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2020年08月06日

AX アックス 伊坂幸太郎 角川文庫

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グラスホッパー、マリアビートル、AXと続く殺し屋シリーズの最新作。らしいけど、マリアビートルを未読なので特にそれと認識せずに読み始めた。

面白い。どうやら、伊坂幸太郎の中ではこの殺し屋シリーズが一番肌に合う。

「グラスホッパー」は、複数の視点が最後にまとまってゆく様が見事だったが、本作は五編の連作のうちの四編が主人公の兜の視点で進む。最後の「FINE」では息子の克巳との視点の切り替わりで進むが、前の四編の登場人物たちの物語も同時に収束してゆく。さすが伊坂幸太郎。

まったく人物造形が上手い。闇の世界に堕ちなければいけなかった主人公、そのまわりにいる闇の住人達、主人公の光の部分を担う家族の存在。「グラスホッパー」は闇の部分をこれでもかと描いたが、本作はその闇と並行する光の部分にもかなりの重点を置いている。この殺し屋シリーズ、共通してミステリー、サスペンス、家族小説などの要素があるが、本作は家族小説の部分が多い。なので、「グラスホッパー」に比べると人が死なない。といっても、結構死ぬけど。ほっこり度は本作の方が強いので、読後感がより爽やかかもしれない。

それにしても、さすがストーリーテリングモンスター伊坂幸太郎。まったくもって脱帽です。

AX アックス (角川文庫) [ 伊坂 幸太郎 ]

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感想(9件)


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