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b.さあそれでは、名も無きこの林道の峠より、甲賀市から大津市へ入って行きます、
a.おお、当然のことながら、一方的に下るばかりではないか、登り返す心配もなくひたすら琵琶湖へ向かって、
b.立て看板に書いてあります、この林道の正式名称は「広域基幹林道 牧・富川線」、
a.舗装はされてるけど、林道らしく木の葉や小枝が散らばり放題、ほとんど使うヒトもいないんやろなあ、
b.しかし、しばらく下りていくと江戸時代から変わっていないような集落が不意に現れてきました、
a.まるで映画「砂の器」で今西刑事が訪れた村みたいや、
b.なんのことすか、
a.よく見ると、きちんと雑草は刈り込まれ、山の動物が荒らさないよう防御線も張ってある、ジイちゃん・バアちゃんがやったとしたら大した労力や、
b.こうやって日本の原風景っていうのが地道に守られてるんすね、誰から頼まれたわけでもなく、
a.そう思うとなおさら尊く美しいな、
「山深く、田を守りゆく、高齢者」、
b.跡継ぎが居ないとしたら、この田畑もいずれ山に飲み込まれるのか、もしそうなら、とても残念なことですね、
a.そんな山村と共にこの道もあるんやろなあ、
「林道は生活道路、山村の」、
b.たっぷり安楽なる下りを楽しんだところで、そろそろ国道422号線が見えてまいりました、
a.この時はまだ大工事のまっ最中だったな、
b.狭い谷間の道を広げるっていうんで、工事の人々はそうとう苦労してました、
a.この国道もおおむね下るばかり、まさに吸い込まれるって感じで下り続け、
b.やっと下りも尽きたあたりで、大きな住宅街が不意に現れ、久しぶりに見かけるジュースの自販機、
a.昆虫のように吸い寄せられていくぞカラダが、冷たく甘酸っぱい液体のほうへ、
b.チュウチュウしますか、
a.ちゅうちゅうしよう、
b.ここからほんの少しエグい登りがあるんすね、確か、
a.うむ、このまま国道422号線をなぞるよりも、関津峠を越えた方がまだしもクルマが少ないから、ガンバって40m登ってしまうぞ、そうすればあとは瀬田川を左に見ながらびわ湖までド平坦、途中からはクルマも入れぬ川ぞいの遊歩道が我々を待っておる、
b.ここが有名な南郷の洗堰(アライゼキ)、琵琶湖の水をここで調節するんですね、とすると、ここからが琵琶湖なんすか、
a.ウェブで調べたらちゃんと標識が立ってるらしい、知らんかった、何度も来てんのにおのれの無知が悔しいぞ、
b.そうか、JR琵琶湖線の鉄橋の少し北になるのか、ずいぶん中途半端は場所なんすね、
a.しかし、例によって疲れから写真はその手前、瀬田の唐橋で終わっている、
b.そんな、せっかく6回連続で奈良からやってきた琵琶湖なのに、写真ありませんじゃ通りません、
a.な、わけで、その前年の7月に撮った膳所城跡公園の写真を最後にオマケして許してもらおう、
b.「膳所」?
a.「ぜぜ」と読ますんじゃ、難読地名でござる、聞くところによると膳所城は日本三大湖城のひとつらしい、くわしくは春風亭昇太さんに聞いてみよう、
b.というわけで、6回に渡ってお送りした今回の日帰り旅のまとめをお願いします、
a.2009年7月4日、そこそこ早起きして京都嵐山の自宅を出発、近鉄京都駅から奈良駅まで輪行、午前9時過ぎから機動開始、
b.ずいぶん遠回りを重ねて、正午過ぎには三国越(ミクニゴエ)林道へ、
a.林道の途中から左折して信楽の中心部へ下り、またすぐ登ってまた下りの繰り返しで午後5時過ぎには、念願の琵琶湖を見ることに成功、ヘトヘトになってJR石山駅から輪行、
b.旅の感想を、
a.平坦なコースを安楽に流すのも楽しいけど、たまにはこういうキツいのも達成感があっていいかも、
b.好きじゃないと出来ませんね、しかし、
a.うむ、自転車と坂道が好きじゃないと、苦痛しか残らない、ただ、逆に言ったら、それほど体力無くたって、好きな気持ちさえあったらけっこう行けるはず、自分のペースでこいだらいいし、体調悪ければ、一回で決めなくたって良いわけやし、
b.なるほどねえ、まあ、そういうことで、お気に入りの琵琶湖をながめながら、お別れします、ごきげんよう・・・
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