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2020年05月01日

かかりつけの小児科医が、戦争中、太平洋上に浮かんでいた話

▽・w・▽ かかりつけの小児科の先生が、若いころ、ミッドウェー海戦で海に浮いてたって、なんでそんな生死を分けるような人生の重大事件が分かったんすか、

(=^ェ^=) テレビの大相撲(おおずもう)中継やないけど、2ヶ月おきに風邪で寝込む病弱な子供時代で、そのたんびに往診(おうしん)に来てくれた無口な先生なんやけど、たった一度だけ、深く話しこむときがあって、そのきっかけになったんが、このオモチャ、



▽・w・▽ 魚雷戦ゲームって言うんすか、

(=^ェ^=) 1週間で飽きるような単純なゲームやけど、これが枕元に置いてあって、先生の目が釘付けになって、そこから一気にしゃべり始めたんや、

▽・w・▽ それで初めて、若いころ、海軍に入隊していて、日本が完敗したミッドウェー海戦に参加してたことが分かったと、

(=^ェ^=) ここからはもう、独りの世界に入りこむような感じで、いつもの先生とは別人のように当時の体験談が次から次へとわき出てきて・・・白い泡が軌跡を描いて、まっすぐ魚雷が、近づいて船に当たるシーンとか、海に投げ出されて、たまたま浮いてた木の板にしがみついてたとか、まるで映画見てるようやった、

▽・w・▽ 戦艦に乗ってたんすか、

(=^ェ^=) いや、輸送船ていうてた、

▽・w・▽ それで、戦艦にはあまり使われない木の板とかたくさん浮いてたんかもしれませんね、

(=^ェ^=) ありえるなあ・・・あるいは、バランスと軽量化のために飛行甲板(かんぱん)に木材を使ってた日本軍の主力空母が、4隻(せき)も沈んだんで、その木材が浮いてたんかもしれんなあ・・・今となっては確かめようもないけど、

▽・w・▽ で、アメリカ軍の捕虜(ほりょ)として、助かったんすか、

(=^ェ^=) その辺もよう覚えてないんやけど・・・もともと、すごい無口な先生なんで、話の終わりごろになって、急に我(われ)に帰って、なんか照れくさそうな、なんとも言えん表情をしてたんは、よう覚えてる、

▽・w・▽ どんな表情すか、

(=^ェ^=) きっと家族も知らんような、そして自身でも回想すらしなかった命にかかわる戦争体験を、四半世紀(しはんせいき)ぶりに、ありありと思い出して、なつかしいような、それを唐突に他人の家でしゃべって、恥ずかしいような、たった独りで遠くの方をながめてるような・・・



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