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2019年07月29日
うつ病と自殺率
こころの病気の原因と対策
うつ病と自殺率
うつ病では、強い自殺の危険にさらされるケースがあることが知られています。
うつ病は、自然に寛解する
ことの多い精神障害ですが、
うつ病の方々に治療を導入
することが必要なのは、
うつ病がしばしば自殺念慮
をもたらし、
自殺の危険を高める
からです。
海外の文献によると、
精神疾患を原因とする
自殺の中で、
約36%をうつ病や双極性障害が占めていることが
報告されています。
それゆえ、うつ病を早期に
診断し、治療することが、
自殺を防止する有力な方法となるのです。
これを実証した研究としては、
新潟県で実施された、
地域の老人のうつ病を早期に診断し、治療する取り組みがあげられます。
この取り組みによって、
自殺率を2分の1以下にすることができました。
このように自殺とうつ病は、
互いに密接に結びついており、
うつ病を治療すれば自殺が減らせる、
逆に治療しなければ自殺の可能性が増す
という関係になっています。
入院から1年で完全に回復するのは50%
うつ病になった人の5人に2人は発症から3ヶ月いないに回復しはじめ、
5人に4人が1年以内に回復しはじめます。
そしてうつ病の患者の50%は、
治療を開始する以前にすでにうつ病を最低1回は
体験していることが知られています。
これは、うつ病には自然に寛解する傾向があるため、
治療を受けずに回復することが少なくないことを意味します。
うつ病の最初の入院から1年後で50%が完全に回復します。
また5年後では85〜90%が回復していると報告されています。
回復しない患者の多くは、
うつ病が慢性化した状態の気分変調症
(2年以上の長期にわたって、ほとんど中断なく、抑うつ症状が持続する)
に移行します。
薬物療法を続けないと、
退院後半年で25%が、
2年で30〜50%が、
5年で50〜75%が再発します。
これに対して、双極性障害は、多くの場合はうつ状態で発症します。
躁状態のみで、うつ状態のない双極性障害は全体の10〜20%です。
躁状態は治療をしないと3ヶ月間も続きますが、
治療をすれば数週間で治ります。
躁状態の50〜60%は炭酸リチウムなどによる薬物療法で抑えることができます。
再発を繰り返すと寛解の期間が短くなる傾向が認められます。
双極性障害患者の40〜50%は、2年以内に2回目の躁病再発を経験します。
双極性障害は再発傾向の強い病気です。
若い時期に発症したこと、
職業に不適応だった経歴があること、
アルコール依存症であること、
再発までの間に抑うつ症状が認められる場合には、
病気の経過が悪くなることが知られています。
長期予後は、全体の15%が良好、
45%は再発が多いが良好、
30%が部分的に寛解のまま経過し、
10%が慢性化するという経過をとります。
うつ病や双極性障害などの治療では、
精神療法と薬物療法とを組み合わせることが一般的です。
精神療法では、患者への教育や環境への介入を含めた
支持的精神療法が基本とされます。
また別の精神療法として、
抑うつ的認知の改善を目指す認知療法が行われています。
また、「経頭蓋磁気刺激治療法(TMS)」
という新しい治療方法が注目を集めています。
これは、脳の背外前頭前野という部位に磁気刺激を与え、
ニューロンの活動を変化させる治療方法です。
薬物と同等の効果が得られ、副作用が少なく、
比較的短期間で治療が終わるという長所があります。
薬物療法では、
最近は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、
ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)
など副作用がとても少なく、
比較的短期間で治療が終わるという長所があります。
外来治療でコントロールできない場合には
入院が必要になります。
うつ状態よりも、躁状態の患者の方が
治療を受け入れる傾向が乏しいので、
入院治療が必要となることが多くあります。
再発する傾向が強いと考えられる症例に対しては、
予防のための抗うつ薬や炭酸リチウムなどによる維持療法が行われています。
【参考文献】
ニュートン別冊 精神科医が語る 精神の病気
心の病気の原因と対策が、この1冊でよくわかる!
監修 仮屋暢聡 株式会社ニュートンプレス 2019年4月5日発行
うつ病と自殺率
うつ病では、強い自殺の危険にさらされるケースがあることが知られています。
うつ病は、自然に寛解する
ことの多い精神障害ですが、
うつ病の方々に治療を導入
することが必要なのは、
うつ病がしばしば自殺念慮
をもたらし、
自殺の危険を高める
からです。
海外の文献によると、
精神疾患を原因とする
自殺の中で、
約36%をうつ病や双極性障害が占めていることが
報告されています。
それゆえ、うつ病を早期に
診断し、治療することが、
自殺を防止する有力な方法となるのです。
これを実証した研究としては、
新潟県で実施された、
地域の老人のうつ病を早期に診断し、治療する取り組みがあげられます。
この取り組みによって、
自殺率を2分の1以下にすることができました。
このように自殺とうつ病は、
互いに密接に結びついており、
うつ病を治療すれば自殺が減らせる、
逆に治療しなければ自殺の可能性が増す
という関係になっています。
入院から1年で完全に回復するのは50%
うつ病になった人の5人に2人は発症から3ヶ月いないに回復しはじめ、
5人に4人が1年以内に回復しはじめます。
そしてうつ病の患者の50%は、
治療を開始する以前にすでにうつ病を最低1回は
体験していることが知られています。
これは、うつ病には自然に寛解する傾向があるため、
治療を受けずに回復することが少なくないことを意味します。
うつ病の最初の入院から1年後で50%が完全に回復します。
また5年後では85〜90%が回復していると報告されています。
回復しない患者の多くは、
うつ病が慢性化した状態の気分変調症
(2年以上の長期にわたって、ほとんど中断なく、抑うつ症状が持続する)
に移行します。
薬物療法を続けないと、
退院後半年で25%が、
2年で30〜50%が、
5年で50〜75%が再発します。
これに対して、双極性障害は、多くの場合はうつ状態で発症します。
躁状態のみで、うつ状態のない双極性障害は全体の10〜20%です。
躁状態は治療をしないと3ヶ月間も続きますが、
治療をすれば数週間で治ります。
躁状態の50〜60%は炭酸リチウムなどによる薬物療法で抑えることができます。
再発を繰り返すと寛解の期間が短くなる傾向が認められます。
双極性障害患者の40〜50%は、2年以内に2回目の躁病再発を経験します。
双極性障害は再発傾向の強い病気です。
若い時期に発症したこと、
職業に不適応だった経歴があること、
アルコール依存症であること、
再発までの間に抑うつ症状が認められる場合には、
病気の経過が悪くなることが知られています。
長期予後は、全体の15%が良好、
45%は再発が多いが良好、
30%が部分的に寛解のまま経過し、
10%が慢性化するという経過をとります。
うつ病や双極性障害などの治療では、
精神療法と薬物療法とを組み合わせることが一般的です。
精神療法では、患者への教育や環境への介入を含めた
支持的精神療法が基本とされます。
また別の精神療法として、
抑うつ的認知の改善を目指す認知療法が行われています。
また、「経頭蓋磁気刺激治療法(TMS)」
という新しい治療方法が注目を集めています。
これは、脳の背外前頭前野という部位に磁気刺激を与え、
ニューロンの活動を変化させる治療方法です。
薬物と同等の効果が得られ、副作用が少なく、
比較的短期間で治療が終わるという長所があります。
薬物療法では、
最近は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、
ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)
など副作用がとても少なく、
比較的短期間で治療が終わるという長所があります。
外来治療でコントロールできない場合には
入院が必要になります。
うつ状態よりも、躁状態の患者の方が
治療を受け入れる傾向が乏しいので、
入院治療が必要となることが多くあります。
再発する傾向が強いと考えられる症例に対しては、
予防のための抗うつ薬や炭酸リチウムなどによる維持療法が行われています。
【参考文献】
ニュートン別冊 精神科医が語る 精神の病気
心の病気の原因と対策が、この1冊でよくわかる!
