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2019年07月09日
不安症・強迫症@
最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と治療
不安症・強迫症@
異常な不安や恐怖、トラウマを生じる
誰しも日常生活の中で、不安な気持ちになったり、
恐怖を感じたりすることはあります。
不安症は、生活に支障をきたすほどの強い不安を感じる病気です。
例えば、何の前触れもなく、突然呼吸が苦しくなったり、動悸がしたり、
失神してしまったりする「パニック発作」という症状があります。
パニック発作が起きた時の不安感は凄まじく、
死んでしまうのではないかと思うほどです。
症状は20〜30分で収まりますが、
患者はまた発作が起きるのではないか、
と常に強い不安にとらわれながら過ごすことになります。
また、不安症の中には、ある特定のものに異常な恐怖を抱き、
近寄ることすらできなくなる「恐怖症」というものもあります。
すぐに逃げ出したり、助けを求めたりすることができない
人混み、エレベーター、乗り物、広場などを怖がって避ける
「広場恐怖症」や、
他人から注目・評価されたり、人前で恥をかいたりすることを
極端に怖がる「社交恐怖症」などです。
また、症状の重さから治療に困難を伴う疾患に、
「強迫症」があります。
強迫症は、自分でもおかしいと思いつつ、
不安を起こす強迫観念を打ち払うために
同じ行為をずっとやり続けてしまう病気です。
例えば、何度も手を洗わないと気が済まずにずっと洗い続ける
「脅迫洗浄」、
家の鍵をかけたかを何度も確認しないと気が済まない
「確認脅迫」などがあります。
患者は、これらの行為を止められると強い不安に襲われます。
また、戦争、災害、事故などに遭遇した人は、
「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」を発症してしまうことがあります。
これは、戦争、災害、事故などによって受けた
心的外傷後ストレス(トラウマ)に対して、
症状が洗われてしまうものです。
患者は、フラッシュバック(出来事が急に頭に浮かんでくる)や
夢などのより、その出来事を繰り返し体験したり、
感情が鈍ったり、
トラウマを思い起こさせる状況にあうと恐怖やパニックを起こしたりします。
明日は『治療法』について、です。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と治療
不安症・強迫症@
異常な不安や恐怖、トラウマを生じる
誰しも日常生活の中で、不安な気持ちになったり、
恐怖を感じたりすることはあります。
不安症は、生活に支障をきたすほどの強い不安を感じる病気です。
例えば、何の前触れもなく、突然呼吸が苦しくなったり、動悸がしたり、
失神してしまったりする「パニック発作」という症状があります。
パニック発作が起きた時の不安感は凄まじく、
死んでしまうのではないかと思うほどです。
症状は20〜30分で収まりますが、
患者はまた発作が起きるのではないか、
と常に強い不安にとらわれながら過ごすことになります。
また、不安症の中には、ある特定のものに異常な恐怖を抱き、
近寄ることすらできなくなる「恐怖症」というものもあります。
すぐに逃げ出したり、助けを求めたりすることができない
人混み、エレベーター、乗り物、広場などを怖がって避ける
「広場恐怖症」や、
他人から注目・評価されたり、人前で恥をかいたりすることを
極端に怖がる「社交恐怖症」などです。
また、症状の重さから治療に困難を伴う疾患に、
「強迫症」があります。
強迫症は、自分でもおかしいと思いつつ、
不安を起こす強迫観念を打ち払うために
同じ行為をずっとやり続けてしまう病気です。
例えば、何度も手を洗わないと気が済まずにずっと洗い続ける
「脅迫洗浄」、
家の鍵をかけたかを何度も確認しないと気が済まない
「確認脅迫」などがあります。
患者は、これらの行為を止められると強い不安に襲われます。
また、戦争、災害、事故などに遭遇した人は、
「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」を発症してしまうことがあります。
これは、戦争、災害、事故などによって受けた
心的外傷後ストレス(トラウマ)に対して、
症状が洗われてしまうものです。
患者は、フラッシュバック(出来事が急に頭に浮かんでくる)や
夢などのより、その出来事を繰り返し体験したり、
感情が鈍ったり、
トラウマを思い起こさせる状況にあうと恐怖やパニックを起こしたりします。
明日は『治療法』について、です。
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2019年07月08日
うつ病
最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と治療
うつ病
ありのままの気持ちを受け入れる治療
うつ病は、精神疾患の中でも身近な病気で、10〜15人に1人は発症するものと考えられています。
うつ病になると、気分の落ち込み、悲壮感が心の状態を占め、
そこから罪の意識、卑下、絶望感、将来への悲観、自殺願望
などといったネガティブな思考が生まれてきます。
何かをする気力がなくなったり、何にも関心を示さなくなったりします。
うつ病の治療法としては、認知行動療法がよく使われていました。
しかし、認知行動療法のように、自分の認知の歪みを認め、
変えていくという作業は、
うつ病患者にとっては大変な負担となります。
このため、最近では、新しい認知行動療法が注目されています。
それは、「マインドフルネス」という方法を取り入れたものです。
マインドフルネスは、仏教や禅の流れを受けたもので、
「この瞬間に感じている思考や感情をそのまま受け入れ、
気づくことに気持ちを集中させ、
それらを一定の距離を保って眺められるようにする」
方法のことです。
このように、自分の感情や思考を否定せず、
あるがままに受け止めながら、
日常生活を送っていけるよう
少しずつ行動を変えていくという治療方法が取られつつあります。
こういう生活を続けることで、
認知の歪みも自然と解消されていくというのです。
うつ病の発症につながる様々な誘因と症状を描きました。
子供時代のうつや老年期特有のうつなど、
ライフステージにおける様々な出来事がうつ病発症のきっかけとなります。
子供のうつ
いじめらえたり、学校生活がうまくいかなかったりすることで、
引きこもりや不登校になるケースがあります。
また、過度な受験戦争に夜”燃え尽き症候群”からうつ病を発症することもあります。
働き盛りのうつ
リストラや就職・転職の失敗による環境の変化だけでなく、
昇進という、一見ポジティブに思える環境の変化であっても、
仕事内容や人間関係が変わることに適応できず、
うつ病を発症するケースがあります。
最悪の場合、うつ病による自殺や過労死も起こりうるため、
2015年12月より、従業員50人以上の事業所では
「ストレスチェック」
を実施することが義務化されました。
女性のうつ
結婚や妊娠、出産といった、一見幸せな環境の変化であっても、
家事や嫁・姑問題といった
家庭内の持続的な葛藤がストレスとなって
うつ病を発症することがあります。
また、身体にとっての大きな負担である出産に加え、
子育てに対する過度な責任を感じてしまうことで、
うつ病を発症するケース(産後うつ)や、
仕事も家事も完璧にこなそうとするあまり、
頑張りすぎてうつ病を発症してしまうケースもあります。
老年期のうつ
退職や配偶者の病気や死亡がきっかけとなって、
