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2019年07月14日
家族の木 THE THIRD STORY 純一と絵梨 <10 縁談>
縁談
日本へ帰ってから就職した大阪の会計事務所では一生懸命働いた。仕事は確かに、しんどいがそれなりにやりがいも感じた。出世したいような野心も出てきた。仕事に生きるということに少し魅力を感じていた。
それに大阪の親戚は僕にとても親切だった。親戚の多いこの土地なら生涯独身でもやっていけそうな気がしていた。僕は結婚には気が向かなかった。
ところが大阪の暮らしに慣れたころには叔父夫婦は熱心に僕の縁談を探し始めた。この人たちはなぜそんなに僕に結婚させたいのか不思議だった。
タカシは親に心配をかけることもなく、ちゃんと恋をして結婚に向けて動き出していた。
僕は多少うんざりして逃げてばかりいた。大阪の住み心地が少し悪くなってきた。
タカシから叔父夫婦が僕の実家に行ったと聞いた。たぶん本気の縁談だと思った。きっと、お見合いをしたが最後、断れない話だ。僕はもう、その状況だけで拒否反応が出た。
両親が賛成したとしても僕に話が来た時点で断るつもりだった。そうなれば、その後は美奈子叔母さんからは縁談が来ないような気がした。それでいい。
叔父夫婦は翌日には東京から帰ってきたが、その後僕には何の話もなかった。両親が断ったのだろうか?いずれにしても、今後しばらくは縁談が来ないだろう。ほっとしていた。
続く
日本へ帰ってから就職した大阪の会計事務所では一生懸命働いた。仕事は確かに、しんどいがそれなりにやりがいも感じた。出世したいような野心も出てきた。仕事に生きるということに少し魅力を感じていた。
それに大阪の親戚は僕にとても親切だった。親戚の多いこの土地なら生涯独身でもやっていけそうな気がしていた。僕は結婚には気が向かなかった。
ところが大阪の暮らしに慣れたころには叔父夫婦は熱心に僕の縁談を探し始めた。この人たちはなぜそんなに僕に結婚させたいのか不思議だった。
タカシは親に心配をかけることもなく、ちゃんと恋をして結婚に向けて動き出していた。
僕は多少うんざりして逃げてばかりいた。大阪の住み心地が少し悪くなってきた。
タカシから叔父夫婦が僕の実家に行ったと聞いた。たぶん本気の縁談だと思った。きっと、お見合いをしたが最後、断れない話だ。僕はもう、その状況だけで拒否反応が出た。
両親が賛成したとしても僕に話が来た時点で断るつもりだった。そうなれば、その後は美奈子叔母さんからは縁談が来ないような気がした。それでいい。
叔父夫婦は翌日には東京から帰ってきたが、その後僕には何の話もなかった。両親が断ったのだろうか?いずれにしても、今後しばらくは縁談が来ないだろう。ほっとしていた。
続く