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2018年03月14日

加藤剛主演「大岡越前」第6部31話「呪われた縁談」

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 3月13日の午後9時から、CS放送の時代劇専門チャンネルで、加藤剛主演「大岡越前」第6部31話「呪われた縁談」が放送されました。
 南町奉行・大岡越前守忠相の実父である大岡忠高(片岡千恵蔵さん演じる)が小石川養生所の名医・新三郎(西郷輝彦さん演じる)のもとへ行き、縁談を進めます。
 相手は薬種問屋の一人娘。
 忠高はその娘のことも店の良く知っているらしく、いい娘だからと、強引に話を進めようとします。新三郎は「まだ妻をめとる気はありません」というのですが、そこは頑固おやじの大岡忠高。新三郎の思いや戸惑った顔など眼中にありません。
 あまりに強引なので新三郎は忠相(加藤剛さん演じる)のもとへ行き、苦情を言います。が、忠相は笑って「会ってみれば気に入るかもしれない」だの「そういう縁もある」だのと言います。
 結局、新三郎は娘と会うことになります。
 娘にとっての縁談はこれで三度目。さきの二度は、ともに相手から断られたのではなく、娘が断ったのでもなく、相手の婿候補が不審な死を遂げたのだった。
 娘がそれを苦にして、自分のことを「呪われている」といい、自分と関わると新三郎が不幸になるからといって、破談にしてもらいたい、と言い出します。
 新三郎はそんな娘に同情し、縁談に乗り気になります。
 そして、忠相らとともに、不審な死を遂げた二人の婿候補の怪死の真相を突き止めようと、探りを開始します。

 探っていくうちに浮かび上がったのは、河童のごとき潜水の達者。それを操っていたのは誰なのか。怪しいのは娘の店の手代でした。
 手代は婿取りなど不幸のもとだと言い、自分の方が婿にふさわしいと言います。娘に惚れていたのです。そして思い余って娘に襲い掛かります。
 娘に迫って乱暴を働きかかったところで手代は捕まります。さきの二人の不審な死も手代が河童のごとき男に依頼してのことだと奉行所の者たちが思い、問い詰めるが、手代は、二人の死については自分はなにも知らない、と言い張ります。
 では、本当の黒幕は誰なのか?
 善人の皮を被った真犯人の姿が、やがて明らかになります。
 
 


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2018年03月13日

中村吉右衛門主演「鬼平犯科帳」第6シリーズ第10話「おかね新五郎」







 3月11日の午前9時から、CS放送の時代劇専門チャンネルで、中村吉右衛門主演「鬼平犯科帳」第6シリーズ第10話「おかね新五郎」が放送されました。
 火盗改長官の長谷川平蔵(中村吉右衛門さん演じる)は、ある日、旧知の間柄である浪人・原口新五郎(滝田祐介さん演じる)を訪ねる。原口新五郎は、かつて、平蔵がまだ若い時分、高杉道場で剣術の修行を始めたばかりのころに知り合った者で、今は寺の境内で子供に読み書きなどを教えている。
 若いころに知り合った者、とくに同じ道場に通いながら自分と違う人生をたどって悠々と暮らしている原口に会って語り合うひと時は、凶悪な賊を取り締まる役目で忙しい平蔵にとって、癒しともいうべき息抜きの時間となっていた。
 その原口と会った帰り、平蔵は二十数年ぶりに、おかね(南田洋子さん演じる)という女を偶然に見かけた。おかねは、若き日の平蔵が本所界隈で無頼の日々を送って「入江町の鐡」とか「本所二つ目の鐡」などとあだ名されていたころ、流しの女郎をやっていた。
 気になっておかねの様子に注目すると、おかねは、片目の男(山田吾一さん演じる)を包丁で切りつけようとした。
 この騒動を鎮めようとした平蔵はおかねを助ける。
 片目の男は弥助といった。かつて、おまさ(梶芽衣子さん演じる)の父親が居酒屋を営んでいた時、店内でおかねに絡み、挙句、まだ娘だったおまさにも暴力をふるった。それをみて逆上しおまさを助けようとしたおかねは弥助の目をかんざしで刺した。
 弥助は自分の右目を潰したおかねを深く恨んだ。
 のちに、おかねは江戸から離れ、誰の子か言えぬ娘を生んだが、その娘がまだ幼くかわいい盛りの時に、弥助は、おかねが江戸にもどってきたのを知り、おかねの娘をさらって殺した。
 それで、おかねは弥助を「娘のかたき」とつけ狙っていたのだ。
 密偵・相模の彦十(江戸家猫八さん演じる)はこの話を聞き、昔を思い出して「その娘は、もしやてっつあん(平蔵)の?」と言うが、平蔵は「身に覚えがない」という。
 彦十と昔のことを話しているうちに、平蔵にある推理がはたらく。
 「もしやその娘の父親は原口新五郎どのでは?」
 そして平蔵が原口本人に会い、問いただすと、原口は昔、おかねと男女の仲になっており、所帯をもつつもりだったが、突如としておかねが行方をくらませたので添い遂げることはできず、ずっと独身のままなのだという。
 やがて、平蔵はおかねの告白から、娘の父親が原口で、むかし原口のもとから去ったのは原口の侍としての出世を考えて自ら身を引いたのだった。
 平蔵は、火盗改として弥助を追い詰め、おかねの仇討ちに手を貸す。