うつ病を発症することがあります。
また、子供が自立することで生きがいを失ってしまうことが、
うつ病発症の引き金となることもあります。
認知症や脳卒中も、うつ病の発症に関わっていることが知られています。
精神に現れる症状の例
うつ病になると、
憂うつな気分が続き、何に対しても興味や関心が無くなります。
また、悲哀感や劣等感、罪悪感などを抱いたり、
思考力や集中力、決断力、判断力が低下したりすることで、
日常生活に支障をきたすようになります。
身体に現れる症状の例
うつ病になると、
食欲低下(もしくは食欲亢進)、不眠(もしくは過眠)、頭痛、肩こり、腰痛、腹痛、
便秘、嘔吐、動悸、めまい、全身の倦怠感などがおき、疲れやすくなります。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と治療
うつ病
ありのままの気持ちを受け入れる治療
うつ病は、精神疾患の中でも身近な病気で、10〜15人に1人は発症するものと考えられています。
うつ病になると、気分の落ち込み、悲壮感が心の状態を占め、
そこから罪の意識、卑下、絶望感、将来への悲観、自殺願望
などといったネガティブな思考が生まれてきます。
何かをする気力がなくなったり、何にも関心を示さなくなったりします。
うつ病の治療法としては、認知行動療法がよく使われていました。
しかし、認知行動療法のように、自分の認知の歪みを認め、
変えていくという作業は、
うつ病患者にとっては大変な負担となります。
このため、最近では、新しい認知行動療法が注目されています。
それは、「マインドフルネス」という方法を取り入れたものです。
マインドフルネスは、仏教や禅の流れを受けたもので、
「この瞬間に感じている思考や感情をそのまま受け入れ、
気づくことに気持ちを集中させ、
それらを一定の距離を保って眺められるようにする」
方法のことです。
このように、自分の感情や思考を否定せず、
あるがままに受け止めながら、
日常生活を送っていけるよう
少しずつ行動を変えていくという治療方法が取られつつあります。
こういう生活を続けることで、
認知の歪みも自然と解消されていくというのです。
うつ病の発症につながる様々な誘因と症状を描きました。
子供時代のうつや老年期特有のうつなど、
ライフステージにおける様々な出来事がうつ病発症のきっかけとなります。
子供のうつ
いじめらえたり、学校生活がうまくいかなかったりすることで、
引きこもりや不登校になるケースがあります。
また、過度な受験戦争に夜”燃え尽き症候群”からうつ病を発症することもあります。
働き盛りのうつ
リストラや就職・転職の失敗による環境の変化だけでなく、
昇進という、一見ポジティブに思える環境の変化であっても、
仕事内容や人間関係が変わることに適応できず、
うつ病を発症するケースがあります。
最悪の場合、うつ病による自殺や過労死も起こりうるため、
2015年12月より、従業員50人以上の事業所では
「ストレスチェック」
を実施することが義務化されました。
女性のうつ
結婚や妊娠、出産といった、一見幸せな環境の変化であっても、
家事や嫁・姑問題といった
家庭内の持続的な葛藤がストレスとなって
うつ病を発症することがあります。
また、身体にとっての大きな負担である出産に加え、
子育てに対する過度な責任を感じてしまうことで、
うつ病を発症するケース(産後うつ)や、
仕事も家事も完璧にこなそうとするあまり、
頑張りすぎてうつ病を発症してしまうケースもあります。
老年期のうつ
退職や配偶者の病気や死亡がきっかけとなって、
うつ病を発症することがあります。
また、子供が自立することで生きがいを失ってしまうことが、
うつ病発症の引き金となることもあります。
認知症や脳卒中も、うつ病の発症に関わっていることが知られています。
精神に現れる症状の例
うつ病になると、
憂うつな気分が続き、何に対しても興味や関心が無くなります。
また、悲哀感や劣等感、罪悪感などを抱いたり、
思考力や集中力、決断力、判断力が低下したりすることで、
日常生活に支障をきたすようになります。
身体に現れる症状の例
うつ病になると、
食欲低下(もしくは食欲亢進)、不眠(もしくは過眠)、頭痛、肩こり、腰痛、腹痛、
便秘、嘔吐、動悸、めまい、全身の倦怠感などがおき、疲れやすくなります。
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2019年07月07日
心を支援する方法A
最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と治療
心を支援する方法A
認知行動療法の具体例として、働き盛りの世代に見られる、
仕事上での悩みを原因とした典型的なうつ病の症状と、
その対策を下段に示しました。
ストレス要因
課長に昇進したものの、他社との競争が激しくなり、売り上げが低下。
これにより仕事量が増え、毎日、残業が続く。
やがて疲れがたまり、仕事の能率も落ちてしまった。
部下や上司からの信頼も失ってしまったのでは、と感じている。
ストレスに対する考え
マイナス思考
うまくいくはずがないと、未来のことを悲観的に感あげる。
「何をやってもうまくいかない。私はもうおしまいだ」
白黒思考
物事を全て白か黒かで極端に分けようとする。
「完璧にできない私はダメな人間だ」
邪推
相手はこう考えている、と決めつけてしまう。
「部下から馬鹿にされているに違いない」
過小評価
うまくいかないことばかりに注目する
「自分の決断はいつも間違っている」
ストレスに対する考えへの治療
認知再構成
自然と思い浮かんでしまうネガティブな考えを具体的に書き出し、
その考えに確証があるのかどうかの検討を行い、
考えの偏りを修正する。
具体的には、
・強くストレスを感じた状況や場面を特定する。
(昇進した途端に会社の売り上げが落ちてしまった)
・その時の考えおよび感情、行動、身体変化を書き出す。
(感情:仕事の能力が無いために会社に損害を与えてしまった
行動:会社を休む 身体変化:眠れない など)
・その考えが思いこみで無いかを再検討し、感情的な反応を見る。
(会社が私を昇進させたということは、
私の才能は評価されているということだ)
(他社のうり上げが上がった時期と自分の昇進の時期がたまたま重なっただけ。
過度な責任を感じる必要は無い)→気持ちが楽になった。
ストレスに対する身体の変化
睡眠の変化
寝つきが悪く、不眠に陥る。
逆に、1日中眠く、過眠に陥る。
意欲の減衰
朝食をとる気がしない。
大好きだった趣味に興味を失う。
疲労の蓄積
朝起きても疲れが取れておらず
いつも倦怠感を感じる。
ストレスに対する身体変化への治療
リラクゼーション
意識的に筋肉を弛緩させる、
腹式呼吸による深呼吸を行う、
などの手法を用いることで緊張を緩和し、
気持ちを落ち着かせる。
重度のうつ病の場合は、適宜、
抗うつ薬や気分安定剤、睡眠導入剤などを服用する。
ストレスに対する感情
仕事が自分の思い通りにならない怒り
会社からの信頼を失ったという悲しみ
この先どうなるんだろう、という不安、心配
懲戒、減給されるんじゃないだろうかという恐怖
思ったように仕事ができないという虚しさ
仕事に対する自分への不甲斐なさ
認められないというさびしさ、恥ずかしさ
ストレスに対する感情への治療
脱中心化(マインドフルネス技法など)
意識の中央にある悩みから一度離れ、客観的に見ることで、
怒りや悲しみといったネガティブな感情から抜け出る方法を探る。
例:「仕事が思い通りにならずにイライラする」
→「『イライラする』という考えを自分は持っている」
「怒ってはいけない」と怒りの感情を否定し、抑え込むのではなく、