監修 仮屋暢聡 株式会社ニュートンプレス 2019年4月5日発行
追加プレゼント申請
2019年07月28日
うつ病と自殺念慮
こころの病気の原因と対策
うつ病と自殺念慮
”最近、仕事が忙しいからか、
寝つきが悪く、朝もすっきりと目覚めません。
日中も気分がすぐれず、
ちょっとしたことでイライラします。”
うつ状態においてよく認められる精神症状です。
反面、このような体験は、
どのかたも体験されるもの
だということができます。
そもそもそれまでの人生の中
で、抑うつ的になったことがない人は、いないのではないかと思います。
問題は、抑うつ症状の程度や
その日常生活に及ぼす影響の大きさ
であるということができます。
この人の場合は、
イライラする、
気分がすぐれない、
よく眠れないということで、
仕事の能率が低下したり、
職場や家庭での
人間関係に支障が出たりしているのか、
が問題になります。
この方は
仕事の忙しさが極端になっていなかったでしょうか?
仕事のない休日は、
仕事のことを考えずに
趣味やレジャーを楽しめておいででしょうか?
このような質問で問題があるとすれば、
うつ病と診断される可能性が出てきます。
もっと大事なことは、
この状態の持続期間です。
2週間以上持続しているなら、
生活全般への影響が大きいと考えます。
医師の診察を受けるようにしてください。
心療内科、精神科、
抵抗があれば、話をよく聞いてくれると評判の内科を
受診してください。
躁状態の診断には、気分の高揚と、
精神的身体的な活動の量と速度の増加が
最低数日間は続くこと、
うつ病の診断には、
抑うつ気分及び精神運動抑制が
2週間以上続くことが必要です。
うつ病の他の診断基準としては、
氏への願望や自殺を企てたり、
自律神経系の症状である
睡眠障害や食欲不振もしくは体重減少などがあげられます。
また、うつ病では、
早朝に目覚めたり、朝に抑うつ気分が悪化する日内変動や
体重減少といった特徴が見られることがあります。
妄想が生じることもあります。
その多くが気分の状態に沿う特徴があります。
うつ病では、自分の財産が全て失われたとか、
ひどい病気にかかって、もう回復できないといった貧困妄想や心気妄想が、
躁状態では、自分が大変な財産を持っているとか、
特別な能力があるといった誇大妄想が
典型的です。
【参考文献】
ニュートン別冊 精神科医が語る 精神の病気
心の病気の原因と対策が、この1冊でよくわかる!
監修 仮屋暢聡 株式会社ニュートンプレス 2019年4月5日発行
うつ病と自殺念慮
”最近、仕事が忙しいからか、
寝つきが悪く、朝もすっきりと目覚めません。
日中も気分がすぐれず、
ちょっとしたことでイライラします。”
うつ状態においてよく認められる精神症状です。
反面、このような体験は、
どのかたも体験されるもの
だということができます。
そもそもそれまでの人生の中
で、抑うつ的になったことがない人は、いないのではないかと思います。
問題は、抑うつ症状の程度や
その日常生活に及ぼす影響の大きさ
であるということができます。
この人の場合は、
イライラする、
気分がすぐれない、
よく眠れないということで、
仕事の能率が低下したり、
職場や家庭での
人間関係に支障が出たりしているのか、
が問題になります。
この方は
仕事の忙しさが極端になっていなかったでしょうか?
仕事のない休日は、
仕事のことを考えずに
趣味やレジャーを楽しめておいででしょうか?
このような質問で問題があるとすれば、
うつ病と診断される可能性が出てきます。
もっと大事なことは、
この状態の持続期間です。
2週間以上持続しているなら、
生活全般への影響が大きいと考えます。
医師の診察を受けるようにしてください。
心療内科、精神科、
抵抗があれば、話をよく聞いてくれると評判の内科を
受診してください。
躁状態の診断には、気分の高揚と、
精神的身体的な活動の量と速度の増加が
最低数日間は続くこと、
うつ病の診断には、
抑うつ気分及び精神運動抑制が
2週間以上続くことが必要です。
うつ病の他の診断基準としては、
氏への願望や自殺を企てたり、
自律神経系の症状である
睡眠障害や食欲不振もしくは体重減少などがあげられます。
また、うつ病では、
早朝に目覚めたり、朝に抑うつ気分が悪化する日内変動や
体重減少といった特徴が見られることがあります。
妄想が生じることもあります。
その多くが気分の状態に沿う特徴があります。
うつ病では、自分の財産が全て失われたとか、
ひどい病気にかかって、もう回復できないといった貧困妄想や心気妄想が、
躁状態では、自分が大変な財産を持っているとか、
特別な能力があるといった誇大妄想が
典型的です。
【参考文献】
ニュートン別冊 精神科医が語る 精神の病気
心の病気の原因と対策が、この1冊でよくわかる!
監修 仮屋暢聡 株式会社ニュートンプレス 2019年4月5日発行
追加プレゼント申請
2019年07月27日
うつ病も双極性障害も若い世代で発症する
こころの病気の原因と対策
うつ病も双極性障害も若い世代で発症する
我が国のうつ病の生涯罹患率は3〜7%です。
一般的な傾向として、女性の方が若干比率が高くなっています。
うつ病で治療を受ける人は、
発病した人の一部に過ぎないのが、実情です。
随伴する自殺やアルコール依存などの問題に対応できないので、
うつ病になったら、
とにかく治療を受けるようにしなくてはなりません。
これに対して、我が国の双極性障害の生涯罹患率は、
0.7%ほどです。
一般的な傾向として、男女で大きな差はありません。
双極性障害の場合、躁状態が現れた場合は、
ほぼすべての人が治療を受けていると考えられています。
アメリカの調査によると、
うつ病の発症確率は20代で最も高くなっています。
しかし、高齢者が初めて発症するケースもあります。
双極性障害の発症年齢は、
うつ病よりも若干若くなっています。
人種や国によって発病率に
違いがあることは報告されていません。
ニューロンの減少や萎縮などが原因
うつ病では脳内のミクロなレベルの研究が進んでいます。
この病気では、神経伝達物質であるモノアミン
(セロトニンなど)
が減少し、
その結果起こるニューロンの発生数の減少、
ニューロンの萎縮などが
症状を引き起こすのではないかと推定されています。
さらに、ストレスに対する反応と考えられてる
コルチゾール(副腎皮質ホルモン)
などの分泌が増加している一方で、
内分泌系ん反応性が
低下していることも認められています。
このほか、脳の画像診断から
大脳皮質の活動が全般的に低下している
ことなども明らかになっています。
うつ病や双極性障害の原因には、
遺伝的要因が関係しているとされています。
特に双極性障害には
遺伝的要因が明らかに
関係していると考えられます。
家族や親族の研究だけでなく、
養子や双生児を対象にした研究においても、
双極性障害、うつ病における
遺伝的要因の関係が確認されています。
うつ病を発症するきっかけには、
重要な人物との離別や
重要なものを喪失する
分離喪失体験が多いことが特徴的です。
また、出産後にうつ病が発症することも知られています。
生まれてから早い時期に親と別れた体験がある子供には、
うつ病が発病しやすいことが確認されています。
動物実験で、
動物から外界をコントロールする感覚を奪うことを繰り返すと、
人間のうつ病に似た状態を生じさせることができます。
これは「学習された無力」実験と呼ばれており、
人間のうつ病でも同様の過程が
発病に関与していると考えられています。
つまり、強いストレスに苛まれて
外界にうまく反応できなくなる
無力の状態に陥ることによって、
うつ病が発病すると考えられるのです。
【参考文献】
ニュートン別冊 精神科医が語る 精神の病気
心の病気の原因と対策が、この1冊でよくわかる!
