しかしなんやなあ、京都から田舎に引っ越して、とても残念なんは、クルマだらけの幹線道路を走る自転車乗りが多いこと、
1分1秒を争う朝の通勤なら、それも仕方ないのかも知れませんけど、楽しみで走るばあいは確かにもったいないすね、事故の危険性も増しますし、
京都からびわ湖へ輪行を始めたころ、湖の東南部は岸辺にそって、車道と分離した自転車歩行車道が整備されてるんで、このルートをたどることも多く、
巨大戦艦みたいなイオンモールが印象的な近江大橋(おうみおおはし)東詰(ひがしづめ)から、近江八幡方面へと北上する道すか、
道の途中には、ところどころに公園があり、東屋(あずまや)とかベンチとかトイレが整備され、びわ湖の水辺が静かにどこまでも広がって、過密な京都中心部からほんのわずかの輪行で、こんな広々した空間が体感できることにまず感動するんやけど、
だんだん走らなくなったんは、なんでなんすか、
人間はぜいたくなもんで、これだけ広々した空間の中を安全に走れんのに、しだいに一般車両が発する騒音が耳ざわりになってきて、
それはぜいたくな悩みですね、
視覚と聴覚が一致せえへん独特な苦痛というか、分からんかなあ、
つまり、見えてるのどかな風景に対して、クルマの騒音がうるさすぎると、
そこで気づくんや、自転車って、クルマやバイクじゃありえない静けさが大きな魅力であることに、
というわけで、一般車両が多く走る道はほとんど走らなくなったと、
そうなると、しぜんとクルマが走りづらい道を選ぶことになって、そんな道ほど昔ながらの風情(ふぜい)が色濃く残っているから、より気分良く走れるようになり、カメラの登場回数も増え、今でも魂の28%はびわ湖エリアで体験した素晴らしい景色で満たされてるんや、
昔ながらのせまくてカーブの多い道は、クルマやバイクのスピードには適さないから、戦後の高度経済成長に合わせて、よりワイドで直線的な幹線道路が作られ、
なもんで、クルマやバイクのスピードに合わせて作られた幹線道路が、自転車のスピードに向くはずもなく、
競技選手なら時速40キロ巡航が当たり前でも、我々ふつうの自転車乗りではとてもムリですし、もし時速40キロで走ったとしても、原付バイクがつねにクルマから煽(あお)られることを考えれば、自転車はもっと邪魔あつかいされますし、より危険なことになるかも、
本田宗一郎(ほんだ・そういちろう)氏は、自転車が不便だから、これにエンジンを付けて、原動機付き自転車つまり今でいう原付を発明したけど、自転車の魅力にハマった者から言わせると、話はまったくこの逆で、バイクの便利さで消えてしまったさまざまな魅力があるからこそ自転車に乗り続けるわけで、
具体的には、どんな点がバイクに無い魅力なんすか、
死亡事故率が極めて低い点、すぐ停車できる点、進むために自分の全身を動かしてカラダの芯から温まる点、エンジンが無いから極めて静かな点、構造が単純なために整備や修理が自分で簡単に行えてその経費もわずかで済む点、より軽量で視界や風通しも確保されたヘルメットである点、ライディングポジションをミリ単位で調整できる点、押したりかついだりすれば、歩行者と同じように歩けるしバスや鉄道も利用できる点、パンクしてもその場ですぐ修理できる点、家の中に持ち込んで眺めたり磨いたりメンテしたり、なんならローラー台に乗せて走ることもできる点、などなど、
それなのに、便利さを優先して、自転車からすぐバイクやクルマへ移行する若者があまりに多すぎると、
自転車ブームとか言われるけど、それらが走りやすい田舎ほど、クルマで移動するヒトがほとんど、
みなさん楽しみというよりも実用面でクルマに乗られていて、景色を楽しむとか田舎道の風情がどうのこうのとか、ほとんど関係ないんすね、
農家としても、大切なことは作物(さくもつ)を育ててそれを換金することにあるわけで、風景がどうのこうのとか2の次やもんな、
余談ですけど、田舎の子供たちは『軽トラ』という特殊名詞のあとに『自動車』という一般名詞を覚えるとか、
軽トラが無いと農業なりたたへんから、田舎へ行くほど必要不可欠になってくる、
とりあえず荷台には草刈り機と、それを動かすツーストロークエンジン用の混合燃料というのが、農家のベーシックなスタイルですか、
漁村や雪深い村になると、また違ったスタイルになるやろうし、雑草も生(は)えない冬の時期はまた別装備になると思うけど、くわしくは各地の農協漁協にお問い合わせ願いたい・・・で、なんの話をしてたんや、
一般車両では味わえない自転車ならではの魅力について、
だもんで、実用性とか効率とか求めていくと自転車より原動機付き自転車、さらにはクルマへとたどり着くけど、その逆、趣味性や楽しさを求めていけば、電動自転車よりもふつうの自転車、変速機付き自転車よりもシングルスピード、フリーギアよりも固定ギアという流れになるわけで、
自転車で走る道も、効率を求めた直線道路よりも、歴史の厚みを感じさせてくれる、集落間をうねうねと曲がりくねりながら結ぶ、歩くスピードで自然に仕上がった昔ながらの道が楽しいに決まってると、
もっとも、トライアスロンとかロードレースを趣味とする場合は、より安全にスピードを出せる道が大事になってくるし、景色を見る余裕とかあまり必要ないんで、それはそれで別枠でとらえる必要はあるけど、
いろんな趣味がありますけど、自転車ならではの楽しさに目覚めてくれる人が増えてくれたら素晴らしいすね、
ほんまや、カネかからんし、すぐ始めらるし、老いてもずっと続けられるし、安全やし、それぞれのスピードで走れるし、冬は芯から温まるし、冬の木枯らしに乗ればペダル回さんでもしぜんと前に進むし、帰りは電車に乗せてうとうとしながら安全に帰れるし、
じゃあ最後に、前世紀『ユーラシア』という名車を生み出したブリヂストンサイクル、もっとがんばれという意味合いも込めて、自転車選びの参考にこちらの動画を埋め込んでおきましょう、