淡々とありのままを受け入れることで、ネガティブな感情が連鎖して、
深みにハマる状況を断ち切ることができると考えられる。
ストレスに対する行動
統制
部下や配偶者、子供など周囲の人たちに八つ当たりする。
逃避
布団から出られない。
会社に近づくと足が動かなくなる。
遅刻・早退・欠勤が増える。
依存
酒やギャンブルなどにハマる。
衝動買いを頻繁に行ってしまう。
ストレスに対する行動への治療
曝露療法
避けていることに対して、小さな行動
から始めることで少しずつ慣らす療法。
例:出社できない。
→まずは会社の近くの公園まで行ってみよう。
問題解決療法
悩みを具体的な部分に細かく分け、
解決策をたくさん上げて
それぞれの長所・短所を考え、
ベストな方法を見つけ出すことで、
問題に立ち向かう手法。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と治療
心を支援する方法A
認知行動療法の具体例として、働き盛りの世代に見られる、
仕事上での悩みを原因とした典型的なうつ病の症状と、
その対策を下段に示しました。
ストレス要因
課長に昇進したものの、他社との競争が激しくなり、売り上げが低下。
これにより仕事量が増え、毎日、残業が続く。
やがて疲れがたまり、仕事の能率も落ちてしまった。
部下や上司からの信頼も失ってしまったのでは、と感じている。
ストレスに対する考え
マイナス思考
うまくいくはずがないと、未来のことを悲観的に感あげる。
「何をやってもうまくいかない。私はもうおしまいだ」
白黒思考
物事を全て白か黒かで極端に分けようとする。
「完璧にできない私はダメな人間だ」
邪推
相手はこう考えている、と決めつけてしまう。
「部下から馬鹿にされているに違いない」
過小評価
うまくいかないことばかりに注目する
「自分の決断はいつも間違っている」
ストレスに対する考えへの治療
認知再構成
自然と思い浮かんでしまうネガティブな考えを具体的に書き出し、
その考えに確証があるのかどうかの検討を行い、
考えの偏りを修正する。
具体的には、
・強くストレスを感じた状況や場面を特定する。
(昇進した途端に会社の売り上げが落ちてしまった)
・その時の考えおよび感情、行動、身体変化を書き出す。
(感情:仕事の能力が無いために会社に損害を与えてしまった
行動:会社を休む 身体変化:眠れない など)
・その考えが思いこみで無いかを再検討し、感情的な反応を見る。
(会社が私を昇進させたということは、
私の才能は評価されているということだ)
(他社のうり上げが上がった時期と自分の昇進の時期がたまたま重なっただけ。
過度な責任を感じる必要は無い)→気持ちが楽になった。
ストレスに対する身体の変化
睡眠の変化
寝つきが悪く、不眠に陥る。
逆に、1日中眠く、過眠に陥る。
意欲の減衰
朝食をとる気がしない。
大好きだった趣味に興味を失う。
疲労の蓄積
朝起きても疲れが取れておらず
いつも倦怠感を感じる。
ストレスに対する身体変化への治療
リラクゼーション
意識的に筋肉を弛緩させる、
腹式呼吸による深呼吸を行う、
などの手法を用いることで緊張を緩和し、
気持ちを落ち着かせる。
重度のうつ病の場合は、適宜、
抗うつ薬や気分安定剤、睡眠導入剤などを服用する。
ストレスに対する感情
仕事が自分の思い通りにならない怒り
会社からの信頼を失ったという悲しみ
この先どうなるんだろう、という不安、心配
懲戒、減給されるんじゃないだろうかという恐怖
思ったように仕事ができないという虚しさ
仕事に対する自分への不甲斐なさ
認められないというさびしさ、恥ずかしさ
ストレスに対する感情への治療
脱中心化(マインドフルネス技法など)
意識の中央にある悩みから一度離れ、客観的に見ることで、
怒りや悲しみといったネガティブな感情から抜け出る方法を探る。
例:「仕事が思い通りにならずにイライラする」
→「『イライラする』という考えを自分は持っている」
「怒ってはいけない」と怒りの感情を否定し、抑え込むのではなく、
淡々とありのままを受け入れることで、ネガティブな感情が連鎖して、
深みにハマる状況を断ち切ることができると考えられる。
ストレスに対する行動
統制
部下や配偶者、子供など周囲の人たちに八つ当たりする。
逃避
布団から出られない。
会社に近づくと足が動かなくなる。
遅刻・早退・欠勤が増える。
依存
酒やギャンブルなどにハマる。
衝動買いを頻繁に行ってしまう。
ストレスに対する行動への治療
曝露療法
避けていることに対して、小さな行動
から始めることで少しずつ慣らす療法。
例:出社できない。
→まずは会社の近くの公園まで行ってみよう。
問題解決療法
悩みを具体的な部分に細かく分け、
解決策をたくさん上げて
それぞれの長所・短所を考え、
ベストな方法を見つけ出すことで、
問題に立ち向かう手法。
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2019年07月06日
無意識の記憶に気付かさせたり、認知の癖や行動を変える
最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と治療
心を支援する方法
無意識の記憶に気付かさせたり、認知の癖や行動を変える
では、心が健康になるように支援する方法はどんなものがあるのでしょう。
最も一般的な方法は
カウンセリング(面接)です。
現代のカウンセリングの方法に大きな影響を与えた人物は、
アメリカの心理学者ロジャーズ(1902〜1987)です。
ロジャースは、「クライアントの話を聞くことに徹し、クライアントに共感を持って接する」
というカウンセラーの姿勢を提唱しました。
一方で、クライアントの状態に関して
カウンセラーが解釈した内容を
折に触れて伝えていく
カウンセリングもあります。
フロイトの精神分析療法です。
精神分析療法は、
「幼少期の頃に経験した出来事や対人関係などは
無意識の中に抑え込まれており、
成人後の行動、思考などに
それが現れてくる」
という考え方に基づいています。
クライアントは、カウンセラーに様々な話をするうちに、
この無意識の中に抑えこまれていた記憶に気づいていきます。
カウンセラーはその記憶が、
クライアントの現在の状況にどんな影響を与えているのかを分析し、
その結果をクライアントに伝えます。
その分析結果に納得する人もいるし、
認めたくない気持ちが強く否定する人もいますが、
何れにしても、
最終的には、現在の状況にいたった背景をクライアント本人に気づいてもらうのです。
さらに、クライアントの行動や認知を修正していく
「認知行動療法」という治療法があります。
うつ病などにかかって心が元気でない人には、
物事の捉え方などの認知が歪んでいる傾向があります。
「何をやっても失敗するに決まっている」、
「自分は職場の人たちに嫌われている」など、
物事を悲観的に捉えてしまうのです。
そうした認知の歪みが、
外出できない、
お酒やギャンブルに溺れてしまう、
といった消極的な行動や、投げやりな行動に走らせるのです。
認知行動療法では、まずクライアントに認知の歪みを気付かせた上で
(認知再構成)、
認知の癖と行動を変えていきます。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と治療
心を支援する方法
無意識の記憶に気付かさせたり、認知の癖や行動を変える
では、心が健康になるように支援する方法はどんなものがあるのでしょう。
最も一般的な方法は
カウンセリング(面接)です。
現代のカウンセリングの方法に大きな影響を与えた人物は、
アメリカの心理学者ロジャーズ(1902〜1987)です。