監修 仮屋暢聡 株式会社ニュートンプレス 2019年4月5日発行
うつ病も双極性障害も若い世代で発症する
我が国のうつ病の生涯罹患率は3〜7%です。
一般的な傾向として、女性の方が若干比率が高くなっています。
うつ病で治療を受ける人は、
発病した人の一部に過ぎないのが、実情です。
随伴する自殺やアルコール依存などの問題に対応できないので、
うつ病になったら、
とにかく治療を受けるようにしなくてはなりません。
これに対して、我が国の双極性障害の生涯罹患率は、
0.7%ほどです。
一般的な傾向として、男女で大きな差はありません。
双極性障害の場合、躁状態が現れた場合は、
ほぼすべての人が治療を受けていると考えられています。
アメリカの調査によると、
うつ病の発症確率は20代で最も高くなっています。
しかし、高齢者が初めて発症するケースもあります。
双極性障害の発症年齢は、
うつ病よりも若干若くなっています。
人種や国によって発病率に
違いがあることは報告されていません。
ニューロンの減少や萎縮などが原因
うつ病では脳内のミクロなレベルの研究が進んでいます。
この病気では、神経伝達物質であるモノアミン
(セロトニンなど)
が減少し、
その結果起こるニューロンの発生数の減少、
ニューロンの萎縮などが
症状を引き起こすのではないかと推定されています。
さらに、ストレスに対する反応と考えられてる
コルチゾール(副腎皮質ホルモン)
などの分泌が増加している一方で、
内分泌系ん反応性が
低下していることも認められています。
このほか、脳の画像診断から
大脳皮質の活動が全般的に低下している
ことなども明らかになっています。
うつ病や双極性障害の原因には、
遺伝的要因が関係しているとされています。
特に双極性障害には
遺伝的要因が明らかに
関係していると考えられます。
家族や親族の研究だけでなく、
養子や双生児を対象にした研究においても、
双極性障害、うつ病における
遺伝的要因の関係が確認されています。
うつ病を発症するきっかけには、
重要な人物との離別や
重要なものを喪失する
分離喪失体験が多いことが特徴的です。
また、出産後にうつ病が発症することも知られています。
生まれてから早い時期に親と別れた体験がある子供には、
うつ病が発病しやすいことが確認されています。
動物実験で、
動物から外界をコントロールする感覚を奪うことを繰り返すと、
人間のうつ病に似た状態を生じさせることができます。
これは「学習された無力」実験と呼ばれており、
人間のうつ病でも同様の過程が
発病に関与していると考えられています。
つまり、強いストレスに苛まれて
外界にうまく反応できなくなる
無力の状態に陥ることによって、
うつ病が発病すると考えられるのです。
【参考文献】
ニュートン別冊 精神科医が語る 精神の病気
心の病気の原因と対策が、この1冊でよくわかる!
監修 仮屋暢聡 株式会社ニュートンプレス 2019年4月5日発行
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2019年07月26日
うつ病・双極性障害
うつ病・双極性障害
落ち込みや悲壮感などの”うつ”と、
爽快感や高揚感などの”ハイな気分”の両極端な感情が持続します
うつ病や双極性障害は、古代から知られています。
紀元前9世紀、古代ギリシアのホメロスや
紀元前4世紀のヒポクラテスがこの病気について書いています。
また、旧約聖書の中にもこれらの患者の記述があります。
うつ病、双極性障害は、
気分・感情の異常として理解されています。
気分・感情は、人間の重要な精神活動の一つで、
「快と不快の方向づけを行う」、
「自律神経の状態を心理的に反映する」、
「人間関係をいろどって人間どうしを結びつける」
などの極めて広い機能を含んでいます。
気分・感情にはさまざまな容態があります。
一過性のものではなく、長く続く”異常”が『病』として
治療の対象となります。
躁とうつの違い
躁・うつ状態では特定の病的な気分状態が持続します。
まず、うつ状態では、気分の落ち込み、悲壮感などの
抑うつ気分が支配的です。
次に、それから派生する罪悪感と無価値観、絶望感、自殺念慮や
将来に対する希望のない悲壮的な見方が強まります。
また不安感やイライラなどの焦燥感も、
しばしば伴われています。
さらに意欲や関心の低下、自己評価の低下や自信喪失、
行動や思考の停滞など、
気分・感情の領域以外の抑うつ症状が見られることが一般的です。
他方、躁状態では、
爽快感、多幸感、高揚感、健康で好調だという感覚などの
躁的気分が高まります。
さらにどうしても何かをしなくてはならない、と感じる行為心迫、
注意が1点に集中できずにあちこちと移ってしまうこと、
自己評価の上昇、
次から次と考えが湧き上がって止まらなくなる
などの躁的症状が出現します。
この状態では、浪費や一方的な言動によってなどによって、
周囲との摩擦が生じやすくなります。
また、爽快気分とは対照的に、
些細なことに強く反応して
怒りっぽくなる気分状態を呈することがあります。
このような状態では、躁的気分を背景に
活動量の増大と活動速度の増加が見られます。
また、気力と活動性の亢進、
社交性の増大、多弁、
過度の馴れ馴れしさ、
性的活動の亢進、
睡眠欲求の減退も認められます。
さらに躁状態が強まると、
興奮状態を呈することがあります。
かつて「気分障害」と呼ばれていました。
「躁」と「うつ」という両極端な気分状態の出現を
主な特徴とする『病』を「双極性障害」(躁うつ病)、
”うつ”のみを「うつ病」と言いますが、
基本的に別の病気です。
2013年、精神疾患の世界的な診断基準となっている
アメリカ精神医学会の
「精神疾患の診断・統計マニュアル
(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders: DSM)」
が19年ぶりに改訂され、
「DSM-5」となりました。
このDSM-5では、双極性障害とうつ病が明確に
「双極性障害」、「抑うつ障害群」
に区分されました。
双極性障害は、統合失調症(精神分裂病)と、うつ病の間に
位置づけられるようになりました。
【参考文献】
ニュートン別冊 精神科医が語る 精神の病気
心の病気の原因と対策が、この1冊でよくわかる!
