ポイント1(地図上の位置を示しています)
b.正面の立派な日本家屋は正光寺(しょうこうじ)さん、
a.すると、右手奥の森は神社かなあ、
b.ええ、地図で見ると吉水(よしみず)神社になってますね、
ポイント2
a.そういえば、右手を流れる川も、いつしか支流の祖父川(そふがわ)から本流の日野川へ名前を変えてる、
b.このまま川ぞいに琵琶湖へ向かうんすか、
a.いや、琵琶湖大橋を渡ってJR湖西(こせい)線から輪行したいから、いずれ日野川から離れて、左寄りに走っていこう、
b.でも、ときどき不思議に思うんすけど、こんなことやって何が楽しいんすか、
a.そうやなあ、たしかに分かりにくい楽しさかもなあ、
b.希望が丘のウメにしても、特にこれが目的ってわけでもないし、そこをすぐ立ち去って、地味な川堤(かわづつみ)を淡々と走ってる、カメラに写るのもごく普通の景色ばかり、
a.これという目的地も決めないで、気分のままにコースを決めていく、そうやってさまようこと自体がおもろいんや、生きてる感じがするというか、
b.じゃあ、そのあいだずっと、うっすらと楽しいんすか、
a.ディズニーランドみたいな演出された味の濃い楽しさのちょうど真逆にあるような、静かにじわじわと湧き上がって来るような薄味の楽しさ、
b.じゃあ同じエリアを何度も走るのは? いちど走ったらだいたい分かると思うけど、
a.つまらないエリアへは二度と行かないけど、滋賀県なんかはそこら中に美味しい景色がつまってるから、同じエリアを何回走っても飽きることが無いんや・・・で、同じエリアをくりかえし走るたびに、道と道がつながっていって、カラダのなかに少しずつ幸せな地図が育っていく、
「走るたび 幸福地図が 育ってく」
ポイント3
b.なるほど、いろんな人が居てるもんやなあ・・・ところで、この神社は?
a.兵主大社(ひょうず・たいしゃ)、奈良時代からつづく滋賀県でも有数の古い神社らしい、
b.どおりで、なんか威厳がありますね、なんでそう感じるんか、理由は分からんけど、
ポイント4
a.参道の並木道もボリュームあるなあ、
b.それに交通量が少ないせいか、琵琶湖が近いせいか、空気が清浄な気がします、
a.きっと大きな神社が建つだけの土地柄(とちがら=その土地がそなえてる性質)なんやなあ、
ポイント5
b.さり気ない難読漢字ですね、どう読んだらええんか、
a.中主(ちゅうず)スーパーや、
b.2階は美容室に進学塾、1階左にはガチャガチャ、右はしには公衆電話か、
a.この一軒あれば、何とかギリギリやってけそうやな、
b.ホンマこの辺、店無いすもんね、
「中主(ちゅうず)地区 ほんまこの辺 店無いす」
ポイント6
a.でも、というか、だから、この辺ホンマに好きや、
b.ホンマに滋賀県が好きなんすね、
a.自転車乗りの聖地やで、
ポイント7
b.たしかにバスも少ないし、これを歩きでカバーするんは大変や、
a.この広さが自転車にはちょうどいい、のびのび走れるし、風景の変化も豊かやし、
b.今回の旅もそろそろ終わりが近づいてきました、
a.雑木林ごしの比叡山(ひえいざん)か、そろそろ家路へ向かう時間やな、
ポイント8
b.現在15時34分、
a.京都の嵐山から出発して、そろそろ8時間、
b.菜の花が満開のここはどういう場所なんすか、
a.得(え)も言われん(=どう言えば良いかよう分からん)場所や、
b.公園でもないんすか、
a.それもよう分からん、マンションの敷地のようでもないし、とにかく、菜の花の季節には自然と人々が集まってきて、なかには絵の具持参でスケッチ始める人も居たりする、
b.地図には「第1なぎさ公園」って書いてますよ、
a.ホンマか、そりゃ迂闊(うかつ=うっかり)やった、
b.しかし、きっと、えらくヒトを幸せにする菜の花なんすね、
a.そうやな、この花畑にひかれて集まってきた人たちは、みんな幸せな笑(え)みをうかべて家へ帰ってくんやろなあ、
b.ところで、こっから京都までどうやって帰るんすか、
a.マンションに隠れてるけど、すぐ先に琵琶湖大橋があるから、それ渡って堅田(かたた)駅か、つぎの「おごと温泉駅」から輪行や、
b.そういえば、おごと温泉駅前には足湯もあったなあ、