ロジャースは、「クライアントの話を聞くことに徹し、クライアントに共感を持って接する」
というカウンセラーの姿勢を提唱しました。
一方で、クライアントの状態に関して
カウンセラーが解釈した内容を
折に触れて伝えていく
カウンセリングもあります。
フロイトの精神分析療法です。
精神分析療法は、
「幼少期の頃に経験した出来事や対人関係などは
無意識の中に抑え込まれており、
成人後の行動、思考などに
それが現れてくる」
という考え方に基づいています。
クライアントは、カウンセラーに様々な話をするうちに、
この無意識の中に抑えこまれていた記憶に気づいていきます。
カウンセラーはその記憶が、
クライアントの現在の状況にどんな影響を与えているのかを分析し、
その結果をクライアントに伝えます。
その分析結果に納得する人もいるし、
認めたくない気持ちが強く否定する人もいますが、
何れにしても、
最終的には、現在の状況にいたった背景をクライアント本人に気づいてもらうのです。
さらに、クライアントの行動や認知を修正していく
「認知行動療法」という治療法があります。
うつ病などにかかって心が元気でない人には、
物事の捉え方などの認知が歪んでいる傾向があります。
「何をやっても失敗するに決まっている」、
「自分は職場の人たちに嫌われている」など、
物事を悲観的に捉えてしまうのです。
そうした認知の歪みが、
外出できない、
お酒やギャンブルに溺れてしまう、
といった消極的な行動や、投げやりな行動に走らせるのです。
認知行動療法では、まずクライアントに認知の歪みを気付かせた上で
(認知再構成)、
認知の癖と行動を変えていきます。
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2019年07月05日
心の不調の原因を探る方法
最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と治療
心の不調の原因を探る方法
どんなことでも話してもらえる信頼関係をつくる
クライアントの心が健康になるように支援するためには、
まず、なぜクライアントが心に悩みを抱えるにいたたのか、
その要因を知ることが大切です。
病院や学校などで臨床心理士としての勤務経験がある
日本大学文理学部の松浦隆信(まつうら たかのぶ)准教授は、
「一番大事なことは、クライアントの話を丁寧に聞き、
信頼関係を築くことです」と話します。
「話を最後まで丁寧に聞かず、途中で遮ったり、
面接初期の段階で何かアドバイスをしても
何の効果もありません。
そういうことをすれば、クライアントは
カウンセラーに心を開いてくれないばかりか、
アドバイスの内容に含まれる
カウンセラーの価値観や意見を察して、
本当に思っていることを
話してくれなくなります。
カウンセラーはクライアントが抱いている率直な気持ちや事実などを、
良し悪しの条件をつけずに話してもらえるように
努めながら、クライアントの置かれた状況を
整理・理解していくのです」(松浦准教授)。
クライアントとの面接を行ったあとは、
心理検査を行います。
心理検査には、クライアントの知的機能や性格、
対人関係のあり方をはかるための検査など、
様々なものがあります。
例えば、「とても当てはまる」、「当てはまらない」、「どちらでもない」
などの多肢選択式や自由回答で質問に答える「質問紙法」、
ある作業(連続した足し算や、簡単な図形の模写など)をしてもらって、
その過程や結果などを見る「作業検査法」、
そして、意味合いが曖昧な言葉や絵を見せて、
自由な反応を引き出す「投影法」があります。
投影法は、インクをたらした二つ折りの髪のシミを見せて何に見えるかを問う
「ロールシャッハ・テスト」が有名です。
他にも、「私が◯◯するならば、…」など未完成の分を与えて、
そこから連想して文を完成させる「文章完成法(SCT)」などがあります。
臨床心理士は、このような複数の心理検査を組み合わせて、
クライアントが悩みを抱えるにいたった背景に関する
仮説を組み立てていきます。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と治療
心の不調の原因を探る方法
どんなことでも話してもらえる信頼関係をつくる
クライアントの心が健康になるように支援するためには、
まず、なぜクライアントが心に悩みを抱えるにいたたのか、
その要因を知ることが大切です。
病院や学校などで臨床心理士としての勤務経験がある
日本大学文理学部の松浦隆信(まつうら たかのぶ)准教授は、
「一番大事なことは、クライアントの話を丁寧に聞き、
信頼関係を築くことです」と話します。
「話を最後まで丁寧に聞かず、途中で遮ったり、
面接初期の段階で何かアドバイスをしても
何の効果もありません。
そういうことをすれば、クライアントは
カウンセラーに心を開いてくれないばかりか、
アドバイスの内容に含まれる
カウンセラーの価値観や意見を察して、
本当に思っていることを
話してくれなくなります。
カウンセラーはクライアントが抱いている率直な気持ちや事実などを、
良し悪しの条件をつけずに話してもらえるように
努めながら、クライアントの置かれた状況を
整理・理解していくのです」(松浦准教授)。
クライアントとの面接を行ったあとは、
心理検査を行います。
心理検査には、クライアントの知的機能や性格、
対人関係のあり方をはかるための検査など、
様々なものがあります。
例えば、「とても当てはまる」、「当てはまらない」、「どちらでもない」
などの多肢選択式や自由回答で質問に答える「質問紙法」、
ある作業(連続した足し算や、簡単な図形の模写など)をしてもらって、
その過程や結果などを見る「作業検査法」、
そして、意味合いが曖昧な言葉や絵を見せて、
自由な反応を引き出す「投影法」があります。
投影法は、インクをたらした二つ折りの髪のシミを見せて何に見えるかを問う
「ロールシャッハ・テスト」が有名です。
他にも、「私が◯◯するならば、…」など未完成の分を与えて、
そこから連想して文を完成させる「文章完成法(SCT)」などがあります。
臨床心理士は、このような複数の心理検査を組み合わせて、
クライアントが悩みを抱えるにいたった背景に関する
仮説を組み立てていきます。
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2019年07月04日
臨床心理学とは?A
最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と治療
臨床心理学とは?A
病院、学校、鑑別所など、さまざまな場所で活躍する臨床心理学
臨床心理学が活躍する現場として次に多いのが、
学校や教育センターといった教育現場です。
現在は、小学校、中学校、高校に、スクールカウンセラーとして
臨床心理士が配置されています。
最近では、幼稚園や保育園にも配置され始めたようです。
スクールカウンセラーは、いじめ、非行、不登校、
発達障害、そして学級崩壊など、
学校生活の中で生徒たちになんらかの問題が発生した時に、
生徒本人、保護者に対して心の支援を行ったり、
教員に対してアドバイスをしたり、
心の支援を行ったりします。
また、災害、事件、事故などが発生した時に、
子供を中心にその家族や教職員も含めて心の支援に当たります。
病院と教育現場だけで、臨床心理士の配属の7〜8割を占めます。
臨床心理士が配属される現場としては他に、福祉施設があります。
さまざまな福祉施設がありますが、
特に近年では児童相談所や児童養護施設、乳児院、児童心理治療施設などで