監修 仮屋暢聡 株式会社ニュートンプレス 2019年4月5日発行
落ち込みや悲壮感などの”うつ”と、
爽快感や高揚感などの”ハイな気分”の両極端な感情が持続します
うつ病や双極性障害は、古代から知られています。
紀元前9世紀、古代ギリシアのホメロスや
紀元前4世紀のヒポクラテスがこの病気について書いています。
また、旧約聖書の中にもこれらの患者の記述があります。
うつ病、双極性障害は、
気分・感情の異常として理解されています。
気分・感情は、人間の重要な精神活動の一つで、
「快と不快の方向づけを行う」、
「自律神経の状態を心理的に反映する」、
「人間関係をいろどって人間どうしを結びつける」
などの極めて広い機能を含んでいます。
気分・感情にはさまざまな容態があります。
一過性のものではなく、長く続く”異常”が『病』として
治療の対象となります。
躁とうつの違い
躁・うつ状態では特定の病的な気分状態が持続します。
まず、うつ状態では、気分の落ち込み、悲壮感などの
抑うつ気分が支配的です。
次に、それから派生する罪悪感と無価値観、絶望感、自殺念慮や
将来に対する希望のない悲壮的な見方が強まります。
また不安感やイライラなどの焦燥感も、
しばしば伴われています。
さらに意欲や関心の低下、自己評価の低下や自信喪失、
行動や思考の停滞など、
気分・感情の領域以外の抑うつ症状が見られることが一般的です。
他方、躁状態では、
爽快感、多幸感、高揚感、健康で好調だという感覚などの
躁的気分が高まります。
さらにどうしても何かをしなくてはならない、と感じる行為心迫、
注意が1点に集中できずにあちこちと移ってしまうこと、
自己評価の上昇、
次から次と考えが湧き上がって止まらなくなる
などの躁的症状が出現します。
この状態では、浪費や一方的な言動によってなどによって、
周囲との摩擦が生じやすくなります。
また、爽快気分とは対照的に、
些細なことに強く反応して
怒りっぽくなる気分状態を呈することがあります。
このような状態では、躁的気分を背景に
活動量の増大と活動速度の増加が見られます。
また、気力と活動性の亢進、
社交性の増大、多弁、
過度の馴れ馴れしさ、
性的活動の亢進、
睡眠欲求の減退も認められます。
さらに躁状態が強まると、
興奮状態を呈することがあります。
かつて「気分障害」と呼ばれていました。
「躁」と「うつ」という両極端な気分状態の出現を
主な特徴とする『病』を「双極性障害」(躁うつ病)、
”うつ”のみを「うつ病」と言いますが、
基本的に別の病気です。
2013年、精神疾患の世界的な診断基準となっている
アメリカ精神医学会の
「精神疾患の診断・統計マニュアル
(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders: DSM)」
が19年ぶりに改訂され、
「DSM-5」となりました。
このDSM-5では、双極性障害とうつ病が明確に
「双極性障害」、「抑うつ障害群」
に区分されました。
双極性障害は、統合失調症(精神分裂病)と、うつ病の間に
位置づけられるようになりました。
【参考文献】
ニュートン別冊 精神科医が語る 精神の病気
心の病気の原因と対策が、この1冊でよくわかる!
監修 仮屋暢聡 株式会社ニュートンプレス 2019年4月5日発行
追加プレゼント申請
2019年07月25日
"申請すればもらえるお金"最新リスト20A
"申請すればもらえるお金"最新リスト20A
存在を知らないで大損する人が多い
風呂内 亜矢 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
PRESIDENT 2019年5月13日号参照
修学旅行費の全額が支給?!
また、子どもが小学校入学を控える家庭での大きな出費といえば
ランドセルの購入などの入学準備の費用があげられますが、
各自治体が行っている
「就学援助制度」
を利用すれば負担を減らすことができます。
収入の制限はありますが、
最大で約4万円(市町村によって多少異なる)の補助金が出ます。
なお、この就学援助制度がカバーする内容は多岐にわたり、
たとえば中学校の修学旅行にかかる費用も
(交通費、宿泊費、記念写真代、保険料など)
諸条件をクリアさえすれば自治体が負担してくれる場合があります。
ちなみに、茨城県日立市や大阪府摂津市は、
収入などの条件なしに
ランドセルを現物支給してくれる自治体です。
現状で健康に問題がなくてもある日突然、
重い病や大きなケガに襲われることも、
人ごととはいえません。
そんなときに心強いのが
「高額療養費制度」です。
病院への支払いが一定額を超えると、
その分のお金が年齢や所得に応じて戻ってくるものです。
一例として、69歳以下で年収が400万円の人に、
1カ月の医療費が100万円かかったとします。
健康保険が適用される場合、自己負担は3割ですので、
本来は30万円の支払いとなるところ、
この制度を使えば21万円以上が戻ってきます。
手続きに関する詳細は
それぞれの健康保険組合や
自治体の国民健康保険窓口で確認してください。
このほかにもお得なサポート制度が。
たとえば、スキルアップを図ることは転職を目指すうえで有利に働きますが、
「教育訓練給付金」
を申請すれば、
資格や技術の取得にかかった費用の20〜50%
(上限10万〜40万円)が戻ってきます。
英会話やパソコン教室、FPに簿記の資格講座など、
給付の対象となる教育訓練の種類はあらかじめ定められていますが、
受給条件は雇用保険の被保険者であった期間が3年以上あるだけでOK。
さらに初回は1年以上で給付が受けられるため、
入社2年目の若手社員も利用できます。
存在を知らないで大損する人が多い
風呂内 亜矢 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
PRESIDENT 2019年5月13日号参照
修学旅行費の全額が支給?!
また、子どもが小学校入学を控える家庭での大きな出費といえば
ランドセルの購入などの入学準備の費用があげられますが、
各自治体が行っている
「就学援助制度」
を利用すれば負担を減らすことができます。
収入の制限はありますが、
最大で約4万円(市町村によって多少異なる)の補助金が出ます。
なお、この就学援助制度がカバーする内容は多岐にわたり、
たとえば中学校の修学旅行にかかる費用も
(交通費、宿泊費、記念写真代、保険料など)
諸条件をクリアさえすれば自治体が負担してくれる場合があります。
ちなみに、茨城県日立市や大阪府摂津市は、
収入などの条件なしに
ランドセルを現物支給してくれる自治体です。
現状で健康に問題がなくてもある日突然、
重い病や大きなケガに襲われることも、
人ごととはいえません。
そんなときに心強いのが
「高額療養費制度」です。
病院への支払いが一定額を超えると、
その分のお金が年齢や所得に応じて戻ってくるものです。
一例として、69歳以下で年収が400万円の人に、
1カ月の医療費が100万円かかったとします。
健康保険が適用される場合、自己負担は3割ですので、
本来は30万円の支払いとなるところ、
この制度を使えば21万円以上が戻ってきます。
手続きに関する詳細は
それぞれの健康保険組合や
自治体の国民健康保険窓口で確認してください。
このほかにもお得なサポート制度が。
たとえば、スキルアップを図ることは転職を目指すうえで有利に働きますが、
「教育訓練給付金」
を申請すれば、
資格や技術の取得にかかった費用の20〜50%
(上限10万〜40万円)が戻ってきます。
英会話やパソコン教室、FPに簿記の資格講座など、
給付の対象となる教育訓練の種類はあらかじめ定められていますが、
受給条件は雇用保険の被保険者であった期間が3年以上あるだけでOK。
さらに初回は1年以上で給付が受けられるため、
入社2年目の若手社員も利用できます。
追加プレゼント申請
2019年07月24日
"申請すればもらえるお金"最新リスト20@
"申請すればもらえるお金"最新リスト20@
存在を知らないで大損する人が多い
風呂内 亜矢 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
PRESIDENT 2019年5月13日号参照
活用すれば100万円単位で得することも可能な、
国や自治体が行うサポート制度。
使わないのはあまりにもったいない!
