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2020年07月02日

その可能性はすでに考えた 井上真偽 講談社文庫

これは斬新だ。論理ミステリーとでも言えば良いのか。

事件は十数年前に起こった。舞台は四方を崖に囲まれた山間の新興宗教団体の村。そこで、集団殺人事件が起こる。事件はカルト団体の自害的終焉と処理される。その事件でただ一人の生き残りの女性が、探偵を訪ねて現れる。「私は奇蹟を見たんです」と。人間の起こす奇蹟を信じ、それを証明することにのみ心血を注ぐ探偵が動き出す。

もう、全編ロジックだらけ。女性の回想から論理を組み立て、いろんな登場人物が現れて二転三転どころか四転も五転もする。途中、論理学の原理を表したようなロジックに思わず手を叩いた。こんなやり方があったんだという見本のようなミステリー。

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