虐待を受けた子供たちやその家族を対象に臨床心理士による支援が行われています。
また、家庭裁判所調査官、少年鑑別所や刑事施設配属されている法務技官(心理)など、
犯罪者にかかわる臨床心理士もいます。
家庭裁判所調査官は面接を通して、
少年の性格や家庭環境などを調べ、
処遇を判定する時の基礎資料を作ったり、
少年の心の支援を行ったりします。
法務技官(心理)も、犯罪者の処遇を決める判定資料や
更生プログラムを作ったり、
受刑者に対するカウンセリングを行ったりします。
他にも、企業の社内相談室、
EPA(従業員支援プログラム)を提供する会社に所属する臨床心理士がいます。
EPAは、従業員の相談を受けて心の支援を行うとともに、
それらの相談をまとめて企業の課題を洗い出して、
企業に提案するという役割を担っています。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と治療
臨床心理学とは?A
病院、学校、鑑別所など、さまざまな場所で活躍する臨床心理学
臨床心理学が活躍する現場として次に多いのが、
学校や教育センターといった教育現場です。
現在は、小学校、中学校、高校に、スクールカウンセラーとして
臨床心理士が配置されています。
最近では、幼稚園や保育園にも配置され始めたようです。
スクールカウンセラーは、いじめ、非行、不登校、
発達障害、そして学級崩壊など、
学校生活の中で生徒たちになんらかの問題が発生した時に、
生徒本人、保護者に対して心の支援を行ったり、
教員に対してアドバイスをしたり、
心の支援を行ったりします。
また、災害、事件、事故などが発生した時に、
子供を中心にその家族や教職員も含めて心の支援に当たります。
病院と教育現場だけで、臨床心理士の配属の7〜8割を占めます。
臨床心理士が配属される現場としては他に、福祉施設があります。
さまざまな福祉施設がありますが、
特に近年では児童相談所や児童養護施設、乳児院、児童心理治療施設などで
虐待を受けた子供たちやその家族を対象に臨床心理士による支援が行われています。
また、家庭裁判所調査官、少年鑑別所や刑事施設配属されている法務技官(心理)など、
犯罪者にかかわる臨床心理士もいます。
家庭裁判所調査官は面接を通して、
少年の性格や家庭環境などを調べ、
処遇を判定する時の基礎資料を作ったり、
少年の心の支援を行ったりします。
法務技官(心理)も、犯罪者の処遇を決める判定資料や
更生プログラムを作ったり、
受刑者に対するカウンセリングを行ったりします。
他にも、企業の社内相談室、
EPA(従業員支援プログラム)を提供する会社に所属する臨床心理士がいます。
EPAは、従業員の相談を受けて心の支援を行うとともに、
それらの相談をまとめて企業の課題を洗い出して、
企業に提案するという役割を担っています。
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2019年07月03日
人の心の健康を扱う「臨床心理学」
最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と治療
臨床心理学とは?
人の心の健康を扱う「臨床心理学」
人の心は、いつも元気な状態とは限りません。
悩んだり、落ち込んだり、恐怖を感じたりするときもあります。
そういった感情が深刻になりすぎると、
当たり前の生活を送ることが難しくなってしまう場合もあります。
「臨床心理学」は、そういった人の心の健康を扱う心理学です。
実際に、クライアント(相談者)と向き合い、話したり、
心理学的な治療法を行ったりして、
心が健康になるよう支援していく専門家を「臨床心理士」*と言います。
臨床心理学が活躍する現場は、実に様々です。
臨床心理士がもっとも多く配属されているところは
保険・医療領域で、その数は全体の約4割を占めます。
精神科で治療を受けている患者だけではなく、
小児科、内科、皮膚科、産婦人科、外科、リハビリテーション科、
終末期医療など、様々な現場で
臨床心理士は、患者の訴える体の症状に
ストレスや本人の性格などが絡んでいないのかを調べたり、
患者が抱えている不安、悲しみ、恐怖
といった心の状態が和らぐよう、
対話したり、心理学的な治療を行ったりします。
*日本臨床心理士資格認定協会により認定される資格。
2018年度からは、国家資格である公認心理師の認定も始まっています。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と治療
臨床心理学とは?
人の心の健康を扱う「臨床心理学」
人の心は、いつも元気な状態とは限りません。
悩んだり、落ち込んだり、恐怖を感じたりするときもあります。
そういった感情が深刻になりすぎると、
当たり前の生活を送ることが難しくなってしまう場合もあります。
「臨床心理学」は、そういった人の心の健康を扱う心理学です。
実際に、クライアント(相談者)と向き合い、話したり、
心理学的な治療法を行ったりして、
心が健康になるよう支援していく専門家を「臨床心理士」*と言います。
臨床心理学が活躍する現場は、実に様々です。
臨床心理士がもっとも多く配属されているところは
保険・医療領域で、その数は全体の約4割を占めます。
精神科で治療を受けている患者だけではなく、
小児科、内科、皮膚科、産婦人科、外科、リハビリテーション科、
終末期医療など、様々な現場で
臨床心理士は、患者の訴える体の症状に
ストレスや本人の性格などが絡んでいないのかを調べたり、
患者が抱えている不安、悲しみ、恐怖
といった心の状態が和らぐよう、
対話したり、心理学的な治療を行ったりします。
*日本臨床心理士資格認定協会により認定される資格。
2018年度からは、国家資格である公認心理師の認定も始まっています。
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2019年07月02日
すこやかに老いるーサクセスフルエイジング
最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
発達の心理学
すこやかに老いるーサクセスフルエイジング
老年期は一般的に、退職する65歳ごろ以降とされます。
心身の機能が低下し、退職などにより社会とのつながりが大きく変化するとともに、
身近な人が亡くなるという体験も増える時期です。
そういった状況と向き合いながらも、
より精神的に充実した日々を送っていけるよう、
前向きに加齢とつきあっていくあり方を
サクセスフルエイジング
といいます。
心身の機能低下はどうしてもさけられませんが、
それによっておこるであろう問題に前もって対処していくことは可能です。
たとえば自動車の運転技能が落ちてきたと感じたら、
事故を起こす前に免許証を返納し、
それによって買い出しが難しくなるのであれば、
食材の宅配サービスを探しておくといったように、
代替手段をうまく利用していくことは、
老化への適応の一種だといえるでしょう。
また年をとると、
退職によって収入が減る、
仕事や子育てを通じてできた人とのつながりがなくなるといった
問題とも向き合うことになります。
生きる目的についても同じです。
前成人期や成人期(中年期)は、
仕事での出世や子供の世話と独り立ち、
マイホームのローン返済といった
わかりやすい目的が目の前にありました。
しかし老年期では、
自分で作らなければ目的はなくなります。
一方、老年期は
これまでの人生経験に意義を見出し、
新たな世界を開く時期だとも考えられます。
自由になる時間が増え、
趣味や社会貢献など、
新たな生きがいを見つけることが可能です。
ボランティアや趣味のサークル、地域活動などへの参加により、
