「テクノデリック」
b.ところで、5月2日のやりとりにあった、YMO好きの中学生、他にどんなこと言ってたんすか、
a.YMOの最高傑作「テクノデリック」がリリースされて間もない翌年1982年の春、その中学生の通う学校では「テクノデリック」の「TAISO」が流行ってたんだが、彼はユキヒロのボーカルを面白がってた、三曲目「STAIRS(階段)」なんだけど、YOUTUBEだと11分18秒から、
b.この「crowds of people in confusion」ってとこっすか、訳すと「群衆の混乱」、
a.とくにこの「crowds」の発音にえらく食いついてなあ、単純に面白がってるんだ、ただよく考えると、この曲でいちばん力入れて歌う箇所はこの「crowds of people」だから、彼はハッキリこの曲の最重要部分を面白がりながら把握してたことになるんだ、すげえだろ、中学生の感性って、
b.地の声にうっすらエフェクト(機械的処理)をかけてるような、かすかに歪(ヒズ)んでるようにも聞こえるけど、わざとかな、
a.この声の後にピアノソロが入るけど、ここも作りが凝(コ)っていて聞きごたえがある、YOUTUBEだと11分31秒からだけど、ヘッドフォンだとよりハッキリする、
b.30秒間じっとまん中に定位させて、わざと狭苦しく鳴らし、12分02秒からやっと右、左へと音が受け渡されて空間が広がっていく、波のような音も被(カブ)せてるからなおさら解放感がある、
a.このあたりも憎い演出だし、独創的に美しい、曲のメインではピアノをドラム風に使ってるし、まことに多彩でござる、
b.で、いきなり、曲がぶち切れて、一瞬の沈黙の後、「パァッ」のかけ声で、次の曲「SEOUL MUSIC(京城音楽)」へ、
a.このふたつとその前の2曲目「NEUE TANZ(新舞踊)」を合わせた3曲が「テクノデリック」最高の聴き所、この3曲のスムーズなつながりは特筆すべきで、まるで1曲のように聴くことができる、しかも、各曲それぞれがしっかり個性を主張しながらだ、こりゃスゴいとしか言いようがない、
b.ところで、「BGM」には無かった歌詞とその日本語訳が「テクノデリック」のCD盤には入ってますね、
a.だから特に「テクノデリック」はCDで持ってて欲しい、でもウェブで調べりゃ出てくるか、
b.いや、意外にも有りませぬなあ、歌詞と訳詞、
a.じゃあやっぱりCD買ってつかあさい、
b.「つかあさい」って何弁すか、
a.「下さい」って意味だけど、どこから覚えたんやろ、久々に使ったわ、
b.で、「テクノデリック」で今回は最後までやるんすか、
a.うん、あと言わなきゃならんのは、ラスト2曲の素晴らしさ、
b.9〜10曲目のプロローグ(36分44秒〜)とエピローグ(39分17秒〜)か、これも1曲のように聞こえる、しかし変わった音楽ですねえ、
a.索引を作るとき、ロックとは別立てでYMOという項目を作ったけど、この曲聴いたらその訳がハッキリするやろ、
b.工場のデカいプレス機が動いてるような、
a.「エピローグ」では延々このリズムが繰り返される、
b.もはやロックのビートなんかじゃないっす、
a.そう意図的に人間らしさを排除した機械音を持ってきた、
b.このプレス音にまとわりつくモヤモヤしたオルガンのような音が人間の感情に当たるわけっすか、
a.さあ、どうなんだろう、むしろ逆にマシンが安らいでるのかもしれんなあ、それまでこき使われてきた人間からの支配を脱して、逆に人間を支配し始めた機械の安息というか、
b.そういえば、コンピューターがいずれ人間を逆に支配するようになるって真剣に考える科学者もいるようだし、
a.受け取り方はヒトそれぞれだけど、ここも独特に美しいし、他のだれも成し得なかった深みに達してることは確かだな、
b.またまた、ベタ誉(ボ)めかあ、
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