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2019年02月10日
『脳の発達』
最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていくつもりです。
脳の進化と成長
『脳の発達』
出生後、急激にふえたあとは、減少の一途をたどる神経細胞のシナプス
脳は、母親の胎内にいるときに基本的な『形』ができあがる。
受精後5か月くらいから、脳のしわ(大脳皮質の折りたたみ)ができ始め、受精後9か月もするとしわだらけのいわゆる”ヒトの脳”ができあがる。
形の成長とともに、脳の『機能』の発達も進む。心臓の動きの制御など、生命維持のために重要なものから発達がはじまり、徐々に耳や目も機能しはじめる。
また、受精後9か月終わりごろの胎児に音を聞かせると、最初はびっくりして反応するが、次第に反応しなくなる。刺激への”なれ”といった高度な機能も胎内で発達をはじめる。
受精から約10か月後、赤ちゃんは外の世界へと生れ出る
そして、周囲から多くの刺激を受けながら、未熟な脳から成熟した大人の脳へと、仕上げの発達がはじまる。
神経細胞のネットワーク(神経回路)が活動することで、脳は機能を発揮する。新しい言葉や動きを次々と覚える乳幼児の脳では、新しいネットワークがどんどんつくられ、複雑になっていくように思える。
ところが、脳の発達は、そう単純ではない。
神経細胞のつなぎ目『シナプス』の数は、1〜3歳前後までは急激に増えるが、その後は徐々に減っていくのである!
実は、シナプスが減っていくといいう現象は、”過剰生産”されたシナプスのうち、不要なものが消えていく過程だということが、その後の研究でわかっている。
つまり、神経細胞は、とりあえず最初は広く手をつないでおき、あとで不要な手を離すという戦略をとっているのだ。
この『多めに作ってあとで減らす』方式の方が、『必要に応じて増やす』という方式よりも、周囲の状況の変化に敏感に対応できるのである。
さらに、最近の研究で、手のつなぎ方が変化するだけではなく、神経細胞自体の性質にも巧みな変化がおきていることがわかってきた。
脳の重さは、生まれた時点で大人の約30%
生まれた時の脳の重さは約400g、成人の脳の重さは約1,200〜1500gなので、重さだけなら、生まれた時点で成人の30%前後までに成長している。
脳は大きく重くなるが、シナプスの密度は頭打ち
出生後の『脳の重さ』は、最初の数年間で急激に成長する。
1歳で、300g
4〜5歳には1,200gほど(大人の約80%)
出生後、神経細胞は、樹状突起や軸索を伸ばして大きくなることはあっても、基本的には細胞分裂して数がふえることはない。
脳が重くなるのは、主に、神経細胞を支えたり、髄鞘の元となる『グリア細胞』が分裂してふえることによる(重いほど脳の機能が高い訳ではない)。
神経細胞のつなぎ目である『シナプス』の密度は、脳の多く部位で1〜3歳にピークをむかえる。
視覚情報を処理する大脳の後頭葉にある『視覚野』では、生後8〜9か月ごろにピークをむかえたあと、数年かけて3分の2程度にまで減少する。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行
脳の進化と成長
『脳の発達』
出生後、急激にふえたあとは、減少の一途をたどる神経細胞のシナプス
脳は、母親の胎内にいるときに基本的な『形』ができあがる。
受精後5か月くらいから、脳のしわ(大脳皮質の折りたたみ)ができ始め、受精後9か月もするとしわだらけのいわゆる”ヒトの脳”ができあがる。
形の成長とともに、脳の『機能』の発達も進む。心臓の動きの制御など、生命維持のために重要なものから発達がはじまり、徐々に耳や目も機能しはじめる。
また、受精後9か月終わりごろの胎児に音を聞かせると、最初はびっくりして反応するが、次第に反応しなくなる。刺激への”なれ”といった高度な機能も胎内で発達をはじめる。
受精から約10か月後、赤ちゃんは外の世界へと生れ出る
そして、周囲から多くの刺激を受けながら、未熟な脳から成熟した大人の脳へと、仕上げの発達がはじまる。
神経細胞のネットワーク(神経回路)が活動することで、脳は機能を発揮する。新しい言葉や動きを次々と覚える乳幼児の脳では、新しいネットワークがどんどんつくられ、複雑になっていくように思える。
ところが、脳の発達は、そう単純ではない。
神経細胞のつなぎ目『シナプス』の数は、1〜3歳前後までは急激に増えるが、その後は徐々に減っていくのである!