新たな社会や他者とのつながりを作ることもできます。
一方、寝たきりになるといったことは
できれば避けたいものです。
週に1回しか外出しない
閉じこもりと呼ばれる状態は、
寝たきりや認知症などになるリスクが大きい
ことがあきらかになっています。
これは、身体機能の低下や、
外出すれば怪我をするのではないかという恐怖、
近所付き合いが少ないため出かける意欲が下がるといった
ことが重なって生じます。
閉じこもりは、その人がもともと持っていた
ライフスタイルだとみなされて見過ごされがちです。
周りの人は、本人が置かれた状況に配慮しながら、
積極的に働きかけを行っていくことが大切といえるでしょう。
自分なりの方法で工夫して喪失体験と向き合う人は、
幸福度が高いと言われています。
そのためには早くから、
退職後や子育て後の人生設計を考えることが大切でしょう。
今までの取り組みを振り返ることも、
これからの過ごし方を考えるうえで有意義だとされます。
老年期の始まりは、
第二の人生のスタート地点とも言えます。
健やかに老いるためにできることはいろいろあると言えそうです。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
発達の心理学
すこやかに老いるーサクセスフルエイジング
老年期は一般的に、退職する65歳ごろ以降とされます。
心身の機能が低下し、退職などにより社会とのつながりが大きく変化するとともに、
身近な人が亡くなるという体験も増える時期です。
そういった状況と向き合いながらも、
より精神的に充実した日々を送っていけるよう、
前向きに加齢とつきあっていくあり方を
サクセスフルエイジング
といいます。
心身の機能低下はどうしてもさけられませんが、
それによっておこるであろう問題に前もって対処していくことは可能です。
たとえば自動車の運転技能が落ちてきたと感じたら、
事故を起こす前に免許証を返納し、
それによって買い出しが難しくなるのであれば、
食材の宅配サービスを探しておくといったように、
代替手段をうまく利用していくことは、
老化への適応の一種だといえるでしょう。
また年をとると、
退職によって収入が減る、
仕事や子育てを通じてできた人とのつながりがなくなるといった
問題とも向き合うことになります。
生きる目的についても同じです。
前成人期や成人期(中年期)は、
仕事での出世や子供の世話と独り立ち、
マイホームのローン返済といった
わかりやすい目的が目の前にありました。
しかし老年期では、
自分で作らなければ目的はなくなります。
一方、老年期は
これまでの人生経験に意義を見出し、
新たな世界を開く時期だとも考えられます。
自由になる時間が増え、
趣味や社会貢献など、
新たな生きがいを見つけることが可能です。
ボランティアや趣味のサークル、地域活動などへの参加により、
新たな社会や他者とのつながりを作ることもできます。
一方、寝たきりになるといったことは
できれば避けたいものです。
週に1回しか外出しない
閉じこもりと呼ばれる状態は、
寝たきりや認知症などになるリスクが大きい
ことがあきらかになっています。
これは、身体機能の低下や、
外出すれば怪我をするのではないかという恐怖、
近所付き合いが少ないため出かける意欲が下がるといった
ことが重なって生じます。
閉じこもりは、その人がもともと持っていた
ライフスタイルだとみなされて見過ごされがちです。
周りの人は、本人が置かれた状況に配慮しながら、
積極的に働きかけを行っていくことが大切といえるでしょう。
自分なりの方法で工夫して喪失体験と向き合う人は、
幸福度が高いと言われています。
そのためには早くから、
退職後や子育て後の人生設計を考えることが大切でしょう。
今までの取り組みを振り返ることも、
これからの過ごし方を考えるうえで有意義だとされます。
老年期の始まりは、
第二の人生のスタート地点とも言えます。
健やかに老いるためにできることはいろいろあると言えそうです。
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2019年07月01日
子育てをする母親が抱える心の問題とは
最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
発達の心理学
子育てをする母親が抱える心の問題とは
出産前後の女性は、体が大きく変化する一方で、
精神的にも非常に不安定になりやすくなります。
妊娠した女性は約10ヶ月の間に、
つわりや様々な変調を経験しながら出産へと至ります。
そして出産後は体調が万全でないまま、
24時間乳児の世話をすることになります。
また仕事を休み、
家にいる時間が長くなるなど
社会との関わり方が大きく変わるため、
特に産後は孤独感を抱えやすくなります。
以前は、母親になることが大変なのは当たり前であり、
弱音を履くものではないという風潮がありました。
そのため、出産前後の母親のメンタルケアについては
あまり注意が払われてこなかったと言えます。
しかし「産後うつ」になる女性は、
先進国では10〜15%にのぼることが明らかになっています。
これは一般的女性がうつになるよりも高い割合です。
また産後うつ以外にも、
「双極性障害(躁うつ病)」や
「不安障害」、
「統合失調症」
などになることもあります。
さらに、産前の女性は定期的に健診に通うこともあり、
相談相手が見つからず行きづまってしまうということは少ないと
考えられるものの、
「産前うつ」になる人は
産後うつにより多いのではないかと考えられています。
また、産前うつになった場合は、
産後うつにもなるリスクが高いとされています。
なお、「マタニティーブルー」と呼ばれる現象はうつとは区別されています。
マタニティーブルーは一般的に産後数日から1週間の間に現れ、
不安や緊張感、
不眠、
食欲不振、
わけもなく涙が出る
といった症状を示します。
日本では出産後の女性の約25%、
アメリカでは約60%がマタニティーブルーになるというデータもあります。
突然の変化のため、
本人も周りも動揺するかもしれませんが、
たいてい数日で終わり、
産後の生活に大きな支障をきたすことはありません。
詳しい理由はわかっていませんが、
出産後のホルモンバランスが急激に変化するため
とも言われます。
子供が可愛く思えないと悩む人も
また、育児において子供が可愛く思えないという
悩みを持つ人がいることも明らかになっています。
「以前は抑うつ的になっているため、
そう感じやすいと考えられていましたが、
実はそうでない可能性もあります」
と名古屋大学心の発達支援研究実践センターの
金子一志(かねこ ひとし)教授は言います。
親と子供の絆は、
基本的のお互いの働きかけによって
強まっていくと考えられます。
発達心理学では、
幼児期までの子供と養育者との間に
形成される情緒的な結びつきを
「愛着」と言います。
そして、子供から養育者に働きかける愛着行動は
「アタッチメント」
と呼ばれています。
親に対して微笑みかけたり、
危険を感じると泣いて親を呼んだりするものが
それに当たります。
一方、親が子供にもつ愛着は
「ボンディング」
と呼ばれます。
親が子供を可愛く思えない状態は
ボンディング障害と呼ばれ、うつとは区別されます。
ボンディング障害があると、
親子の絆を深めることができず、
また将来虐待などのつながる可能性もあります。
絆づくりは、親と子供の相互作用によって出来上がるものなので、
子供の気質にも左右されることがあります。
いつもニコニコしている子供や
素直にアタッチメントの行動を取らない子供、
気むずかしい子供など、
子供の性格は様々です。