 この話でこころを動かされるのは、原口新五郎の清廉な生き方と、流しの女郎だというおかねを真摯に愛し、所帯をもつつもりだったという「思い」「愛情のたしかさ」と、原口新五郎のことを思って身を引いたおかねの気持ちです。
 その二人の気持ちがすれ違い、若い時は分かれたが、平蔵との出会いをきっかけとして、二人の思いがやがて一つになるのです。




2018年03月12日

NHK大河ドラマ「西郷どん」第10回「篤姫はどこへ」

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 3月11日の午後8時から、NHK総合で、鈴木亮平主演NHK大河ドラマ「西郷どん」第10回「篤姫はどこへ」が放送されました。
 島津斉彬(渡辺謙さん演じる)の「お庭のつとめ」、内実は隠密的な役割として斉彬の手となり足となり目となり耳となって働くことになった西郷吉之助は、品川宿で、急病人を救った蘭方医と出会います。その男こそ、越前福井藩士・橋本左内(風間俊介さん演じる)でした。
 「ヒー様」こと一橋慶喜(のちの十五代将軍徳川慶喜)との出会いも衝撃的でしたが、橋本左内との出会いも吉之助にとって重要なものとなります。橋本左内は越前福井藩主・松平慶永(春嶽)の懐刀ともいうべき有能な家臣なのです。
 そんな出会いがあったころ。江戸の島津藩邸でちょっとした事件が起こります。
 島津家の分家の生まれながら藩主・斉彬(渡辺謙さん演じる)に見こまれて養女となった篤姫(北川景子さん演じる)。その篤姫が、ある日、突如として、行方をくらませたのです。
 江戸の町を駆け回る西郷吉之助(鈴木亮平さん演じる)の目の前に、篤姫のものと思われる着物を着た女が現れます。
 女が言うには、突然、この着物を着た若い女が「この着物とかえてくれ」と言ったから、言うままに換えたのだ、とのこと。
 さらに走り回って、吉之助はやっと、海辺で篤姫を見つけます。
 江戸へ来て篤姫の生活は一変。というより島津本家の養女となって一変。しかも今いる場所は薩摩から遠く離れた江戸。養女となって今の「父上」は殿様(斉彬)だということは分かっているが、実家の父上に会いたい。と、そのようなことを篤姫は言いました。つまり、里心がついたのです。今風にいうならばホームシックです。
 篤姫の思いを知った吉之助は、篤姫がどうなるのか気にかかります。
 そして、篤姫が誰のもとへ嫁ぐのか、それは何を目的とした婚姻なのか、その目的が果たせられたとしても篤姫を待ち受ける運命はどうなのか、を深く知ることになります。
 それは篤姫の「女としての幸せ」とは縁遠い、政治的工作活動そのものでした。