実は、シナプスが減っていくといいう現象は、”過剰生産”されたシナプスのうち、不要なものが消えていく過程だということが、その後の研究でわかっている。
つまり、神経細胞は、とりあえず最初は広く手をつないでおき、あとで不要な手を離すという戦略をとっているのだ。
この『多めに作ってあとで減らす』方式の方が、『必要に応じて増やす』という方式よりも、周囲の状況の変化に敏感に対応できるのである。
さらに、最近の研究で、手のつなぎ方が変化するだけではなく、神経細胞自体の性質にも巧みな変化がおきていることがわかってきた。
脳の重さは、生まれた時点で大人の約30%
生まれた時の脳の重さは約400g、成人の脳の重さは約1,200〜1500gなので、重さだけなら、生まれた時点で成人の30%前後までに成長している。
脳は大きく重くなるが、シナプスの密度は頭打ち
出生後の『脳の重さ』は、最初の数年間で急激に成長する。
1歳で、300g
4〜5歳には1,200gほど(大人の約80%)
出生後、神経細胞は、樹状突起や軸索を伸ばして大きくなることはあっても、基本的には細胞分裂して数がふえることはない。
脳が重くなるのは、主に、神経細胞を支えたり、髄鞘の元となる『グリア細胞』が分裂してふえることによる(重いほど脳の機能が高い訳ではない)。
神経細胞のつなぎ目である『シナプス』の密度は、脳の多く部位で1〜3歳にピークをむかえる。
視覚情報を処理する大脳の後頭葉にある『視覚野』では、生後8〜9か月ごろにピークをむかえたあと、数年かけて3分の2程度にまで減少する。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行
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2019年02月06日
『脳の発生』
最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていくつもりですが、まだまだ前説の段になります。
脳の進化と成長
『脳の発生』
ヒトの脳は急激に爆発的に拡大した!
脳の発生は進化の歴史をたどる
ヒトの脳は生命の38億年という進化の歴史を経て出現し、巨大化し、高度化を遂げた。
ヒトの脳の発生の様子をみると、脳の進化の歴史をたどることができる。
卵子が受精して3週間(#妊娠5週)経つと、長さ2mmほどの『神経管』が杯の中にできる。
この神経管が脳の起源である。
神経管は、生命進化の歴史では約5億6000年前(古生代カンブリア紀)の脊椎動物の出現にさかのぼる。
約38億年前の生命誕生から約32億年の歴史を、ヒトの発生では約3週間で駆け抜ける!
受精後4週には脊髄で神経細胞が分化しはじめる。受精後5週(#妊娠7週)には身長が1cmに達し、くねくねと身をよじりはじめる。
これは約5億年前に出現した原始的な魚の脳機能の状態を通過しつつあることになる。
この頃から、人間に特徴的な大脳が頭の両側に膨らんでくるのがみえる。
その後、大脳は週を追うごとに巨大化する。
ヒトでは大脳の成長がどの動物よりも長く続く。
こうして私たちは、生命進化や脳と心の謎も探求できる大脳を獲得するのだ。
#産婦人科で使われる『妊娠◯週』は、最終月経の第1日目から数える(新しい卵子が卵巣で成熟しはじめる日)。
受精後1週は、およそ妊娠3週となる。
受精後5週
神経細胞は脳幹と脊髄にだけ出現し、原始的な魚の段階。
大脳は神経細胞を生み出す『マトリックス細胞』だけからなる。
受精後7週
脊髄の神経細胞はすべて完成し、機能を発揮しはじめる。
大脳では神経細胞が分化しはじめる。
受精後10週
脊髄の神経細胞が手足の末端まで伸び、筋肉と結合する。
受精後13週
脳幹(間脳・中脳・延髄)の神経細胞の形成が完了する。
大脳では盛んに神経細胞が生み出され、大脳皮質の形成が活発に進行する。
受精後17週
長期間続いた大脳での神経細胞の産出もほぼ完了に近づき、140億個程度の神経細胞が大脳皮質を形成する。
大脳の神経細胞数はこれがピークで、以降は障害を通じて減る一方である。
受精後20週
脳幹や脊髄を中心に、成熟しつつある神経細胞の軸索に『髄鞘』ができはじめる。
この髄鞘化は、神経細胞どうしの連結と、信号の伝達・情報機能の完成へ向けて、脳機能の整備が始まったことを意味する。
受精後22週
脳幹では動眼神経や顔面神経などに続いて、三叉神経や聴神経、内耳神経などの感覚神経にも髄鞘化が始まるが、実際に見えたり、聞こえたりはしない。
受精後26週
大脳表面には中心溝や頭頂後頭溝、シルビウス裂がはっきり認められるようになる。
人間らしさを特徴づける大脳の出現である。
脳幹はますます完成に近づき、音や光に対する反射や、呼吸へつながる運動も出現する。
受精後30週
視神系や脳幹、脊髄から大脳に向かう軸索にも髄鞘化がはじまる。
中耳が作られ、外界の音が聞こえる体制ができる。
光が脳に伝えられるようになる。
受精後37週
いつ生まれてもよい体制がととのう。
大脳皮質のシワが増え、完成したパターンに近づく。
大脳内部の軸索にも髄鞘化がはじまる。
やがて脳の活動には一時的な抑制がかかり、胎動もほぼ停止し、出産を待つ。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行
脳の進化と成長
『脳の発生』
ヒトの脳は急激に爆発的に拡大した!
脳の発生は進化の歴史をたどる
ヒトの脳は生命の38億年という進化の歴史を経て出現し、巨大化し、高度化を遂げた。
ヒトの脳の発生の様子をみると、脳の進化の歴史をたどることができる。
卵子が受精して3週間(#妊娠5週)経つと、長さ2mmほどの『神経管』が杯の中にできる。
この神経管が脳の起源である。
神経管は、生命進化の歴史では約5億6000年前(古生代カンブリア紀)の脊椎動物の出現にさかのぼる。
約38億年前の生命誕生から約32億年の歴史を、ヒトの発生では約3週間で駆け抜ける!