互いの働きかけがうまく噛み合わなければ、
絆づくりに支障をきたす要因になることもありえます。
「子育てにまつわる不安があったとしても
『生まれれば何とかなる』言われます。
これは基本的には間違っていません。
ですが大変さの中身は
親子のよって様々です。
支援が必要かどうかは個別に判断していく必要があります
(金子教授)。
なお、母親の胸元で新生児と直接肌を触れ合わせる
「早期母子接触(カンガルーケア)
」
が出産現場で広がっています。
これは、母親の産後うつの防止に良いことがわかっています。
新生児と直接触れ合うことで、
ホルモンの一種である
オキシトシン
が放出されることにより、
母親のストレスが低下するためではないか
と考えられています。
この早期母子接触は、
ボンディング障害の予防にも効果があるとみられています。
なお出生直後の新生児は新しい環境に慣れる最中のため体調が不安定です。
また母親も痛みや疲労で注意力が下がっています。
そのため安全と判断された場合に飲み実施し、
またその際は見守りの体制を整えることが大切です。
出産前から支援ルートとつながることが大切
出産後の女性は的規定な診察もなくなり、
社会との接点が少なくなりがちです。
そのため、精神的な問題が発生しても、
見つけることが難しくなります。
しかしそこで放置しておくと、
ますます悪化してしまわないとも限りません。
そのため、出産前からの切れ目のない支援が重要になります。
そこで、妊娠、出産から子育てまで
に関することをまとめて相談できる
「子育て世代包括支援センター」
が各地に作られるなど、
行政の取り組みが進められています。
日本では妊娠がわかった時点で
妊娠届けを提出するため、
出産前の女性は相談窓口を知ることができ、
また保健師や助産師による出産後の全ての母親への
訪問も行われることから、
比較的支援しやすい状況だといいます。
課題としては、自治体ごとの取り組みの差をなくすことや、
サポート側がより多様な状況に対応できるような技術を蓄積することだといいます。
近年は母親の置かれる状況も多様化しています。
低出生体重児(出産時に2500g未満)の増加や
出産年齢の上昇、
不妊治療、
障害を抱えながらの出産
も増えており、悩みも一様ではありません。
一方で核家族化や近所づきあいの減少などにより、
相談する相手が身近にいないことも
問題になっています。
また父親の育児参加も増えつつあることから、
父親の産後うつについても研究が始まっているところです。
出産は喜ばしい出来事ですが、
精神的に不安定になりやすい時期でもあります。
誰でも産後うつなどになる可能性があることや、
精神的な不調が生じても相談できる窓口があることを知っておくことで、
妊娠や子育ての期間を安心して過ごすことができるでしょう。
また、親が心身の健康を保ってこそ
子供の世話もできると考え、
大変な時は周りの人に頼り、
家事代行などのサービスも柔軟に利用したいものです。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
発達の心理学
子育てをする母親が抱える心の問題とは
出産前後の女性は、体が大きく変化する一方で、
精神的にも非常に不安定になりやすくなります。
妊娠した女性は約10ヶ月の間に、
つわりや様々な変調を経験しながら出産へと至ります。
そして出産後は体調が万全でないまま、
24時間乳児の世話をすることになります。
また仕事を休み、
家にいる時間が長くなるなど
社会との関わり方が大きく変わるため、
特に産後は孤独感を抱えやすくなります。
以前は、母親になることが大変なのは当たり前であり、
弱音を履くものではないという風潮がありました。
そのため、出産前後の母親のメンタルケアについては
あまり注意が払われてこなかったと言えます。
しかし「産後うつ」になる女性は、
先進国では10〜15%にのぼることが明らかになっています。
これは一般的女性がうつになるよりも高い割合です。
また産後うつ以外にも、
「双極性障害(躁うつ病)」や
「不安障害」、
「統合失調症」
などになることもあります。
さらに、産前の女性は定期的に健診に通うこともあり、
相談相手が見つからず行きづまってしまうということは少ないと
考えられるものの、
「産前うつ」になる人は
産後うつにより多いのではないかと考えられています。
また、産前うつになった場合は、
産後うつにもなるリスクが高いとされています。
なお、「マタニティーブルー」と呼ばれる現象はうつとは区別されています。
マタニティーブルーは一般的に産後数日から1週間の間に現れ、
不安や緊張感、
不眠、
食欲不振、
わけもなく涙が出る
といった症状を示します。
日本では出産後の女性の約25%、
アメリカでは約60%がマタニティーブルーになるというデータもあります。
突然の変化のため、
本人も周りも動揺するかもしれませんが、
たいてい数日で終わり、
産後の生活に大きな支障をきたすことはありません。
詳しい理由はわかっていませんが、
出産後のホルモンバランスが急激に変化するため
とも言われます。
子供が可愛く思えないと悩む人も
また、育児において子供が可愛く思えないという
悩みを持つ人がいることも明らかになっています。
「以前は抑うつ的になっているため、
そう感じやすいと考えられていましたが、
実はそうでない可能性もあります」
と名古屋大学心の発達支援研究実践センターの
金子一志(かねこ ひとし)教授は言います。
親と子供の絆は、
基本的のお互いの働きかけによって
強まっていくと考えられます。
発達心理学では、
幼児期までの子供と養育者との間に
形成される情緒的な結びつきを
「愛着」と言います。
そして、子供から養育者に働きかける愛着行動は
「アタッチメント」
と呼ばれています。
親に対して微笑みかけたり、
危険を感じると泣いて親を呼んだりするものが
それに当たります。
一方、親が子供にもつ愛着は
「ボンディング」
と呼ばれます。
親が子供を可愛く思えない状態は
ボンディング障害と呼ばれ、うつとは区別されます。
ボンディング障害があると、
親子の絆を深めることができず、
また将来虐待などのつながる可能性もあります。
絆づくりは、親と子供の相互作用によって出来上がるものなので、
子供の気質にも左右されることがあります。
いつもニコニコしている子供や
素直にアタッチメントの行動を取らない子供、
気むずかしい子供など、
子供の性格は様々です。
互いの働きかけがうまく噛み合わなければ、
絆づくりに支障をきたす要因になることもありえます。
「子育てにまつわる不安があったとしても
『生まれれば何とかなる』言われます。
これは基本的には間違っていません。
ですが大変さの中身は
親子のよって様々です。
支援が必要かどうかは個別に判断していく必要があります
(金子教授)。
なお、母親の胸元で新生児と直接肌を触れ合わせる
「早期母子接触(カンガルーケア)
」
が出産現場で広がっています。
これは、母親の産後うつの防止に良いことがわかっています。
新生児と直接触れ合うことで、
ホルモンの一種である
オキシトシン
が放出されることにより、
母親のストレスが低下するためではないか
と考えられています。
この早期母子接触は、
ボンディング障害の予防にも効果があるとみられています。
なお出生直後の新生児は新しい環境に慣れる最中のため体調が不安定です。
また母親も痛みや疲労で注意力が下がっています。
そのため安全と判断された場合に飲み実施し、
またその際は見守りの体制を整えることが大切です。
出産前から支援ルートとつながることが大切
出産後の女性は的規定な診察もなくなり、
社会との接点が少なくなりがちです。
