2020年06月30日
プラナリア 山本文緒 文春文庫
カバーに「現代の『無職』をめぐる心模様を描いて共感を呼んだ」と書いてあるが、ワーキングプアの話ではない。確かに五編の短編の中で共通するのは『無職』だが、作者はこの言葉で何かを象徴しようとしていない。あるのは『無職』という状況だけだ。専業主婦だって無職、精神的疾病を抱えて働くに働けない人も無職、世間から逃げてひきこもっている人も無職。その状況に振り回されたり振り回されなかったりしながら人々は物語を紡ぐ。
私も今までの人生の中で無職だったことが1年ほどある。大学を中退して、さりとて自分のやりたいことは先が見えず、生活費や遊ぶ金のために刹那的にアルバイトをしていた。フリーターなんて言葉がなかった時代だ。辛かった。社会的に機能していない自分は罰せられるべきだと思った。今思うと健康的だったんだな、とも思う。それに比べると本作に登場する人々は病的だ。
健康的であろうが病的であろうが、人は物語を紡ぐ権利を持つ。そして、そこに価値の優劣はない。
私も今までの人生の中で無職だったことが1年ほどある。大学を中退して、さりとて自分のやりたいことは先が見えず、生活費や遊ぶ金のために刹那的にアルバイトをしていた。フリーターなんて言葉がなかった時代だ。辛かった。社会的に機能していない自分は罰せられるべきだと思った。今思うと健康的だったんだな、とも思う。それに比べると本作に登場する人々は病的だ。
健康的であろうが病的であろうが、人は物語を紡ぐ権利を持つ。そして、そこに価値の優劣はない。
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