受精後4週には脊髄で神経細胞が分化しはじめる。受精後5週(#妊娠7週)には身長が1cmに達し、くねくねと身をよじりはじめる。
これは約5億年前に出現した原始的な魚の脳機能の状態を通過しつつあることになる。
この頃から、人間に特徴的な大脳が頭の両側に膨らんでくるのがみえる。
その後、大脳は週を追うごとに巨大化する。
ヒトでは大脳の成長がどの動物よりも長く続く。
こうして私たちは、生命進化や脳と心の謎も探求できる大脳を獲得するのだ。
#産婦人科で使われる『妊娠◯週』は、最終月経の第1日目から数える(新しい卵子が卵巣で成熟しはじめる日)。
受精後1週は、およそ妊娠3週となる。
受精後5週
神経細胞は脳幹と脊髄にだけ出現し、原始的な魚の段階。
大脳は神経細胞を生み出す『マトリックス細胞』だけからなる。
受精後7週
脊髄の神経細胞はすべて完成し、機能を発揮しはじめる。
大脳では神経細胞が分化しはじめる。
受精後10週
脊髄の神経細胞が手足の末端まで伸び、筋肉と結合する。
受精後13週
脳幹(間脳・中脳・延髄)の神経細胞の形成が完了する。
大脳では盛んに神経細胞が生み出され、大脳皮質の形成が活発に進行する。
受精後17週
長期間続いた大脳での神経細胞の産出もほぼ完了に近づき、140億個程度の神経細胞が大脳皮質を形成する。
大脳の神経細胞数はこれがピークで、以降は障害を通じて減る一方である。
受精後20週
脳幹や脊髄を中心に、成熟しつつある神経細胞の軸索に『髄鞘』ができはじめる。
この髄鞘化は、神経細胞どうしの連結と、信号の伝達・情報機能の完成へ向けて、脳機能の整備が始まったことを意味する。
受精後22週
脳幹では動眼神経や顔面神経などに続いて、三叉神経や聴神経、内耳神経などの感覚神経にも髄鞘化が始まるが、実際に見えたり、聞こえたりはしない。
受精後26週
大脳表面には中心溝や頭頂後頭溝、シルビウス裂がはっきり認められるようになる。
人間らしさを特徴づける大脳の出現である。
脳幹はますます完成に近づき、音や光に対する反射や、呼吸へつながる運動も出現する。
受精後30週
視神系や脳幹、脊髄から大脳に向かう軸索にも髄鞘化がはじまる。
中耳が作られ、外界の音が聞こえる体制ができる。
光が脳に伝えられるようになる。
受精後37週
いつ生まれてもよい体制がととのう。
大脳皮質のシワが増え、完成したパターンに近づく。
大脳内部の軸索にも髄鞘化がはじまる。
やがて脳の活動には一時的な抑制がかかり、胎動もほぼ停止し、出産を待つ。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行
2019年02月02日
『ヒトの脳の大型化』
脳の進化と成長
『ヒトの脳の大型化』
ヒトの脳は急激に爆発的に拡大した!
ヒトの脳はサルの脳から進化した
樹上に住むサルは、枝につかまり、枝から枝へ飛び移る動的能力が重要で、手の指や手のひらを中心にした上の運動や、感覚を支配する大脳の部分が発達したサルが生存に有利であった。
鋭敏な視覚、特に正確な立体視できる能力が有力な武器であった。
大脳の視覚や聴覚に関わる部分がいちだんと発達したサルは、さらに生存競争に勝ち残った。
チンパンジーやゴリラから ヒトに至る進化は、遺伝子やタンパク分子の変化だけでは説明できないほどの短期間に進行した。
受精後3週後
神経管の壁面内部では、『マトリックス細胞』が分裂を始める。
マトリックス細胞は神経管の壁面内部で内側と外側を往来しながら細胞分裂を繰り返す。
分裂した細胞の片方は樹状突起や軸索を持つ神経細胞に変化し、
もう片方の細胞はさら細胞分裂を繰り返す。
神経管の壁面は、マトリックス細胞が管の内側から外側にかけて放射状に並ぶことで形成されていく。
こうしてマトリックス細胞が分裂して増殖を重ねることによって、神経管の壁面は成長していく。
形成された神経細胞は神経管の外側に蓄積され、樹状突起を伸ばして神経回路を形成していく。
このマトリックス細胞の分裂回数が1〜2回増えることにより、サルの脳がヒトの脳の大きさまで急激に大型化したと推定されている。
運動や視覚に関わる脳の部分が急激に大型化したことは、大脳新皮質全体が進化の歴史のなかで例をみないスピードで拡大した。
6500万年前、原始的な哺乳類から分かれた霊長類から、ネアンデルタール人やクロマニョン人に至る脳の大型化は、驚異的なスピードで進行した。
この新皮質の爆発的拡大が、脳の視覚や聴覚、手の指や手のひらを中心とする腕の感覚や運動に関わる部分を発達させ、これらの近くにある部分も著しく拡大させた。
まず、顔面筋、舌、唇の運動や感覚に関わる部分が拡大されたために、表情が豊かになった。
さらにその周りに運動性言語中枢『ブローカの中枢』が生まれた。
ブローカの中枢は、ホモ・ハビリスの時代から目立つようになり、北京原人(ホモ・エレクトゥス)では
言葉を話すのに十分と思われるサイズに拡大された。
また、聴覚に関する部分にとなり合う部分も拡大し、感覚的言語中枢『ウェルニッケの中枢』が発展した。
250〜160万年前のホモ・ハビリスの時代には、自分を取り巻く世界を感じ取り、
言葉を話して自分以外の人に自分の考えを正しく伝える能力が出現した。
これこそがヒトの脳の能力であり、ヒトの『心』を生み出す生物的基礎であった。
ヒトの脳はただ大きくなったのではなく、広くなった
MRI画像 灰色に見える部分が神経細胞の集合ー新皮質、白色に見える部分が、神経線維の束、配線部分ー白質
大脳は、神経細胞の本体が脳の表面に集まってつくる1枚のシート(皮質)と、神経細胞どうしを結ぶ配線部分(白質)からなる。
ヒトの大脳を見ると、その表面はしわだらけで、
このしわは、1枚の大きなシートを、頭蓋骨の内側にある限られたスペースに押し込めた結果である。
大脳の発達は、種に大脳表面が広くなっただけではなく、神経細胞どうしの連絡も、より複雑なものになっている。ほかの動物に比べて、配線部分も著しく発達している。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行
『ヒトの脳の大型化』
ヒトの脳は急激に爆発的に拡大した!
