b.しかし、こんな早朝によう起きれましたね、いっつもギリギリで会社に飛びこんでた人間が、
a.よう言うてくれるな、このころは何を思ったか、朝6時に起きてランニングの毎日や、予想どおり数ヶ月で挫折するんやけど・・・
b.おかげで三文どころか三両の得!!
a.嵐山に30年近く住んでたけど、これほど降るんはひと冬でも数えるほど、おまけに積もったばかりで、ヒトやクルマの跡もない早朝やし、永久保存版や、
b.とはいっても、阪急嵐山駅へ向かうこの道にはすでに足跡も、
a.1枚目で前方に見えてた中ノ島橋、クルマが通らんから、渡月橋よりこぢんまりしてる、阪急電車を降りた人たちは、この橋を渡って嵐山や嵯峨野へ向かう、
b.この雪で、さすがに常連の釣り人もいませんね、
a.サクラの名所、祇園の八坂公園から移植された八重桜、
b.あの公園のヌシみたいなサクラの親戚筋か、どおりで人間ぽいオーラが、
a.こちらが渡月橋でござる、ああ、なんか急に帰りたなってきた、
b.近隣住民にとっては無くちゃならん生活道路なんすね、
a.そう、この橋がないと生活が成り立たへん、
b.暮らしの一部に渡月橋があるなんて、しあわせな環境すね、
a.ほんまや、
「日々わたる 渡月橋との ええ暮らし」
b.渡月橋の思い出といえば、
a.秋の夜だったか、向こう岸の銭湯へ行った帰り、渡月橋をわたると川面(かわも)に月が映っていて、ほんまに月を渡る橋やった、
「渡月橋(とげつきょう) 川面の月を わたる橋」
b.ところで、いま住んでる岡山とくらべて京都はどうなんすか、天気とか、
a.時雨(しぐれ)が多い、
b.時雨ってなんすか、
a.晴れてたと思ったら急に雲が広がって、しばらく雨が降ったらまた晴れる、向こうに見える北山連峰からやって来る雲にちなんで北山時雨って呼ばれてる、晩秋の古都の風物詩や、
b.風情はあるかもしれないけど、暮らすぶんには厄介(やっかい)すね、
a.虹はたくさん見たけど、自転車乗りには手ごわい強敵や、すぐ晴れたらええけど、けっこうずぶ濡れになるまで降ったり・・・でも、そんな気むつかしい天気も京都らしさのような、
b.っていうと、
a.岡山に比べると風土に屈託(くったく)があるというか、歴史的にも深い蓄積があるし、
b.屈託ってなんすか、
a.「陰(かげ)り」というか、「陰気なムード」っていうか、「ストレートに行かない雰囲気」っていうか、
b.じゃあ岡山のほうが良いんじゃないすか、
a.いや、むしろそういう陰の気が隠し味になって京都をよりステキに見せてる、クラシック音楽の魅力と共通するような陰(かげ)りというか、
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