 この時代を描いたドラマ、特にNHK大河ドラマの「翔ぶが如く」や「(宮アあおいさん主演)篤姫」を見たことがある人ならば、その政治的工作活動が何なのか、すぐ分かります(「篤姫」を見たならば当然のこととして)。
 ただ、描かれ方が違います。
 また、西郷吉之助の視点でみると、島津家の幕府内での位置づけや藩主・斉彬の意図、そして水戸家や越前松平家などとの関係を知ること、橋本左内との交友関係ができることによって、戸惑いながらも政治的な目が開かれていきます。





2018年03月11日

宮アあおい主演ドラマ「眩(くらら)〜北斎の娘〜」






 3月9日の午後10時から、NHK総合で、宮ア(正しくは「ア」の字)あおい主演ドラマ「眩(くらら)〜北斎の娘〜」が放送されました。 
 その名の通り、江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の娘を主人公としたドラマです。
 葛飾北斎(長塚京三さん演じる)という天才絵師の娘として生まれ、その画業を間近で見てきた三女・お栄(宮崎あおいさん演じる)は絵の世界にのめりこんでゆく。
 そのため、嫁ぎ先では家事などほとんどやらずに離縁された(嫁ぎ先も絵師だったが夫の絵の拙い所を指さして笑ったため離縁されたという話もある)。
 出戻りとなったお栄は父の絵の手伝いをしアシスタント的な存在となるが、そのうち、北斎の画業にとって、なくてはならない存在となる。
 そんな中、お栄は父・北斎の門人である絵師の善次郎(松田龍平さん演じる)にだけは心を許し、苦しみや悩みを話すようになり、密かな恋心を抱く。
 しかしそれも叶わぬ恋で、善次郎も亡くなり北斎も亡くなって、女としての幸せも求めず、とことん「絵画」という芸道を追求し、「葛飾応意」として独自の芸術観をもつようになる。

 当時としての「女らしい生き方」とは無縁で、絵の世界に集中しすぎて、ちょっと風変わりな姿だったり、仕事の最中にぶつぶつ独り言とか自問自答みたいなことをしていたり、他人からみたらとにかく「変人」なのですが、芸術ひとすじの生き方がすごいです。





2018年03月10日

藤田まこと主演「必殺仕事人 激突!」最終話「最後の大仕事」







 3月9日の午前9時から、テレ玉(テレビ埼玉)にて、藤田まこと主演「必殺仕事人 激突!」の最終話「
最後の大仕事」が放送されました。
 「必殺シリーズ」で最終話となると、単なる悪党ではなく、幕閣の要人とか大奥の総取締がからんでくることがよくあるのですが、この「激突!」もそうで、幕府が貨幣の改鋳を決め、そのために幕閣の要人やら金座の重役やら大奥の大物やらが私腹を肥やそうと謀議をめぐらします。
 その政治的スキャンダルをネタに「かわらばん」に書こうと、現代の週刊誌記者ならぬ「かわらばん屋」が動き出しますが、察知した悪の黒幕の手下に斬り殺されます。
 中村主水(藤田まことさん演じる)は鋭く捜査しようとしますが、上役はなぜか捜査を打ち切ってしまいます。
 そして、また別のかわらばん屋が陰謀を突き止めようとしますが、やはり黒幕の手下に殺されてしまいます。かわらばん屋は、死ぬ間際、俺が帰らないと俺の仲間が貴様らの悪事をばらすことになるぞ、と刺客に言い放ちます。
 中村主水や秀(三田村邦彦さん演じる)の仕事人仲間であるお歌(光本幸子さん演じる)は、殺されたかわらばん屋の仲間の男に惚れて、いろいろと世話を焼いていました。その男は、かつては武士で、中村主水の子供時代の寺子屋仲間でもありました。そして、世の不正を暴くことを己の使命と感じ、幕閣の重要人物の悪だくみをかわらばんに書こうとしていました。
 男はいわゆる「男やもめ」で、小さい男の子と二人暮らしでした。
 男はかわらばんを徹夜で仕上げなくてはならないからと、男の子をお歌に預けます。その夜、黒幕の手下によって刺され、殺されてしまいます。しかも自害したように見せかけて。
 中村主水の上役は、かわらばん屋同士のいさかいがあって先の二人が死に、その責任を感じた元武士のこの男が腹を切って自害したのだろう、といって片付けます。
 そうして、
中村主水、秀、山田朝右衛門(滝田栄さん演じる)、夢次(中村橋之助さん演じる)、お歌らが幕閣の大物相手に「仕事」を行います。 
 そして、江戸城の大奥では、このシリーズの仕事人の元締である、 大奥の中臈(ちゅうろう) 初瀬(酒井和歌子さん演じる)が、貨幣改鋳に関する謀議に加わっていた大奥の大物をすれちがいざまに懐刀で殺します。 