ヒトの脳はサルの脳から進化した
樹上に住むサルは、枝につかまり、枝から枝へ飛び移る動的能力が重要で、手の指や手のひらを中心にした上の運動や、感覚を支配する大脳の部分が発達したサルが生存に有利であった。
鋭敏な視覚、特に正確な立体視できる能力が有力な武器であった。
大脳の視覚や聴覚に関わる部分がいちだんと発達したサルは、さらに生存競争に勝ち残った。
チンパンジーやゴリラから ヒトに至る進化は、遺伝子やタンパク分子の変化だけでは説明できないほどの短期間に進行した。
受精後3週後
神経管の壁面内部では、『マトリックス細胞』が分裂を始める。
マトリックス細胞は神経管の壁面内部で内側と外側を往来しながら細胞分裂を繰り返す。
分裂した細胞の片方は樹状突起や軸索を持つ神経細胞に変化し、
もう片方の細胞はさら細胞分裂を繰り返す。
神経管の壁面は、マトリックス細胞が管の内側から外側にかけて放射状に並ぶことで形成されていく。
こうしてマトリックス細胞が分裂して増殖を重ねることによって、神経管の壁面は成長していく。
形成された神経細胞は神経管の外側に蓄積され、樹状突起を伸ばして神経回路を形成していく。
このマトリックス細胞の分裂回数が1〜2回増えることにより、サルの脳がヒトの脳の大きさまで急激に大型化したと推定されている。
運動や視覚に関わる脳の部分が急激に大型化したことは、大脳新皮質全体が進化の歴史のなかで例をみないスピードで拡大した。
6500万年前、原始的な哺乳類から分かれた霊長類から、ネアンデルタール人やクロマニョン人に至る脳の大型化は、驚異的なスピードで進行した。
この新皮質の爆発的拡大が、脳の視覚や聴覚、手の指や手のひらを中心とする腕の感覚や運動に関わる部分を発達させ、これらの近くにある部分も著しく拡大させた。
まず、顔面筋、舌、唇の運動や感覚に関わる部分が拡大されたために、表情が豊かになった。
さらにその周りに運動性言語中枢『ブローカの中枢』が生まれた。
ブローカの中枢は、ホモ・ハビリスの時代から目立つようになり、北京原人(ホモ・エレクトゥス)では
言葉を話すのに十分と思われるサイズに拡大された。
また、聴覚に関する部分にとなり合う部分も拡大し、感覚的言語中枢『ウェルニッケの中枢』が発展した。
250〜160万年前のホモ・ハビリスの時代には、自分を取り巻く世界を感じ取り、
言葉を話して自分以外の人に自分の考えを正しく伝える能力が出現した。
これこそがヒトの脳の能力であり、ヒトの『心』を生み出す生物的基礎であった。
ヒトの脳はただ大きくなったのではなく、広くなった
MRI画像 灰色に見える部分が神経細胞の集合ー新皮質、白色に見える部分が、神経線維の束、配線部分ー白質
大脳は、神経細胞の本体が脳の表面に集まってつくる1枚のシート(皮質)と、神経細胞どうしを結ぶ配線部分(白質)からなる。
ヒトの大脳を見ると、その表面はしわだらけで、
このしわは、1枚の大きなシートを、頭蓋骨の内側にある限られたスペースに押し込めた結果である。
大脳の発達は、種に大脳表面が広くなっただけではなく、神経細胞どうしの連絡も、より複雑なものになっている。ほかの動物に比べて、配線部分も著しく発達している。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行
2019年01月28日
『哺乳類の脳』
脳の進化と成長
『哺乳類の脳』
哺乳類で『嗅覚』から『視覚』が飛躍的に進歩!