マイホーム購入で、最大30万円
転職や失業、出産に住宅購入など、人生にはまとまったお金が必要なタイミングがやってきますが、
実はそういった個人の出費に対して、
国や自治体が金銭面でサポートしている事実を知らない方が意外と多いです。
サポート制度には大きく2つのタイプがあります。
助成金や補助金、支払いの軽減といった形で『お金がもらえる』ものと、
税金の控除によって『お金が戻ってくるもの』で、
いずれの場合も、しかるべき窓口で届け出を行えば
サポートを受けられる仕組みになっており、
ここでは特に働き世代の役に立ちそうな情報をご紹介します。
まずは「すまい給付金」です。
これはマイホーム購入時の負担を少しでも減らすために
現金を支給しようという制度で、
住宅ローン控除の補完的な位置づけになっています。
給付にあたっては床面積や収入、第三者機関の検査などいくつか条件があり、
給付額も年収額などによって異なりますが、
消費税率8%の状況下では30万円が、10%になった場合は50万円が
最高額として支払われます
(詳しくは、すまい給付金HP内にて確認可能)。
住宅関連では、マンション投資中の会社員へのサポートもあります。
東京の文京区が推進している「文京すまいるプロジェクト」では、
65歳以上の高齢者やひとり親世帯などに物件を貸すと、
物件ひとつにつき最大2万円の謝礼を受けることができます。
賃貸に出すことで上乗せの補助を行う自治体は珍しいですが、
高齢者が賃貸住宅を借りにくい状況は全国の都市部では共通の問題です。
高齢者への貸し出しについては自治体が積極的に入居者を探すケースなどもあるため、
お住まいの自治体で類する制度がないか確認してみるといいでしょう。
今後、文京区のあとを追う自治体が増えていく可能性も十分に考えられます。
続いて出産と子育て関連のサポート。
今や6組に1組の夫婦が受けていると言われる不妊治療は、
費用が高額なうえに保険も適用外と、
経済的な負担の大きいイメージがありますが、
「特定不妊治療助成金」を利用すれば、その負担は軽減されます。
対象条件は、夫婦の合計所得が730万円未満、
妻の年齢が43歳未満などで、
30代の妻の場合、最大105万円までの助成金を受けられます
(初回治療で30万円+2回目から6回目までの治療で各15万円)。
ただし、妻の年齢が40歳以上になると、
給付を受けられる回数が3回に減るため、注意が必要です。
この特定不妊治療助成金に関してもっとも注目すべき点は、
2015年以降、サポートの対象に夫も含まれたことでしょう。
男性不妊の治療である精子採取に対して
1回につき上限15万円が支払われる運びとなりました。
制度の有用性が格段に高まったのは間違いありません。
存在を知らないで大損する人が多い
風呂内 亜矢 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
PRESIDENT 2019年5月13日号参照
活用すれば100万円単位で得することも可能な、
国や自治体が行うサポート制度。
使わないのはあまりにもったいない!
マイホーム購入で、最大30万円
転職や失業、出産に住宅購入など、人生にはまとまったお金が必要なタイミングがやってきますが、
実はそういった個人の出費に対して、
国や自治体が金銭面でサポートしている事実を知らない方が意外と多いです。
サポート制度には大きく2つのタイプがあります。
助成金や補助金、支払いの軽減といった形で『お金がもらえる』ものと、
税金の控除によって『お金が戻ってくるもの』で、
いずれの場合も、しかるべき窓口で届け出を行えば
サポートを受けられる仕組みになっており、
ここでは特に働き世代の役に立ちそうな情報をご紹介します。
まずは「すまい給付金」です。
これはマイホーム購入時の負担を少しでも減らすために
現金を支給しようという制度で、
住宅ローン控除の補完的な位置づけになっています。
給付にあたっては床面積や収入、第三者機関の検査などいくつか条件があり、
給付額も年収額などによって異なりますが、
消費税率8%の状況下では30万円が、10%になった場合は50万円が
最高額として支払われます
(詳しくは、すまい給付金HP内にて確認可能)。
住宅関連では、マンション投資中の会社員へのサポートもあります。
東京の文京区が推進している「文京すまいるプロジェクト」では、
65歳以上の高齢者やひとり親世帯などに物件を貸すと、
物件ひとつにつき最大2万円の謝礼を受けることができます。
賃貸に出すことで上乗せの補助を行う自治体は珍しいですが、
高齢者が賃貸住宅を借りにくい状況は全国の都市部では共通の問題です。
高齢者への貸し出しについては自治体が積極的に入居者を探すケースなどもあるため、
お住まいの自治体で類する制度がないか確認してみるといいでしょう。
今後、文京区のあとを追う自治体が増えていく可能性も十分に考えられます。
続いて出産と子育て関連のサポート。
今や6組に1組の夫婦が受けていると言われる不妊治療は、
費用が高額なうえに保険も適用外と、
経済的な負担の大きいイメージがありますが、
「特定不妊治療助成金」を利用すれば、その負担は軽減されます。
対象条件は、夫婦の合計所得が730万円未満、
妻の年齢が43歳未満などで、
30代の妻の場合、最大105万円までの助成金を受けられます
(初回治療で30万円+2回目から6回目までの治療で各15万円)。
ただし、妻の年齢が40歳以上になると、
給付を受けられる回数が3回に減るため、注意が必要です。
この特定不妊治療助成金に関してもっとも注目すべき点は、
2015年以降、サポートの対象に夫も含まれたことでしょう。
男性不妊の治療である精子採取に対して
1回につき上限15万円が支払われる運びとなりました。
制度の有用性が格段に高まったのは間違いありません。
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2019年07月23日
こころの病気の原因と対策
こころの病気の原因と対策
現代は、ストレス時代と言われており、
うつ病や睡眠障害などの
「こころの病気」が社会に広まってきていると言われています。
わが国の精神疾患の患者数は、増加傾向にあります。
特に、気分障害や神経症障害(不安障害、強迫性障害)など、
ストレスが原因で発症する精神疾患が増えています。
昔は、都心部から離れた限られた場所に
精神科病院を作り、
患者はそこに入院させるという方針が積極的に取られていました。
しかし、患者の病気を直して社会復帰させるという
長期的な目標を考えた時、
患者を隔離しておくことは
良い方向には働きません。
平成16年、わが国では、
患者が地元で暮らし、
総合病院や診療所で通院治療を受けながら、
病気を直していけるように
対策を変換しました。
具体的には、医師が診療所などを開業しやすくなるよう、
診療報酬を改定したのです。
これにより、これまで精神科の病院がなかった
都心部や患者の地元にも診療所ができ、
患者が通院しやすい環境ができました。
こうした流れの中で、
特に気分障害、神経症性障害などの
入院患者数の割合は、
通院患者数の割合よりも
ずっと少なくなりました。
精神科、精神神経科、心療内科、神経内科(脳神経内科)の違い
『精神科・精神神経科』
統合失調症(精神分裂病)、認知症、てんかんや、うつ病、神経症性障害などの病気を診ています。
『神経内科(脳神経内科)』
パーキンソン病や脳梗塞、認知症、てんかん、手足の麻痺やふるえなど、
脳や脊髄、神経、筋肉の病気を診ます。
脳神経外科が、脳神経疾患をメスで治そうとする(観血的治療)科なら、
神経内科(脳神経内科)は薬で治そうとする科です。
『心療内科』
本来は「こころ」が原因で「からだ」に症状を引き起こす
いわゆる「心身症」が主な治療対象です。
精神とこころを扱う診療科として、一番新しくできた診療科です。
九州大学の池見酉次郎教授が日本に戦後、導入しました。
医学部に「心療内科」が講座としてある医学部は少なく、
心身症を扱う科が「心療内科」だという認識が世間に広がり、
精神科・精神神経科に入局した先生が、
開業する際に『心療内科』の診療科名を掲げることが多くなってきました。
クリニック、病院、センターの違い
精神科診療所(クリニック)
入院用のベッドを持たないところ
(19床以下のベッドを備えているところが例外的にあります)
うつ病、不安障害、認知症、統合失調症など、精神科の様々な病気を診ています
精神科病院
20床以上のベッドを持っており、入院できるところです。
病院によっては、救急医療(普通の救急ではなく、警察がらみのことが多いです)や
子供・依存症などの専門的な医療を行っているところもあります。
総合的な病院の精神科
たくさんの診療科をもつ総合的な病院で、精神科の診療も行っています。
体と精神の病気を一緒に診てもらいたい場合などに役立ちます。
保健所(保健センター)
各地域にある保健所(保健センター)は、
こころの問題を含め、
さまざまな病気や生活の問題の相談に乗ってくれます。
精神科の受診が必要なのかどうかわからないときや、
患者の家族や知人が相談したいときなどに気軽に相談できます。
精神保健福祉センター
こころの問題に関わる専門的な相談を受け付けています。
「アルコールや薬物依存」、「引きこもり」、「発達障害」、
「認知症」など、専門的な相談にも対応できます。
「こころの健康センター」などと呼ばれている場合もあります。
各都道府県と政令指定都市に1ヶ所以上設置されています。
【参考文献】
ニュートン別冊 精神科医が語る 精神の病気
心の病気の原因と対策が、この1冊でよくわかる!
