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2020年06月29日

星々の舟 村上由佳著 文春文庫

人は、人との関係性を認識することによって人となる。家族もそうだし、学校や会社もそう、子供会や町内会だってそう。そこで社会性を身につけて、社会的人格が作られる。でも、その社会性なるものが単なる幻想だったとしたら。この世の中というものが壮大な夢であったとしたら。その夢が醒めた時に、人は、人との関係をやはり欲するのか。

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祖母の死をきっかけに、祖父、息子娘、孫、の人生の出来事が連作形式で語られる。そこで浮き彫りにされるのが人との関わり。社会性という表面的な関わりではなく、血という根源的な関わりをもとに家族という単位を紐解いていく。どうしようもなく結びついてしまう血のつながり。これは現代社会に対するアンチテーゼであり、同時に果てしなく想うロマンでもある。

作者の筆力で読後感はすっきりしているものの、目の奥にドロリとしたしこりを残す作品。

星々の舟 (文春文庫) [ 村山 由佳 ]

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感想(49件)


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