ヒトの脳と、魚類、両生類、爬虫類の脳を比べても、全体のレイアウトは基本的に同じ。
脳の先端は、においを嗅ぐ『嗅脳』にはじまり、大脳、間脳、中脳、橋・小脳、延髄、脊髄で終わる。
魚類、両生類、爬虫類の脳は、ヒトと同じ体重にして比べると、150分の1程度しかない。脳に到達する外界の情報は嗅覚に関するものが非常に多く、大脳と間脳の機能は、嗅覚の情報を処理して行動することに重点が置かれている。
ヒトの大脳半球を覆っている『大脳新皮質』は、魚類、両生類、爬虫類ではほとんど出現していない。
ヒトでいう記憶力は欠如している。
『喜怒哀楽』を感じる中枢である『大脳辺縁系』は、爬虫類になって未発達ながら出現する。しかし、においを感じてそれを本能的行動に直結する部分だけが出来上がっているにすぎない。
神経管の中で、大脳新皮質をつくる元の部分は、爬虫類から分かれて、哺乳類が進化し始める直前に創造された。その部分で作られる神経細胞は、『嗅覚』とは関係のない神経繊維と結びつく性質を持っている。
哺乳類では大脳新皮質が大幅に拡大された。
嗅覚以外に視覚など哺乳類が陸上ですばやい行動をとるために必要な情報が、脳に多く取り込まれるようになった。
大脳辺縁系も主に嗅覚以外の感覚に対応するようになり、喜怒哀楽のセンサーとなった。
また、出来事を記憶する力が躍進した。
こうして哺乳類らしい『怒り』や『恐怖』、『攻撃』、『愛』、『憎悪』の感情が出現した。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行
『哺乳類の脳』
哺乳類で『嗅覚』から『視覚』が飛躍的に進歩!
ヒトの脳と、魚類、両生類、爬虫類の脳を比べても、全体のレイアウトは基本的に同じ。
脳の先端は、においを嗅ぐ『嗅脳』にはじまり、大脳、間脳、中脳、橋・小脳、延髄、脊髄で終わる。
魚類、両生類、爬虫類の脳は、ヒトと同じ体重にして比べると、150分の1程度しかない。脳に到達する外界の情報は嗅覚に関するものが非常に多く、大脳と間脳の機能は、嗅覚の情報を処理して行動することに重点が置かれている。
ヒトの大脳半球を覆っている『大脳新皮質』は、魚類、両生類、爬虫類ではほとんど出現していない。
ヒトでいう記憶力は欠如している。
『喜怒哀楽』を感じる中枢である『大脳辺縁系』は、爬虫類になって未発達ながら出現する。しかし、においを感じてそれを本能的行動に直結する部分だけが出来上がっているにすぎない。
神経管の中で、大脳新皮質をつくる元の部分は、爬虫類から分かれて、哺乳類が進化し始める直前に創造された。その部分で作られる神経細胞は、『嗅覚』とは関係のない神経繊維と結びつく性質を持っている。
哺乳類では大脳新皮質が大幅に拡大された。
嗅覚以外に視覚など哺乳類が陸上ですばやい行動をとるために必要な情報が、脳に多く取り込まれるようになった。
大脳辺縁系も主に嗅覚以外の感覚に対応するようになり、喜怒哀楽のセンサーとなった。
また、出来事を記憶する力が躍進した。
こうして哺乳類らしい『怒り』や『恐怖』、『攻撃』、『愛』、『憎悪』の感情が出現した。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行
2019年01月22日
『脊椎動物の脳の起源』
脳の進化と成長
『脊椎動物の脳の起源』
ウニやクラゲやハマグリであっても神経系は発達している。ミミズや昆虫やダニも脳の働きをする神経組織は持っている。
しかし、人間と同じ5億年の歳月をかけても人間の心を生み出したような大きくて複雑な脳を作り出すことはできなかった。
5億年かかったとはいえ、この複雑な人間の脳が出来上がった秘密は、カンブリア紀に脊椎動物の祖先のホヤの幼生に似たプランクトンが、「神経管」というものを作り出したことにある。
神経管発生当時は、神経管の端に神経細胞がほんの少数作り出されただけだった。ホヤの幼生の頭部の神経管には12個の細胞からなる脳内の目、1個の細胞からなる平衡器官も見られる。
神経管はどの脊椎動物でもきわめて似ており、発生直後に神経板に溝が入り、この溝が内側に入り込んで、筒状に頂上が癒合し、直径0.2mm、長さ2mmほどの中空の管として形成される。
この神経管が屈曲し、膜が厚くなるようにして脳が形成されていく。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行
『脊椎動物の脳の起源』
ウニやクラゲやハマグリであっても神経系は発達している。ミミズや昆虫やダニも脳の働きをする神経組織は持っている。
しかし、人間と同じ5億年の歳月をかけても人間の心を生み出したような大きくて複雑な脳を作り出すことはできなかった。
5億年かかったとはいえ、この複雑な人間の脳が出来上がった秘密は、カンブリア紀に脊椎動物の祖先のホヤの幼生に似たプランクトンが、「神経管」というものを作り出したことにある。
神経管発生当時は、神経管の端に神経細胞がほんの少数作り出されただけだった。ホヤの幼生の頭部の神経管には12個の細胞からなる脳内の目、1個の細胞からなる平衡器官も見られる。
神経管はどの脊椎動物でもきわめて似ており、発生直後に神経板に溝が入り、この溝が内側に入り込んで、筒状に頂上が癒合し、直径0.2mm、長さ2mmほどの中空の管として形成される。
この神経管が屈曲し、膜が厚くなるようにして脳が形成されていく。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行
2019年01月20日
脊椎動物の神経の起源
原始生命の誕生から約30億年、細菌のような植物性の単細胞生物が満ちていた海水中に、複数の細胞が寄り集まって小さな多細胞生物ができた。太陽光線からエネルギーを産生できる能力(光合成)を獲得したラン藻が現れて、大量に酸素を産生するようになった。
フリーラジカル(不対電子もしくは不対電子を持つ原子、分子)という言葉をご存知だろうか?