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2018年03月09日

映画「伊賀忍法帖」







 3月4日の午前4時10分から、CS放送の日本映画専門チャンネルで、真田広之主演「伊賀忍法帖」が放送されました。
 ヒロイン役を演じたのがまだ新人だった渡辺典子さん。これがデビュー作でした。
 渡辺典子さんは当時映画製作に夢中になっていた角川春樹氏に見いだされたかたちで、薬師丸ひろ子さん、原田知世さんに続いて、「角川三人娘」として強く推されてデビューしました。「伊賀忍法帖」の内容をみると、デビュー作としてはたいへん難しい役に挑んだものだと思います。
 まず、戦国時代の梟雄・松永弾正久秀(中尾彬さん演じる)が登場します。
 松永弾正は身分低い出ながら三好家に仕え頭角をあらわし、風雲に乗じて成り上がり、天下にその名をとどろかすばかりか、将軍足利義輝を殺すわ主の三好を殺した(とされる)わ、奈良の東大寺の大仏殿を焼くわ、と、織田信長さえあきれたほどの梟雄ぶりで、下克上の申し子のような存在です。
 それでいながら彼は茶の湯に通じ、城づくりでも初めて天守閣をつくるなど、能力的に優れた面もありました。
 また、戦場でも女を連れて行き輿の中で女を抱くなど、好色なことでも有名でした。
 その好色な松永弾正が、主君・三好義興(松橋登さん演じる)の妻・右京太夫(渡辺典子さん演じる)の美しさに目を奪われ、我が物にせん、との妄念にとらわれます。
 そんな弾正の前へ突如現れたのは、謎の妖術使い・果心居士(カシンコジ)。
 果心居士(成田三樹夫さん演じる)は、弾正のために、「惚れ薬」を作る、と提案する。
 そして、果心居士の弟子という、人間業とは思えない妖術を使う忍法僧が動き出す。
 場面かわり、忍者の本場・伊賀の里で若い男(真田広之さん演じる)と女(渡辺典子さん演じる)が惚れあっている。男の名は忍者の城太郎、女の名は篝火(かがりび)。篝火の役も渡辺典子さんが演じているので、この時点で一人二役です(しかしそれだけでは済まない)
 二人の前に、果心居士の弟子の忍術僧たちが現れ、襲い掛かる。「惚れ薬」を作るために、篝火の体が必要なのだった。
 瀕死の重傷を負った城太郎が気づいたときには、もう、篝火はさらわれていた。
 篝火は弾正の居城・信貴山城に連れていかれた。そして、弾正の目の前で、弾正に仕える女・漁火(いさりび)とともに首を刎ねられる。仰天し怒り狂う弾正だが、忍術僧は女二人の首をすげかえ、胴体とつなぎ合わせ、生き返らせるのだった。
 漁火は美保純さんが演じています。
 妖術により、首から上が篝火で首から下が漁火という、「鬼火」という女(顔が篝火なので渡辺典子さんが演じていることになる)と、首から上が漁火で首から下が篝火という女が出来上がりました。
 忍術僧は「惚れ薬」を作る為といって、首から上が漁火で首から下が漁火の女を犯します。
 この女はのちに、城を抜け出して城太郎のもとへ行き、おそるべき事実を告げます。首から下が篝火ですが、篝火としての心が残っていたのです。
 城太郎は復讐の為、弾正や忍術僧に戦いを挑みます。
 そして、城太郎を柳生新左衛門(松永弾正に仕えているはずの)が助けたり、いろいろな人物がからみます。
 柳生新左衛門とは、後の柳生石舟斎宗厳(やぎゅうせきしゅうさいむねよし)のことで、千葉真一さんが演じています(服部半蔵役ではない)。
 服部半蔵役は田中浩さんです。
 忍法僧役には、風祭ゆきさん、ストロング小林さん(このときの役名から「ストロング金剛に改名したといわれている)、佐藤蛾次郎さん、浜田晃さん、福本清三さんが演じました。
 すべて「ハマリ役」だと思いました。
 山田風太郎さんの作品が原作ですので、原作の内容から、アクションシーンだけでなく、どうしても残酷なシーンやエロティックなシーン、グロテスクなシーンが出てきます。
 ただ、大衆に見せる映画としての都合上、エロ、グロは出しながらも原作そのままにすることは抑え、限界程度に出した感じです。
 ロケ地選定、アクションシーン、特撮映像、配役、いろいろな点で、うまくいっていると思いました。が、ラストは「分かるような分からないような?」と思った人も多いのでは?
 と感じました。
 