監修 仮屋暢聡 株式会社ニュートンプレス 2019年4月5日発行
現代は、ストレス時代と言われており、
うつ病や睡眠障害などの
「こころの病気」が社会に広まってきていると言われています。
わが国の精神疾患の患者数は、増加傾向にあります。
特に、気分障害や神経症障害(不安障害、強迫性障害)など、
ストレスが原因で発症する精神疾患が増えています。
昔は、都心部から離れた限られた場所に
精神科病院を作り、
患者はそこに入院させるという方針が積極的に取られていました。
しかし、患者の病気を直して社会復帰させるという
長期的な目標を考えた時、
患者を隔離しておくことは
良い方向には働きません。
平成16年、わが国では、
患者が地元で暮らし、
総合病院や診療所で通院治療を受けながら、
病気を直していけるように
対策を変換しました。
具体的には、医師が診療所などを開業しやすくなるよう、
診療報酬を改定したのです。
これにより、これまで精神科の病院がなかった
都心部や患者の地元にも診療所ができ、
患者が通院しやすい環境ができました。
こうした流れの中で、
特に気分障害、神経症性障害などの
入院患者数の割合は、
通院患者数の割合よりも
ずっと少なくなりました。
精神科、精神神経科、心療内科、神経内科(脳神経内科)の違い
『精神科・精神神経科』
統合失調症(精神分裂病)、認知症、てんかんや、うつ病、神経症性障害などの病気を診ています。
『神経内科(脳神経内科)』
パーキンソン病や脳梗塞、認知症、てんかん、手足の麻痺やふるえなど、
脳や脊髄、神経、筋肉の病気を診ます。
脳神経外科が、脳神経疾患をメスで治そうとする(観血的治療)科なら、
神経内科(脳神経内科)は薬で治そうとする科です。
『心療内科』
本来は「こころ」が原因で「からだ」に症状を引き起こす
いわゆる「心身症」が主な治療対象です。
精神とこころを扱う診療科として、一番新しくできた診療科です。
九州大学の池見酉次郎教授が日本に戦後、導入しました。
医学部に「心療内科」が講座としてある医学部は少なく、
心身症を扱う科が「心療内科」だという認識が世間に広がり、
精神科・精神神経科に入局した先生が、
開業する際に『心療内科』の診療科名を掲げることが多くなってきました。
クリニック、病院、センターの違い
精神科診療所(クリニック)
入院用のベッドを持たないところ
(19床以下のベッドを備えているところが例外的にあります)
うつ病、不安障害、認知症、統合失調症など、精神科の様々な病気を診ています
精神科病院
20床以上のベッドを持っており、入院できるところです。
病院によっては、救急医療(普通の救急ではなく、警察がらみのことが多いです)や
子供・依存症などの専門的な医療を行っているところもあります。
総合的な病院の精神科
たくさんの診療科をもつ総合的な病院で、精神科の診療も行っています。
体と精神の病気を一緒に診てもらいたい場合などに役立ちます。
保健所(保健センター)
各地域にある保健所(保健センター)は、
こころの問題を含め、
さまざまな病気や生活の問題の相談に乗ってくれます。
精神科の受診が必要なのかどうかわからないときや、
患者の家族や知人が相談したいときなどに気軽に相談できます。
精神保健福祉センター
こころの問題に関わる専門的な相談を受け付けています。
「アルコールや薬物依存」、「引きこもり」、「発達障害」、
「認知症」など、専門的な相談にも対応できます。
「こころの健康センター」などと呼ばれている場合もあります。
各都道府県と政令指定都市に1ヶ所以上設置されています。
【参考文献】
ニュートン別冊 精神科医が語る 精神の病気
心の病気の原因と対策が、この1冊でよくわかる!