酸素は生物にとっては有害な作用ももたらす。
一般に海洋生物の受精卵は海の表面を漂いながら活発に細胞分裂をし、幼生に成長する。それまで地球の大気には酸素はなく、ギラギラと降り注ぐ『紫外線』を防いでくれるオゾン層(O3)は存在しなかった。紫外線によって毒性の高い活性酸素と紫外線によりDNAが傷つけられた。ほとんどの幼生が死んだが、生き残った者は、新しい遺伝子の組み合わせを獲得した。
脊椎動物の祖先もこの時期に誕生した(今から約5億4000年前から始まったカンブリア紀)
脊椎動物の神経の起源
カンブリア紀に生まれた動物の多くは、体を動かす仕組みとして、体内のあちこちに神経細胞が集合した『神経節』を持つに至った。これが脊椎動物の神経の起源になる。
2019年01月03日
脳を極めれば心がわかる『一元論』ーその2ー
脳を極めれば心がわかる『一元論』ーその2ー
知識の集積だけではなく、経験値(経験知)が大事
遺伝子レベルで用意されているものと、後天的に獲得されるもの
それは経験値、集積されたものから、効率や望ましい結果を実現するために積み上げたものが経験知。
集積回路とプログラミングを同時にしていく過程が、経験知を作り上げていく過程と考えられます。
応用力を決めるものは経験値、知識の集積は必要条件ですが、絶対条件ではありません。
王貞治さんのクローンを作っても、世界ホームラン王が、必ずできる訳ではありません。
運動生理学では、週2回以上,練習しないと運動も技能も上達しないことがわかっていて,
繰り返し使うことで,投球ならばどう投げるのが,スムースに投げられるかを
作り上げていく作業が上達していく過程になります。
また、毎日練習してしまうと却って上達しないこともわかっています。
休んで,どの神経回路を残すかを検討する時間も必要なのだそうです。
イメージドレーニングは、実体験があればこそできる作業で、ただ空想するだけでは,実現しないようです。
気質は遺伝子レベルかもしれないが、性格は環境、親から与えられる方向性や経験値の積み重ね
DNAの二重らせん構造の解明でノーベル賞を受賞したフランシス・クリック博士は、
著書『驚くべき仮説』の中で「あなた自身、その喜びも悲しみも、記憶も大志も、自己のアイデンティティーも自由意志も、実は、膨大な神経細胞群とそれに関連する分子の、反応の結果に他ならない」と書いています。
つまり,脳を研究すれば心の現象も説明できるという「一元論」を唱えています。
知識の集積だけではなく、経験値(経験知)が大事
遺伝子レベルで用意されているものと、後天的に獲得されるもの
それは経験値、集積されたものから、効率や望ましい結果を実現するために積み上げたものが経験知。
集積回路とプログラミングを同時にしていく過程が、経験知を作り上げていく過程と考えられます。
応用力を決めるものは経験値、知識の集積は必要条件ですが、絶対条件ではありません。
王貞治さんのクローンを作っても、世界ホームラン王が、必ずできる訳ではありません。
運動生理学では、週2回以上,練習しないと運動も技能も上達しないことがわかっていて,
繰り返し使うことで,投球ならばどう投げるのが,スムースに投げられるかを
作り上げていく作業が上達していく過程になります。
また、毎日練習してしまうと却って上達しないこともわかっています。
休んで,どの神経回路を残すかを検討する時間も必要なのだそうです。
イメージドレーニングは、実体験があればこそできる作業で、ただ空想するだけでは,実現しないようです。
気質は遺伝子レベルかもしれないが、性格は環境、親から与えられる方向性や経験値の積み重ね
DNAの二重らせん構造の解明でノーベル賞を受賞したフランシス・クリック博士は、
著書『驚くべき仮説』の中で「あなた自身、その喜びも悲しみも、記憶も大志も、自己のアイデンティティーも自由意志も、実は、膨大な神経細胞群とそれに関連する分子の、反応の結果に他ならない」と書いています。
つまり,脳を研究すれば心の現象も説明できるという「一元論」を唱えています。
2018年12月09日
脳を極めれば心がわかる『一元論』
脳を極めれば心がわかる『一元論』
受精8週間で地球誕生40億年、脊椎動物4億年の歴史が進行する
男性の精子と,女性の卵子が合体します.