2018年03月08日

加藤剛主演「大岡越前」第6部28話「女掏摸が越前の娘」







 3月8日の午後9時から、CS放送の時代劇専門チャンネルで、加藤剛主演「大岡越前」第6部28話「女掏摸が越前の娘」が放送されました。
 サブタイトルにあるように、女の掏摸が「私の父親は南町奉行の大岡越前だ」ということによって起こる騒動を描いた話です。
 ある日、大岡越前守配下の同心・風間駿介(和田浩治)が、雑踏の中で若い女(叶和貴子さん演じる)を見かけます。
 姿かたちからして普通の娘ではありません。おきゃんというか、伝法といいますか、女伊達といいますか、ちょっと「かたぎ」ではないような恰好で、人ごみの中をうろうろしています。
 あの娘をみろ、と駿介は岡っ引きの辰三(高橋元太郎さん演じる)に言います。
 「ああいう娘が好みなんですか?」と辰はニヤニヤしながら言いますが、
 「あれは掏摸だ」と風間駿介は言います。
 そして、女は金持ちの商人の懐から財布を掏り取ります。
 即座に捕まえられたのですが、捕まった瞬間、駿介ら周囲の者を驚かせます。
 「あたいの父親は、あたいを裁く大岡越前だよ」と。
 その噂はたちまち広がります。
 越前の娘だという女の母親は、もうすでにこの世にないが、死ぬ間際「お前の父親は大岡越前守さまなのだよ」と言ったのだという。
 忠相を「若」と呼ぶ村上源次郎(大坂志郎さん演じる)は、忠相にむかし恋人がいたとは思えないし聞いたことがない、と言います。が、その噂が忠相の奥方・雪絵(宇津宮雅代さん演じる)に知られるのを恐れて、雪絵に会うと目をそらせたりします。
 忠相の父・忠高(片岡千恵蔵さん演じる)も驚きます。
 やがて、忠高は、ここは男同士の方が話しやすかろう、と、忠相に噂のことを息子・忠相に語ります。もちろん、忠相には身に覚えがありません。
 では、女の本当の父親は誰なのか?
 女の母親は、なぜ、死に際して「おまえの父親は大岡越前」と言ったのか?
 「死に際に嘘をつくだろうか?」
 忠相も首をひねります。
 やがて、物語のクライマックスで、その謎が明らかになりますが、そこで母親と父親の深い愛情が分かるのです。
 嘘をつく事がなぜ?
 と思う人もいるかもしれませんが、それが人情ものの時代劇の面白さというものです。
 


