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2020年07月02日

スマホを落としただけなのに 志駕晃 宝島社文庫

これは怖い。現代の誰にでも起こりうる怖さ。誰もが、被害者にも加害者にもなる可能性があるという怖さ。

基本的なプロットは、SNSを中心とした「なりすまし」や「ハッキング」を使った殺人事件。登場するツール類も現代的であり、犯人の病理も現代的だ。私たちは、こんなにも狂った世界に身を置いているんだと、怖くなる。

まだインターネットがさほど普及していない20年程前に、興味本位でハッカーへの扉を叩いたことがある。扉の向こうは、あってはいけないものがあったし、知ってはいけないものを知ることができた。さすがに怖くなってやめてしまったけど、やめてなかったらこの犯人みたいになってたかもしれない。ああ、怖い。

文体は読みやすいし、題材も面白いので、どんどん読み進められるけど、ミステリーとしてはどうなんだろ。ラストのトリックのための伏線もあからさまだったし。まあ、親切ってことなのかな。

でも、面白いです。推理小説独特の騙された感はないけど、サスペンス色の強いミステリーということで。

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