23本の染色体と23本の染色体が合体し、23対、46本の染色体から、倍々に分裂し、数が増えるとともに、分化していき、8週の間に4億年前に出現した魚類から哺乳類までの進化過程を再現します。
4億年の歴史が22対、44本の染色体に集約されており、1対、2本の染色体がxxだと女性が、xyだと男性に性分化します。
脳神経細胞は1000-2000億個
体全体60兆個、ヒトの脳の『大脳皮質』の神経細胞の数の計測値にはおよそ100億から180億くらいのばらつきがあり、一般には平均値をとってヒトの大脳皮質の神経細胞の数は140億個とされています。
同様の方法、チンパンジーで80億、アカゲザル(ニホンザルの仲間)で50億とされています。
大脳の内側には神経細胞の集まった神経核があり、小脳や脊髄にも沢山の神経細胞があります。
小脳だけでも1000億以上の神経細胞があるという概算もあります。
従って、中枢神経全体の神経細胞の数は1000億と2000億の間と推定されます
1日に10万個、脳神経細胞が死んでいると言われています。これは、いらない神経細胞が自動的に死ぬように染色体レベルで組み込まれているからで、目的は、神経細胞から伸びる神経線維同士の結合を増やすためのスペース作りと言われています
また最近まで、脳神経細胞は減少するだけで、細胞分裂はしないと言われていましたが、記憶の形成に重要な海馬の一部を構成する歯状回では、生涯にわたって新しく神経細胞が作られていることが明らかにされました(神経新生)。
知識の集積だけではなく、経験値(経験知)が大事
遺伝子レベルで用意されているものと、後天的に獲得されるもの
それは経験値、集積されたものから、効率や望ましい結果を実現するために積み上げたものが経験知。
集積回路とプログラミングを同時にしていく過程が、経験知を作り上げていく過程と考えられる。
(続く)
受精8週間で地球誕生40億年、脊椎動物4億年の歴史が進行する
男性の精子と,女性の卵子が合体します.
23本の染色体と23本の染色体が合体し、23対、46本の染色体から、倍々に分裂し、数が増えるとともに、分化していき、8週の間に4億年前に出現した魚類から哺乳類までの進化過程を再現します。
4億年の歴史が22対、44本の染色体に集約されており、1対、2本の染色体がxxだと女性が、xyだと男性に性分化します。
脳神経細胞は1000-2000億個
体全体60兆個、ヒトの脳の『大脳皮質』の神経細胞の数の計測値にはおよそ100億から180億くらいのばらつきがあり、一般には平均値をとってヒトの大脳皮質の神経細胞の数は140億個とされています。
同様の方法、チンパンジーで80億、アカゲザル(ニホンザルの仲間)で50億とされています。
大脳の内側には神経細胞の集まった神経核があり、小脳や脊髄にも沢山の神経細胞があります。
小脳だけでも1000億以上の神経細胞があるという概算もあります。
従って、中枢神経全体の神経細胞の数は1000億と2000億の間と推定されます
1日に10万個、脳神経細胞が死んでいると言われています。これは、いらない神経細胞が自動的に死ぬように染色体レベルで組み込まれているからで、目的は、神経細胞から伸びる神経線維同士の結合を増やすためのスペース作りと言われています
また最近まで、脳神経細胞は減少するだけで、細胞分裂はしないと言われていましたが、記憶の形成に重要な海馬の一部を構成する歯状回では、生涯にわたって新しく神経細胞が作られていることが明らかにされました(神経新生)。
知識の集積だけではなく、経験値(経験知)が大事
遺伝子レベルで用意されているものと、後天的に獲得されるもの
それは経験値、集積されたものから、効率や望ましい結果を実現するために積み上げたものが経験知。
集積回路とプログラミングを同時にしていく過程が、経験知を作り上げていく過程と考えられる。
(続く)
2018年10月26日
資産とは,現金(預貯金を含む),紙のお金,不動産(土地や家屋)と3つあります.
資産とは,現金(預貯金を含む),紙のお金,不動産(土地や家屋)と3つあります.
紙のお金とは,株式や国債・社債や投資信託などの有価証券を指します.
動産(車や家電など),絵画,宝石・貴金属,腕時計などの装飾品も含める場合がありますが,
ここでは,省きます.
現金を増やすためには,社長に,実績をあげて,自分の価値・評価を高めて,昇給(昇級)を勝ち取る.
ただし,サラリーマンであれば,どの職種に所属するかによって,生涯獲得賃金が決まります.
紙のお金,不動産を購入するにあたって,タネ銭が必要になります.
前者だと,30〜50万,後者だと100〜1,000万
伝説の億万長者,本多清六(『私の財産告白』実業之日本社から)は25歳,大学教師時代から,給料の4分の1を天引きし,貯金を始めた.強制的に4分の1を貯金します.
月給20万なら5万円,残り15万円で生活する.最初はきついが,慣れてしまえば問題なくなる.ボーナスも同じ.1年で,60〜75〜80万円,3年で180〜240万円貯まる.
本多翁は,最初に日本鉄道株(上野青森間ー私鉄時代)を購入,買い増しし,高値で売却した資産で,専攻学科である農学・林学や留学先の指導教授(ブレンタノ教授は40歳台には億単位の資産家でもあった)から習った財政経済学の教えを基に,幹線鉄道と安い土地・山林に投資した.本多翁も,40歳の時には大学の給料より,貯金の利子や株式配当の方が多くなった.
1千万円の現金で,1千万円の株を購入した瞬間,その株の価値はいくらか?
1千万円の現金と9千万円の融資で1億円の不動産を購入した瞬間,不動産の価値はいくらか?
(お金持ちになれる「超」不動産投資のすすめ」ドルフ・デ・ルース著,東洋経済新報社から)
銀行や金融機関は不動産が担保の場合,喜んでお金を貸す.銀行はお金を貸したい.
天引き貯金で,タネ銭を作り,紙のお金や,少額の不動産の中古物件で資産を形成していく.
10年ごとに,自分の人生設計を行う,目標を立てることが,人生を楽しく送る最優先課題です.
繰り返しになりますが,
「時間は命です」
命とは,生まれてから死ぬまでの時間の総和.
「お金」は生き方そのものともいえます.
