2007年09月19日
インターネット銀行
住友信託銀行と総合金融グループのSBIホールディングスが共同出資でインターネット銀行を設立し24日に営業を開始する予定です。ネット銀行は24時間いつでもどこでも使える利便性が人気を集め、設立計画が相次いでいます。
ネット銀行は原則として店舗を持たずに残高照会や口座振り替えといった取引をすべてネット上で行うのが特徴。パソコンや携帯電話を使って時間や地理的な制約を受けずに取引でき、口座開設もホームページから申し込めます。
決済業務が中心ですが、外貨預金や住宅ローンなども利用可能。預金引き出しには、提携している銀行やコンビニエンスストアのATM(現金自動預払機)を使います。銀行にとっても店舗の運営コストを削減できるため、その分預金金利を高く設定したり、手数料を低く抑えるなど、顧客サービスを充実できるのも特徴です。
米国で1990年代半ばに登場。日本では2000年以降、ジャパンネット銀行やイーバンク銀行、ソニー銀行が相次いで誕生しました。各行とも決済件数を順調に伸ばし、07年4〜6月期では最終増益か、最終黒字に転じるなど業績も比較的好調なようです。
ただ、利用に際しては注意も必要です。ネットを利用する頻度が高い分、知らないうちにパソコンに入り込みパスワードなどの個人情報を盗み出すスパイウエアなどの被害に遭う危険性も高いからです。パソコンやパスワードの管理には十分気をつける必要があるでしょう。ジャパンネット銀行では60秒ごとにパスワードが次々と変更される機器を利用者に配布するなど、銀行側もセキュリティー対策を強化しています。
一方、各ネット銀行は新規顧客の獲得のため、新サービスの開発にしのぎを削っています。
イーバンク銀行は今月、外国為替証拠金取引(FX)に参入すべく資格を申請。証券仲介業務にも乗り出す方針を明らかにしています。ジャパンネット銀行は600万人を超える「ヤフーオークション」利用者を囲い込むために専用の決済サービスを導入。商品受け取り確認後に代金が自動決済される仕組みで、「代金を振り込んだのに商品が届かない」といったトラブルを防げます。
また、ソニー銀行は7月にネット専業証券子会社を設立。有価証券関連の品ぞろえも増やしていく考えです。ネット銀行は貸し出し業務が主力の都市銀行と違い、収益の柱を決済時の手数料収入に頼っているのが現状です。このため新規サービスの開発に力を入れ、収益源の多様化を狙っています。
新規参入する住友信託とSBIの「住信SBIネット銀行」は外貨預金や住宅ローン、カードローンといったサービスの提供を予定し、2010年3月期には40万口座、7000億円程度の預金獲得を目指します。このほか、三菱東京UFJ銀行とKDDIが携帯電話に特化したネット銀行を設立し08年度の開業を目指しています。また東京都民銀行と楽天もネット銀行の設立準備を進めています。
新規参入が増えることで競争はますます激化しますが、利用者にとっては便利なサービスが増えそうです。