスカレータもなく、

a.今じゃトロッコ電車ノミクス効果で年々にぎやかになってる、

嵯峨野トロッコ電車

b.昨年か、駅のとなりにデカい鉄道ジオラマも登場、

a.さて、そういうわけで、われわれは地元ならではの土地勘を生かし、抜け道ばかりで念仏寺を目指すことにする、まずはトロッコ電車とは逆方向へ、

b.さっそくクルマが入れない踏切っす、

a.民家が迫ってるから踏切の警告音も目覚まし時計くらいしぼってる、

b.ちっちゃくてかわいい若宮神社の角を曲がって、広い道路は、丸太町通りか、戦後の高度経済成長を代表するような道、

a.向かいのスーパーにはミスタードーナツも併設、「ポンデリングは確かに美味いが、おのれの体脂肪・血糖値とじゅうぶん相談したうえでオーダーすることだな」、

b.と、捨てぜりふを吐きながら、スーパー右手の信号を渡って、そのまま右寄りすか、住宅街、

a.その方が迷いにくい、このあたりは戦後になって急速に家が建ち始めたから、かなり入り組んでるんだ、右寄りにうまくたどると広い車道に出て正面に写真館が見えるはず、

b.これをわたって小川にそって進めば左手に北嵯峨高校の校門、一時期、甲子園によく出場してた、

a.このあたりは歴史的に重要なエリアなんで、校舎の屋根もカッコいい、

b.すらっと優雅な曲線を描いて、儲かりすぎたお寺か美術館みたいっすね、

a.すぐ北は大覚寺と大沢池(オオサワノイケ)、

b.しょっちゅう時代劇に登場する池だ、アニメ「蟲師」にもここと良く似た池が一回登場します、後半の方で、

a.いかにもこの辺、蟲師がしょっちゅう行き交(カ)ってそうやしなあ、

b.で、池を少し離れてぐるっとその周囲を迂回する道か、

a.自転車は気楽に回り道できて良い、

b.ゆるい坂を少し上って、

a.振り返ると、左にうっすら広沢池(ヒロサワノイケ)、

b.すこし高台だから、南に広がる京都の町並みが一望できます、

a.開発が規制されて、田畑も昔ながらの風情、30年まえ京都に引っ越して最初に良いって感じたのが、このあたりのゆるい坂とその先に広がる町の眺めだったけど、これっぽっちも変わってない、

b.で、大覚寺の北にそって、歴史的集落を抜けていけば、

a.右手の小山に五山の送り火で有名な鳥居形のマークが見え隠れして、自然と念仏寺へ向かうことになる、

b.感受性鋭くてどうしても念仏寺ダメってヒトは、

a.広い車道を迂回する手もある、ちょっと余分に坂登るけど、

b.この広い車道はむかし線路が走ってたんすね、

a.ずいぶんむかしにうしろの愛宕山に遊園地やスキー場を作ろうとしたけど、長続きすることなく線路も消えちまった、その名残の道だよ、

b.だからこんな道幅あんのか、

a.というわけで、原付バイクのハンドルが異様にネジ曲がってしまった、大きな赤い鳥居にトウチャコ、

b.しかし、ホントこれから、このきつくて暗い、峠道、行くんすか、

a.ここからは逃げも隠れもできない一本道、延々登り続けるけど、魂がどんどん綺麗になるから、ぜひ行ってみよう、

b.どんな風にタマシイきれいになるんすか、

a.確かにここから保津峡のあたりまでは、人間のいろんな情念が渦巻いてるような気がしなくもないが、JR保津峡駅に架かる赤い橋を過ぎるあたりから、自然の良い気配がしだいに濃厚になってきて、ヒイヒイ坂を上って柚子(ゆず)が有名な水尾の里に着くころは、心もすっかり洗われておるんじゃ、