自分の人生を価値あるものにする,
かけがえのない神聖な「仕事」をモノの奴隷に貶めないためにも,
「必要とするだけのお金を継続的に作り出す仕組み」を手に入れることが,
人生をよりよく生きるうえで欠かせない要素です.
紙のお金とは,株式や国債・社債や投資信託などの有価証券を指します.
動産(車や家電など),絵画,宝石・貴金属,腕時計などの装飾品も含める場合がありますが,
ここでは,省きます.
現金を増やすためには,社長に,実績をあげて,自分の価値・評価を高めて,昇給(昇級)を勝ち取る.
ただし,サラリーマンであれば,どの職種に所属するかによって,生涯獲得賃金が決まります.
紙のお金,不動産を購入するにあたって,タネ銭が必要になります.
前者だと,30〜50万,後者だと100〜1,000万
伝説の億万長者,本多清六(『私の財産告白』実業之日本社から)は25歳,大学教師時代から,給料の4分の1を天引きし,貯金を始めた.強制的に4分の1を貯金します.
月給20万なら5万円,残り15万円で生活する.最初はきついが,慣れてしまえば問題なくなる.ボーナスも同じ.1年で,60〜75〜80万円,3年で180〜240万円貯まる.
本多翁は,最初に日本鉄道株(上野青森間ー私鉄時代)を購入,買い増しし,高値で売却した資産で,専攻学科である農学・林学や留学先の指導教授(ブレンタノ教授は40歳台には億単位の資産家でもあった)から習った財政経済学の教えを基に,幹線鉄道と安い土地・山林に投資した.本多翁も,40歳の時には大学の給料より,貯金の利子や株式配当の方が多くなった.
1千万円の現金で,1千万円の株を購入した瞬間,その株の価値はいくらか?
1千万円の現金と9千万円の融資で1億円の不動産を購入した瞬間,不動産の価値はいくらか?
(お金持ちになれる「超」不動産投資のすすめ」ドルフ・デ・ルース著,東洋経済新報社から)
銀行や金融機関は不動産が担保の場合,喜んでお金を貸す.銀行はお金を貸したい.
天引き貯金で,タネ銭を作り,紙のお金や,少額の不動産の中古物件で資産を形成していく.
10年ごとに,自分の人生設計を行う,目標を立てることが,人生を楽しく送る最優先課題です.
繰り返しになりますが,
「時間は命です」
命とは,生まれてから死ぬまでの時間の総和.
「お金」は生き方そのものともいえます.
自分の人生を価値あるものにする,
かけがえのない神聖な「仕事」をモノの奴隷に貶めないためにも,
「必要とするだけのお金を継続的に作り出す仕組み」を手に入れることが,
人生をよりよく生きるうえで欠かせない要素です.
2018年10月24日
自己資産セロから始める究極の資産形成術
世界の不動産投資王 ドルフ・デ・ルースが,エンジニアになるために入学した工学部1年生の時に,
エンジニアたちがおしなべて金持ちでないことに,気づいた.
金持ちがみな共通して持っているものは何か,知りたくなり,金持ちの伝記や自伝,百科事典,書籍,雑誌に目を通し,できるだけ多くの裕福な人たちと会って,話を聞いた.それは7ヶ月以上に及んだ.
金持ちと言われる人たちには,二つだけ共通点があった.
まず第一に,ほとんど例外なく,彼らは誠実である.言葉に偽りがない.
もし彼らが何かを行ったら,それは頼りにしていい.
誠実でなければ金持ちになれない,と言うつもりはない.
しかし,誠実さを持ち合わせずに金持ちになったとしても,いつかはその不誠実に足元を救われるだろう.
また,誠実とは遺伝するものではないので,すべての人にとっての教訓でもある.
第二に,まず例外なく金持ちに共通していることは,彼らが不動産で富を作り上げ,あるいは富を維持しているということだ.
この認識のもと,彼は不動産の世界に踏み込んだ.
4年後,彼は成績優秀で学士号を授与され,学校からあと1年(通常2年)勉強すれば,修士号を挙げようと言われて,修士課程に進んだ,半年終えたところで,「君は優秀だから履修過程を修士課程から博士課程に切り替えても良い」と言われ,断る理由がなかったので,さらに進んで博士号を獲得した.
当時としてはかなり高額な,年収32,000ドルの仕事を提示された.
彼は,その1週間前に35,000ドルの純益をあげる不動産取引を終えたばかりだった.
「もし1週間で35,000ドルに値する取引をして,1年の残りは休暇に当てられるとしたら・・・
正気な人間なら,週40時間,1年のうち49週も働いて,毎朝8時に会社に行き,『おはようございます.今日も出社しましたが,何をすればよろしいでしょうか?』と上司に挨拶なんかしたいだろうか?」
彼は,一度も就職することなく,世界各地の不動産投資を行っている.
不動産投資会社プロパティー・ベンチャーズ・リミテッド社を設立し,不動産投資家,コメンテイターとして活躍中である.
また不動産投資セミナーや研修,講演を精力的にこなし,ラジオやテレビへの出演多数.著書も多数.
「お金持ちになれる『超』不動産投資の進め」自己資金ゼロから始める究極の資産形成術 東洋経済新報社
Real Estate Riches: How to Become Rich Using Your Banker's Moneyから
「ニューヨーク・タイムズ」「ウォールストリート・ジャーナル」紙でもベストセラー入りし,全米50万部の売り上げを誇っている.