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2018年03月07日

松山ケンイチ主演NHK大河ドラマ「平清盛」総集編第1部「武士の世」







 3月4日の午後9時から、CS放送の時代劇専門チャンネルで、松山ケンイチ主演NHK大河ドラマ「平清盛」の総集編第1部「武士の世」が放送されました。
 放送当時は何かと物議をかもす事柄があり、世間を賑わせましたが、なかなか描かれることのなかった平清盛の若き日の様子をダイナミックに描いたのは画期的でした。
 昭和47年に放送された大河ドラマ「新・平家物語」では、清盛を仲代達矢さんが演じました。が、仲代さんでは晩年の清盛の役はいいかもしれませんが、武家の棟梁として出世する前の清盛の姿なら、いい意味でも悪い意味でも松山ケンイチさんの方がふさわしいと言えるでしょう。
 というのは、平忠盛の長男として生まれた清盛には出生の秘密がささやかれたり、一族間の相克とか源氏との出世争いとか、いろいろと悩ましい問題があったからです。その悩み苦悩する姿を演じるのは、現代人にとっては松山ケンイチさんのほうが分かりやすかったかもしれません。





2018年03月06日

NHK大河ドラマ「西郷どん」第9回の名場面







 このまえ放送されたNHK大河ドラマ「西郷どん」第9回「江戸のヒー様」の名場面は、西郷吉之助(鈴木亮平さん演じる)が藩主・島津斉彬(渡辺謙さん演じる)より「お庭方」という役目を命ぜられ、直接対面した時に少年時代のことを語るシーンです。
 お庭の仕事というので藩邸の庭のそうじやら、庭木の手入れやらに励む吉之助でしたが、ついに斉彬と対面します。
 そして、なぜ「いのちがけ」で奉公したいのかと、思いを語ります。それは少年の日、藩主になる前の斉彬と会い、言葉を掛けられたことから始まったのです。
 腱を斬られ剣が振れなくなった(駄洒落ではありません)少年の日の吉之助が武士として奉公できないと絶望しましたが、若き斉彬から声を掛けられ、剣以外の道でも武士として、藩の為、世のために働くことができるのだと教えられました。
 それは絶望した少年の心にさした一筋の光明でした。以後、吉之助は功名心のためではなくただ他人の為に藩の為に働く侍となったのです。
 「ああ、あのときの『やっせんぼ』か!」
 斉彬は初めて気づいたようでした。
 この対面のあと、吉之助は斉彬の命で、斉彬の目となり耳となり、ときには手足となり働くことになるのです。
 「お庭方」ですから、斉彬の都合の良い時に対面して、様々な情報を斉彬の耳に入れたり公に出来ない「密命」を受けて働くことができます。
 「西郷吉之助は、じつは忍者だった!」
 などという説が出たりするのは、この「お庭方」を務めたことによるのです。
 徳川将軍家に「御庭番」と呼ばれる忍者がいたことを連想させますが、「お庭方」はつまり隠密的な仕事というわけです。





2018年03月05日

藤田まこと主演「剣客商売」第4シリーズ第10話「剣の師弟」







 3月3日の午後2時から、CS放送のホームドラマチャンネルで、藤田まこと主演「剣客商売」第4シリーズの第10話「剣の師弟」が放送されました。
 ある日、秋山小兵衛(藤田まことさん演じる)は、ふと立ち寄った居酒屋で、浪人ふうの男と商人風の男の二人連れを見かけます。
 その日から小兵衛の様子が変わります。遠くを見つめ黙り込んだり、何か思い悩んでいる様子で、妻のおはる(小林綾子さん演じる)ほか、周囲の者は心配します。
 小兵衛は弥七(三浦浩一さん演じる)に、あの居酒屋で見た浪人風の男らの様子を見張るように言います。
 その浪人風の男こそ、かつての小兵衛の剣術の愛弟子で、突如行方をくらまして人を殺し「お尋ね者」となった男なのでした。
 特別に目をかけてやっていた弟子が人殺しとなり、また罪を重ねるかもしれない。自分が教えた無外流(秋山父子が使う剣術の流派)が邪剣となり血で汚れるのを見逃すわけにはいかない。かつての愛弟子を自分の手で斬らなくてはならないのか?
 そう悩み苦しむ小兵衛の心情と悲しみがよく描かれている回です。






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