そのため、精神的な問題が発生しても、
見つけることが難しくなります。
しかしそこで放置しておくと、
ますます悪化してしまわないとも限りません。
そのため、出産前からの切れ目のない支援が重要になります。
そこで、妊娠、出産から子育てまで
に関することをまとめて相談できる
「子育て世代包括支援センター」
が各地に作られるなど、
行政の取り組みが進められています。
日本では妊娠がわかった時点で
妊娠届けを提出するため、
出産前の女性は相談窓口を知ることができ、
また保健師や助産師による出産後の全ての母親への
訪問も行われることから、
比較的支援しやすい状況だといいます。
課題としては、自治体ごとの取り組みの差をなくすことや、
サポート側がより多様な状況に対応できるような技術を蓄積することだといいます。
近年は母親の置かれる状況も多様化しています。
低出生体重児(出産時に2500g未満)の増加や
出産年齢の上昇、
不妊治療、
障害を抱えながらの出産
も増えており、悩みも一様ではありません。
一方で核家族化や近所づきあいの減少などにより、
相談する相手が身近にいないことも
問題になっています。
また父親の育児参加も増えつつあることから、
父親の産後うつについても研究が始まっているところです。
出産は喜ばしい出来事ですが、
精神的に不安定になりやすい時期でもあります。
誰でも産後うつなどになる可能性があることや、
精神的な不調が生じても相談できる窓口があることを知っておくことで、
妊娠や子育ての期間を安心して過ごすことができるでしょう。
また、親が心身の健康を保ってこそ
子供の世話もできると考え、
大変な時は周りの人に頼り、
家事代行などのサービスも柔軟に利用したいものです。
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2019年06月30日
中年期は人生の転換期
最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
発達の心理学
中年期は人生の転換期
個人差はありますが、一般的に40歳から65歳頃はエリクソンによると成人期、または中年期と呼ばれています。
最も安定、充実している時期と言われる一方、
中年クライシスという言葉も有名です。
仕事では責任ある地位につき、やりがいを感じる一方で、
その責任の重さや、
体力や能力の限界、
親の介護など
様々な事態に直面する時期です。
人生の正午とも言われ、
最も充実した時期であるとともに転換期とも言えます。
この中年期を詳しく研究したのが、
心理学者のダニエル・レビンソン(1920〜1994)です。
レビンソンは様々な職業に就く中年の男性について
詳細な面接調査を行った結果、
人生には大きく3つの移行期が訪れると考えました。
その移行期は
前成人期への移行(17〜22歳)、
成人期(中年期)への移行(40〜45歳)、
老年期への移行(60〜65歳)
であるといいます。
レビンソンは特に40歳から45歳における移行が重要だと考えました。
ここが人生の折り返し地点であると考えたのです。
ここは自分のやってきたことを再評価して、
自分がこれからできることについて考え、
新しい生き方を見つけ出す時期としました。
中年期は、徹夜が無理だと感じたり体力の衰えを感じたりと
老いへの自覚が出てきます。
また、仕事面で責任が増してくる一方で
限界が見えてくる場合もあるでしょう。
一方、親の介護が始まる時期でもあります。
これまでの生き方について振り返る機会も多くなります。
また、家庭で子育てを見なってきた女性では、
子供の独立が大きな転機になります。
育児だけに力を注いできた女性の場合、
子供が独立すると、
自分の存在意義がなくなったように感じ、悩むことがあります。
子供の独立は、自分が新しいことに取り組むチャンスだと捉え、
仕事や趣味、勉強など
新しい人生を始める
準備をすることが重要だと考えられてます。
エリクソンによるライフサイクル論では、
前成人期は、
パートナーや周りの人たちと
親密な関係を築いていく時期とされます。
一方、中年期の課題は、
子供や次の世代を育てることになります。
つまり、自分の子供を産み育てることや、
次世代に残す仕事や作品を生み出し、
次の世代に継承していく
といったことに取り組む時期だといいます。
中年期以前は、
個人のライフサイクルの中だけの課題に取り組んできましたが、
中年期は世代間という
長い時間軸や
社会とのつながりを考えるという意味で、
それまでと大きく異なると言えます。
これがうまくいかなければ、
関心は自分自身にとどまり、
停滞の状態になるとされます。
そして老年期への移行時期では、
改めて社会との関わり方について
バランスの良い点を見つけていくことになります。
ニュートン別冊ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
発達の心理学
中年期は人生の転換期
個人差はありますが、一般的に40歳から65歳頃はエリクソンによると成人期、または中年期と呼ばれています。
最も安定、充実している時期と言われる一方、
中年クライシスという言葉も有名です。
仕事では責任ある地位につき、やりがいを感じる一方で、
その責任の重さや、
体力や能力の限界、
親の介護など
様々な事態に直面する時期です。
人生の正午とも言われ、
最も充実した時期であるとともに転換期とも言えます。
この中年期を詳しく研究したのが、
心理学者のダニエル・レビンソン(1920〜1994)です。
レビンソンは様々な職業に就く中年の男性について
詳細な面接調査を行った結果、
人生には大きく3つの移行期が訪れると考えました。
その移行期は
前成人期への移行(17〜22歳)、
成人期(中年期)への移行(40〜45歳)、
老年期への移行(60〜65歳)
であるといいます。
レビンソンは特に40歳から45歳における移行が重要だと考えました。
ここが人生の折り返し地点であると考えたのです。
ここは自分のやってきたことを再評価して、
自分がこれからできることについて考え、
新しい生き方を見つけ出す時期としました。
中年期は、徹夜が無理だと感じたり体力の衰えを感じたりと
老いへの自覚が出てきます。
また、仕事面で責任が増してくる一方で
限界が見えてくる場合もあるでしょう。
一方、親の介護が始まる時期でもあります。
これまでの生き方について振り返る機会も多くなります。
また、家庭で子育てを見なってきた女性では、
子供の独立が大きな転機になります。
育児だけに力を注いできた女性の場合、
子供が独立すると、
自分の存在意義がなくなったように感じ、悩むことがあります。
子供の独立は、自分が新しいことに取り組むチャンスだと捉え、
仕事や趣味、勉強など
新しい人生を始める
準備をすることが重要だと考えられてます。
エリクソンによるライフサイクル論では、
前成人期は、
パートナーや周りの人たちと
親密な関係を築いていく時期とされます。
一方、中年期の課題は、
子供や次の世代を育てることになります。
つまり、自分の子供を産み育てることや、
次世代に残す仕事や作品を生み出し、
次の世代に継承していく
といったことに取り組む時期だといいます。
中年期以前は、
個人のライフサイクルの中だけの課題に取り組んできましたが、
中年期は世代間という
長い時間軸や
社会とのつながりを考えるという意味で、
それまでと大きく異なると言えます。
これがうまくいかなければ、
関心は自分自身にとどまり、
停滞の状態になるとされます。
そして老年期への移行時期では、
改めて社会との関わり方について
バランスの良い点を見つけていくことになります。