監修 仮屋暢聡 株式会社ニュートンプレス 2019年4月5日発行
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2019年07月22日
ゲーム依存症は「精神疾患」...WHOが分類改訂
(ゲーム依存症=薬物、アルコール、報酬系に関わる悪い神経回路
〈1〉ゲームの時間や頻度などをコントロールできない
〈2〉家庭、学校、職場など日常生活に大きな問題が生じても、ゲームにのめり込む
〈3〉こうした行動が1年以上続く)
ゲーム依存症は「精神疾患」...WHOが分類改訂〔読売新聞〕
2019年05月27日 15:16
世界保健機関(WHO)は25日、
スイス・ジュネーブで開かれている年次総会の委員会で、
オンラインゲームなどにのめり込み、
生活や健康に深刻な影響が出た状態を
「ゲーム障害」(ゲーム依存症)と呼び、
精神疾患と位置付ける「国際疾病分類」を正式決定した。
国際疾病分類は病気の調査・統計に関する国際的な基準で、改訂は29年ぶりとなる。
ゲーム依存症は、アルコールやギャンブルなどの依存症と同様に治療が必要な疾病となる。
WHOの診断基準では、
〈1〉ゲームの時間や頻度などをコントロールできない
〈2〉家庭、学校、職場など日常生活に大きな問題が生じても、ゲームにのめり込む
〈3〉こうした行動が1年以上続く――などの状態は依存症の可能性がある。
WHOは昨年6月、国際疾病分類の改訂案を公表し、
各国政府や専門家から意見を募った。
正式決定を受け、2022年1月に発効する見通しで、
ゲーム依存症の実態把握が進むことが期待される。
欧州の調査会社によると、
世界のゲーム人口は推計で約23億人。
WHOは2〜3%が依存症の恐れがあると試算する。
国内の関連学会は今後、
新しい基準に基づき正確な診断ができるよう、
手引を作成する。
国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県)の樋口進院長は
「国内にゲーム依存症を診断・治療できる医療機関はまだ少ない。
国は、予防も含め積極的な対策を検討してほしい」と話す。
ゲーム依存症などの啓発活動を行う
民間団体「エンジェルズアイズ」の遠藤美季代表は
「今の子どもたちは、ゲーム機でもあるスマートフォンに幼い頃から触れており、
スマホとの付き合い方を社会全体で考えるべきだ」と指摘している。
(2019年5月27日 読売新聞)
〈1〉ゲームの時間や頻度などをコントロールできない
〈2〉家庭、学校、職場など日常生活に大きな問題が生じても、ゲームにのめり込む
〈3〉こうした行動が1年以上続く)
ゲーム依存症は「精神疾患」...WHOが分類改訂〔読売新聞〕
2019年05月27日 15:16
世界保健機関(WHO)は25日、
スイス・ジュネーブで開かれている年次総会の委員会で、
オンラインゲームなどにのめり込み、
生活や健康に深刻な影響が出た状態を
「ゲーム障害」(ゲーム依存症)と呼び、
精神疾患と位置付ける「国際疾病分類」を正式決定した。
国際疾病分類は病気の調査・統計に関する国際的な基準で、改訂は29年ぶりとなる。
ゲーム依存症は、アルコールやギャンブルなどの依存症と同様に治療が必要な疾病となる。
WHOの診断基準では、
〈1〉ゲームの時間や頻度などをコントロールできない
〈2〉家庭、学校、職場など日常生活に大きな問題が生じても、ゲームにのめり込む
〈3〉こうした行動が1年以上続く――などの状態は依存症の可能性がある。
WHOは昨年6月、国際疾病分類の改訂案を公表し、
各国政府や専門家から意見を募った。
正式決定を受け、2022年1月に発効する見通しで、
ゲーム依存症の実態把握が進むことが期待される。
欧州の調査会社によると、
世界のゲーム人口は推計で約23億人。
WHOは2〜3%が依存症の恐れがあると試算する。
国内の関連学会は今後、
新しい基準に基づき正確な診断ができるよう、
手引を作成する。
国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県)の樋口進院長は
「国内にゲーム依存症を診断・治療できる医療機関はまだ少ない。
国は、予防も含め積極的な対策を検討してほしい」と話す。
ゲーム依存症などの啓発活動を行う
民間団体「エンジェルズアイズ」の遠藤美季代表は
「今の子どもたちは、ゲーム機でもあるスマートフォンに幼い頃から触れており、
スマホとの付き合い方を社会全体で考えるべきだ」と指摘している。
(2019年5月27日 読売新聞)
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2019年07月21日
人を取り巻く環境を考えるG
最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と環境
人を取り巻く環境を考えるG
ストレスを緩和させる環境を作る
典拠は、多かれ少なかれ、心理学的にストレスを与えます。
この場合、転勤や就職などを理由に前向きな気持ちで転居をする当事者よりも、
転居に付き添わされる家族の方が、強いストレスを感じると言われています。
災害による転居は、このような望まない転居の一つです。
しかも転居先は、プライバシーの確保が難しい密集環境であったり、
行動の制約が大きい環境であったりするため、
心理的負担も大きくなります。
さらには、地震や津波の破壊などによる
故郷や思い出の場所の喪失は、
「愛着環境の喪失」
となり、非常に強いストレスとなります。
環境の変化によるうつ病の発症を予防するためには、
環境からストレスとなる要因そのものを取り除くのが一番ですが、
多くの場合、それは困難です。
そのため、少しでもストレスを緩和させる方法を模索することになります。
ストレスを緩和させる環境のことを
「回復環境」と呼びます。
例えば、「愛着環境の喪失」に伴うストレスの緩和には、
地域や家族、友人のサポートが有効であることが報告されています。
また、自然に触れること、自然を見ること
(絵や写真でも有効)
で、多くのストレスが緩和されることがわかっています。
愛着をもたらす居住環境の整備
現代社会では、多かれ少なかれ、密集した環境での生活を余儀なくされています。
そこで、環境心理学の研究から得られた知見を、
都市計画や居住空間の設計に応用し、
ストレスを緩和する環境を作っていく取り組みがなされています。
どのような環境に愛着を感じ、
どのような環境にストレスを感じるかは、
人それぞれ違っています。
人との密集なコミュニケーションを好む人が、
都会の高層住宅に暮らせば、
孤立感から強いストレスを感じるでしょう。
逆に、人から干渉されることを好まない人であれば、
開放的で結びつきの強い田舎の集落のような環境は適切ではありません。
また、自身の年齢や子供の成長に伴うライフステージの変化などによっても、
暮らしやすいと感じる環境は変化していくでしょう。
このように、人と環境との関係は、
時と場合によって変化し、何が正しいとは言い切れません。
ただ一つ言えるのは、住む環境においては、
「パーソナリゼーション(空間による自己表出)」
が非常に重要だということです。
自分好みの環境を作り出すことで、愛着が生まれます。
例えば、家の中で個室を与えられると、
その個室を自分好みの部屋にすることで、
部屋への愛着が生まれて、
自分がどのような人間かを確認する
自己同一性(アイデンティティ)
の確率がしやすくなったりします。
都市環境全体を見た場合も、愛着の高まりは重要です。
そのためには、画一的な都市開発ではなく、
地域特性を生かした個性ある街づくりをしていく必要があります。
埼玉県川越市が整備している小江戸風景の整備などが、この一例になります。
そこに暮らす住民が、街の景観づくりに関心を持ち、
自分たちの好みの街に整備していくことで、
街に対する愛着を高めていくことができます。
それにより、地域全体に対しての自然監視の力が強くなり、
非行や犯罪を抑える効果も期待できます。
物理的環境を変えることで、
全ての心理学的問題を解決しようとする
取り組みには限界があります。
しかし、そこに暮らす個々人が、
自分の特性(年齢やライフスタイルなど)
を考慮して住まい方を工夫することで、
改善できることは多くあります。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と環境
人を取り巻く環境を考えるG
ストレスを緩和させる環境を作る
典拠は、多かれ少なかれ、心理学的にストレスを与えます。
この場合、転勤や就職などを理由に前向きな気持ちで転居をする当事者よりも、
転居に付き添わされる家族の方が、強いストレスを感じると言われています。
災害による転居は、このような望まない転居の一つです。
しかも転居先は、プライバシーの確保が難しい密集環境であったり、
