2019年04月23日
リュウゼツランとアオノリュウゼツランの間違い
<開花中のアオノリュウゼツラン>
1.はじめに
よく新聞などで,上のような写真を掲載して,○○公園のリュウゼツランに花が咲きました,リュウゼツランはセンチュリープラントとも呼ばれ,100年に一度しか花が咲かない植物として知られています,なんて記事を目にすることがあるのだが,こういう記事は結構まちがってることが多い
2.リュウゼツランには種類が有る
その掲載写真を見るとリュウゼツランではなく,アオノリュウゼツランという場合がある,どちらもアガベ・アメリカーナだが,青一色の方がアガベアメリカーナの基本種Agave americana,斑入りの方はアメリカーナの変種としてAgave americana var. marginataの学名が付けられている
<左:アオノリュウゼツラン 右:リュウゼツラン>
斑入りの方は,いろいろな変種や園芸種等も存在しているが,とりあえずアガベ・アメリカーナは大きく分けて,葉が青一色の原種であるアオノリュウゼツラン(Agave americana)と,斑入りの変種であるリュウゼツラン(Agave americana var. marginata)が存在するということである
3.なぜ斑入りの変種が基本種のような名前なのか
通常なら原種のAgave americanaをリュウゼツランと命名して,斑入りの変種の方は,フイリリュウゼツランとかの名称にすべきだったのだが,日本には,変種のAgave americana var. marginataの方が先に入ってきて,その時点でリュウゼツランと命名されてしまったのである
そのため,基本種のAgave americanaが入ってきた時に,しょうがなくアオノリュウゼツランの呼称を付けたわけである,ということで,リュウゼツランはアオノリュウゼツランの変種であって,学術的には,あくまでもアオノリュウゼツランが基本種,リュウゼツランはその変種なのである
4.リュウゼツランとアオノリュウゼツランは区別しよう
リュウゼツランに花が咲きました,というような場合,よくよく確認しないと,リュウゼツランではなく,アオノリュウゼツランという場合がけっこう多い,アオノリュウゼツランは生育速度も速く,株が大きくなれば10年以下の株でも開花するから,あまり珍しいこととも言えない
斑入りの方のリュウゼツランも花が咲かないわけではないが,アオノリュウゼツランに比べたら,その頻度は低い,葉の緑色の部分が少ないから葉緑素が少ないのだろうか,アオノリュウゼツランに比べたら生育も緩慢である,こちらに花が咲いたら,そこそこ珍しいので話題にして良いと思う
5.アオノリュウゼツランの生命力
ちなみにアオノリュウゼツランにかぎらず,アガベの仲間は繁殖に関して,ものすごい機能を持っている,開花は数年に一度だが,種での繁殖以外にも,球芽(ムカゴ)といわれる子株をばらまく繁殖方法もあるし,また地下茎を伸ばして子株を作ることもできる,つまり3つの繁殖方法を備えている
極めて強力な子孫を残すシステムに驚いてしまう,またアガベは光合成に関しても,日中は気孔を開けると水分が失われるので,気温の低い夜間に二酸化炭素を取り込むという,非常に複雑なCAM型光合成という,水分の少ない砂漠等の過酷な環境に対応した光合成システムを持っている,驚愕である
6.おわりに
とりあえず要点をまとめると,全体が青いほうが,和名でアオノリュウゼツランと呼ばれるアガベ・アメリカーナの基本種であり,斑入りの方は和名ではリュウゼツランとあたかもアガベ・アメリカーナの基本種みたいな名前で呼ばれているが,あくまでアオノリュウゼツランの変種である
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