b.おまけに、名物「柚子湯」で体まで香り高く洗われると、

a.そのとおり、だんだん分かってきたやないか、じゃあ出発するぞ、

b.いきなり暗いし、なんすかこの冷気は、5月というのに、

a.この一角は真夏でもヒンヤリしておる、やはり何か潜んでるのかもしれんなあ、

b.峠のてっぺんまでわずか700メートルしかないのに、80メートルも登るのか、

a.でも傾斜がいちばんきついのはここだけ、保津峡から先はだらだら登るだけなんで大丈夫だ、

b.しかし峠のてっぺんから保津峡へ降りるこの道の曲がりもハンパないっす、

a.トロッコ電車の鉄橋やトロッコ保津峡の駅も下のほうに見える、おっと危ねえなあ、よそ見してると、

b.ものすごい曲がりの激坂カーブを下って保津峡に到着、いきなり橋の向こうに怖そうなトンネルが、



a.夜だと確かに出ない方がおかしいようなトンネル、大丈夫あれ抜けたら楽になるから、

b.楽って、死ぬんすか、たましい抜かれたり、

a.あのなあ、ここ平気でみんな通ってるんやぞ、タクシーやバイクやハイカーや、たまに筋金入りのランナーまで、

b.失礼しました、アニメ「蟲師」を一気見したばかりで、つい、

a.しばらく行くと、トロッコ保津峡駅へかかる吊り橋が見えてくる、

b.なんかドラマに使えそうな雰囲気っすね、

a.むかしは山陰本線の駅だったから、観光という以上にどことなく歴史の重みが伝わってくるな、

b.ホント残しといて良かったすねえ、

a.トロッコ電車走らなきゃ、跡形もなく取り壊されてたろうな、この駅舎もこの吊り橋も、

b.じゃあ明日はこの吊り橋から再開ということで、

a.双子葉、


より大きな地図で JR嵯峨嵐山駅〜トロッコ保津峡駅 を表示


2013年05月08日

嵯峨嵐山チャリ散歩

a.二日続けて幽霊や異形(イギョウ)のモノ特集で、嵯峨嵐山のイメージもすっかり悪くなったし、ここいらで挽回しよう、

b.どうするんすか、嵯峨嵐山ならこれでもかと観光ガイド出てまっせ、

a.そうだなあ、この近辺はよく散歩してたけど、ただ自転車だと、あっという間に済んじゃうんだな、社寺仏閣は素通りするし、

b.それほど広いエリアでもないし、

a.じゃあこうしよう、さらっと嵯峨嵐山を流してから、化野念仏寺の前を通って、保津峡へ向かおう、保津峡のマイナスイメージも改善すべきだし、

b.しかし、保津峡へ向かうには手前の激坂が、

a.だいじょうぶ、マウンテンバイクのギア比をもってすれば、恐れることは何もない、息切れしたら歩きゃいいんだし、

b.なるほど、確かにトレーニングしてるわけじゃないし、いそぐ用事もないか、でも、

a.蟲や幽霊が気になるか、もう何十回と保津峡行き来してるけど、何もなかったぞ、というか気分良いばかりだぞ、

b.何がそんないいんすか、保津峡からも果てしない登りが続くばかりでは、

a.渡月橋が海抜35m、念仏寺まえが96m、60mも登ってたのか、知らんかった、

b.けっこう登りますね、念仏寺まででも、

a.二尊院すぎると、きつくなるんだ急に坂が、

b.で、保津峡へ抜ける激坂、六丁峠は?

a.この坂の傾斜がいちばんエグいけど、峠の頂上は175m、

b.コレを一気に下って保津峡は45m、念仏寺より50mも低い、

a.マピオンって地図のサイト見ながら書いてるけど、標高がいちいち出てきて面白いや、

b.ところで、保津峡へ向かう前に、

a.そうだった、鼻歌口ずさみながらフラットな嵯峨嵐山をのんびり流そうや、

b.じゃあ渡月橋から行きますか、

a.今ごろ橋の上もヒトでいっぱいだろうなあ、さっそく橋の北詰を左折して川ぞいに上流へ、二分ほど自転車かつぐけど、亀山公園へ少し上っていこう、

b.でもこのコース、念仏寺へ直結するし、坂もきついし、もっとルート膨らみませんかねえ、気楽にふわっとした道筋、

a.そうだなあ、でも、言い忘れたけど、もし亀山公園行くんやったら、頂上に川を見下ろす展望台があるんだけど、ここをさらに道なりに登っていくと後ろの小倉山に続いてて、

b.絶景ポイント確かにありますが、ヒールじゃとても無理っす、

a.そう、スニーカーならぜんぜん平気だけど、公園の展望台すぎて少し行くと分かりにくいY字の分岐があってこれを右に進むときつくて細い登り道が続いて、しばらくヒイヒイいって登ると、ものの10分くらいで絶景ポイント、渡月橋や嵯峨野、さらに京都市街を一望できるんだ、地元の人しか知らないけど、ここは絶対行くべき、坂きついから水分補給も必ずね、



b.そういえば亀山公園って自販機ないっすね、

a.見たことないなあ、だから渡月橋あたりで早めに用意した方がいいっす、

b.ところで、小倉山のこの山道、奥に続いてるけど、

a.結果、たどれば六丁峠に出られるけど、途中からほとんど担(カツ)ぎになるから、マニア向けルートと思った方がいい、道もけっこう複雑に入り組んでるし、迷うと面倒、

b.じゃあ、来た道を引き返すほうが無難っすね、

a.眺めもここがいちばん素晴らしいし、

b.じゃあ、いったん渡月橋にもどってと、どうします、

a.サイクリングロードを松尾橋までもどるか、

b.引き返して松尾大社に寄るんすか、

a.それもいいし、サイクリングロード沿いの嵐山公園も広くて気分いいや、

b.で、松尾橋を渡って川ぞいにまた戻ると、

a.松尾橋は狭い橋なんで、昨年から自転車は歩道を走らないようにとのお達しがあった、まあみんな平気で走ってるけど、できれば車道を走ってくんしゃい、

b.しかし、クルマの音はうるさいけど、この川ぞいの道、気持ち良いっすね、

a.手前に桂川を見下ろしながら遠くに小倉山・愛宕山が広がって、堤防高いから見晴らしがとても良いんだ、ここも地元住民の定番お散歩コース、



b.しばらく進むと嵯峨美が見えてくる、

a.正式には何て言うんだ、「京都嵯峨芸術大学」か、「美」が入ってないと思ったら、ずいぶん中身変わってたんだ、

b.ところで、川ぞいからこっちへ入るんすか、

a.そう、こっから川を離れて右手へ、嵯峨美の方の道へ入る、で、校舎を右に見ながら、しばらく進むと、今度は左手に小学校の校門が、嵐山小学校って言うのか、

b.ぜんぜん知らなかったんすか、何年も近所住んでたのに、

a.この小学校の裏手の道をすすむ、神社を右に見てどんどん細くなる道を進んで少し右寄りに曲がるといきなりクルマだらけの三条通り、コレを渡って道なりに進むとJR嵯峨嵐山駅前に出ることができる、

b.なるほど、これならほとんどクルマと被らないし、町本来の静かさも伝わってくる、

a.この裏通りはオススメじゃ、道も分かりやすいし、嵯峨野の住宅街を代表するような落ち着いた雰囲気、

b.じゃあ、きょうはJR嵯峨嵐山駅前へトオチャコ、ということで、

a.またあした、


より大きな地図で 嵯峨嵐山 を表示





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