行動の制約が大きい環境であったりするため、
心理的負担も大きくなります。
さらには、地震や津波の破壊などによる
故郷や思い出の場所の喪失は、
「愛着環境の喪失」
となり、非常に強いストレスとなります。
環境の変化によるうつ病の発症を予防するためには、
環境からストレスとなる要因そのものを取り除くのが一番ですが、
多くの場合、それは困難です。
そのため、少しでもストレスを緩和させる方法を模索することになります。
ストレスを緩和させる環境のことを
「回復環境」と呼びます。
例えば、「愛着環境の喪失」に伴うストレスの緩和には、
地域や家族、友人のサポートが有効であることが報告されています。
また、自然に触れること、自然を見ること
(絵や写真でも有効)
で、多くのストレスが緩和されることがわかっています。
愛着をもたらす居住環境の整備
現代社会では、多かれ少なかれ、密集した環境での生活を余儀なくされています。
そこで、環境心理学の研究から得られた知見を、
都市計画や居住空間の設計に応用し、
ストレスを緩和する環境を作っていく取り組みがなされています。
どのような環境に愛着を感じ、
どのような環境にストレスを感じるかは、
人それぞれ違っています。
人との密集なコミュニケーションを好む人が、
都会の高層住宅に暮らせば、
孤立感から強いストレスを感じるでしょう。
逆に、人から干渉されることを好まない人であれば、
開放的で結びつきの強い田舎の集落のような環境は適切ではありません。
また、自身の年齢や子供の成長に伴うライフステージの変化などによっても、
暮らしやすいと感じる環境は変化していくでしょう。
このように、人と環境との関係は、
時と場合によって変化し、何が正しいとは言い切れません。
ただ一つ言えるのは、住む環境においては、
「パーソナリゼーション(空間による自己表出)」
が非常に重要だということです。
自分好みの環境を作り出すことで、愛着が生まれます。
例えば、家の中で個室を与えられると、
その個室を自分好みの部屋にすることで、
部屋への愛着が生まれて、
自分がどのような人間かを確認する
自己同一性(アイデンティティ)
の確率がしやすくなったりします。
都市環境全体を見た場合も、愛着の高まりは重要です。
そのためには、画一的な都市開発ではなく、
地域特性を生かした個性ある街づくりをしていく必要があります。
埼玉県川越市が整備している小江戸風景の整備などが、この一例になります。
そこに暮らす住民が、街の景観づくりに関心を持ち、
自分たちの好みの街に整備していくことで、
街に対する愛着を高めていくことができます。
それにより、地域全体に対しての自然監視の力が強くなり、
非行や犯罪を抑える効果も期待できます。
物理的環境を変えることで、
全ての心理学的問題を解決しようとする
取り組みには限界があります。
しかし、そこに暮らす個々人が、
自分の特性(年齢やライフスタイルなど)
を考慮して住まい方を工夫することで、
改善できることは多くあります。
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2019年07月20日
人を取り巻く環境を考えるF
最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と環境
人を取り巻く環境を考えるF
うつ病などの精神疾患が起きやすい環境とは
うつ病は、近年特に増えている精神疾患で、
厚生労働省が平成26年に行った調査では、
患者数は約73万人と推計されています。
人間なら誰しも、嫌なことや悲しいことがあると気分が落ち込み、
塞ぎ込みがちになります。
しかし、うつ病は、そのような一時的な感情のゆらぎではありません。
脳の中の、モノアミン系(ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンなど)
の神経伝達物質の減少が原因の一つと考えられており、
決して心の持ち方だけで解決できるものではなく、
脳科学的な治療も必要な疾患です。
うつ病を引き起こすストレスなどの要因は、
個人の考え方や生活環境によって異なります。
ストレスを引き起こす環境として、
騒音環境(電車や車の音、にぎやかな話し声など)、
密集環境(集合住宅、隣の家との距離が近いなど)、
そして災害によって引き起こされる環境の変化などが言われていますが、
それらの環境から感じるストレスの種類や大きさは人によって違っています。
ここからは、環境とストレス、
及びストレスによって生じる精神疾患との関係について見ていきましょう。
密集環境がうつ症状をもたらす
密集環境の中でも、特に高層集合住宅は、
ストレスの要因になりやすいことが報告されています。
高層集合住宅は大規模な建物であることが多く、
多くの居住者はお互いのことを知らぬまま生活しています。
このような、見知らぬ居住者と毎日どこかで遭遇する可能性がある状態は、
大変なストレスになります。
高層集合住宅では、高層階に住む居住者ほど、
強いストレスを感じる傾向があることも
報告されています。
さらに、高層階の居住者を対象とした調査では、
こ血圧になりやすい傾向や、
喫煙率が高くなる傾向が報告されています。
また、幼児・小児については、
一人で行動できる範囲が極めて狭くなるため、
自立が遅れ、母子密集(依存)の割合が高くなるとも言われています。
また、災害により、
これまで慣れ親しんだコミュニティを離れて
転居を余儀なくされる場合も、
大きなストレスを感じます。
仮設住宅などの密集した住宅で暮らすと、
不慣れな場所での暮らしに加えて、
知らない人と顔を合わせなければいけなかったり、
周囲の物音が気になったり、
プライバシーの維持・確保が難しくなったりすることで
ストレスが大きくなります。
このようなストレスや不安から不眠になり、
うつ状態が出たりします。
さらには、災害で怪我や病気を患ったり、
身内を亡くしたり、
職場や自宅を失ったりすることから、
病的なうつ病に発展してしまうこともあります。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と環境
人を取り巻く環境を考えるF
うつ病などの精神疾患が起きやすい環境とは
うつ病は、近年特に増えている精神疾患で、
厚生労働省が平成26年に行った調査では、
患者数は約73万人と推計されています。
人間なら誰しも、嫌なことや悲しいことがあると気分が落ち込み、
塞ぎ込みがちになります。
しかし、うつ病は、そのような一時的な感情のゆらぎではありません。
脳の中の、モノアミン系(ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンなど)
の神経伝達物質の減少が原因の一つと考えられており、
決して心の持ち方だけで解決できるものではなく、
脳科学的な治療も必要な疾患です。
うつ病を引き起こすストレスなどの要因は、
個人の考え方や生活環境によって異なります。
ストレスを引き起こす環境として、
騒音環境(電車や車の音、にぎやかな話し声など)、
密集環境(集合住宅、隣の家との距離が近いなど)、
そして災害によって引き起こされる環境の変化などが言われていますが、
それらの環境から感じるストレスの種類や大きさは人によって違っています。
ここからは、環境とストレス、
及びストレスによって生じる精神疾患との関係について見ていきましょう。
密集環境がうつ症状をもたらす
密集環境の中でも、特に高層集合住宅は、
ストレスの要因になりやすいことが報告されています。
高層集合住宅は大規模な建物であることが多く、
多くの居住者はお互いのことを知らぬまま生活しています。
このような、見知らぬ居住者と毎日どこかで遭遇する可能性がある状態は、
大変なストレスになります。
高層集合住宅では、高層階に住む居住者ほど、
強いストレスを感じる傾向があることも
報告されています。
さらに、高層階の居住者を対象とした調査では、
こ血圧になりやすい傾向や、
喫煙率が高くなる傾向が報告されています。
また、幼児・小児については、
一人で行動できる範囲が極めて狭くなるため、
自立が遅れ、母子密集(依存)の割合が高くなるとも言われています。
また、災害により、
これまで慣れ親しんだコミュニティを離れて
転居を余儀なくされる場合も、
大きなストレスを感じます。
仮設住宅などの密集した住宅で暮らすと、
不慣れな場所での暮らしに加えて、
知らない人と顔を合わせなければいけなかったり、
周囲の物音が気になったり、
プライバシーの維持・確保が難しくなったりすることで
ストレスが大きくなります。
このようなストレスや不安から不眠になり、
うつ状態が出たりします。
さらには、災害で怪我や病気を患ったり、
身内を亡くしたり、
職場や自宅を失ったりすることから、
病的なうつ病に発展してしまうこともあります。