2008年11月06日
アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎とは増悪と寛解を繰り返す、
掻痒(そうよう:かゆみ)のある湿疹病変を主とする疾患で、
患者の多くはアトピー素因をもつ。
日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療ガイドラインと、
厚生省心身障害研究班の治療ガイドラインがある。
前者は、皮膚科専門医師を対象としており、
後者はアトピー性皮膚炎の診療にかかわる
臨床医を幅広く対象としたものであるが、両者は大筋において似ている。
ただし、厚生省研究班のガイドラインに沿った治療にもかかわらず、
1か月以上、強い皮疹が遷延する患者に対しては、
皮膚科専門医による診断治療を受けることが望ましい。
アトピー性皮膚炎は、いわゆるアトピー素因より
発症すると考えられているが、アトピー性皮膚炎のピークは
小児期と思春期の2つにある。
どちらの場合も自然治癒傾向があるので、
老人のアトピー性皮膚炎はほとんど存在しない。
従って、アトピー性皮膚炎の発症に関与する遺伝的背景を
変えることはできないが、実際の皮膚病変の発症は、
人生の限られた時期のものであり、
病気をやりすごしてしまう治療を行うことが基本である。
●治療の目標:
体質改善などの根治療法はなく、あくまで対症療法が中心となる。
しかし、多くの症例では加齢とともに自然寛解も期待される。
症状がない、あるいはあっても軽微で、
日常生活に支障はなく薬物療法もあまり必要としないか、
あるいは軽微ないし軽度の症状が持続しても、
急に悪化することはまれで、悪化しても遅延することはない、
という状態を保つことが治療の目標である。
●治療の基本方針:
治療の主体である外用療法の選択は、個々の皮疹の重症度に
基づいてなされる。
単に炎症の程度と皮疹の面積から評価され、
疾患としての重症度が決定されるものではない。
すなわち、範囲は狭くても、重症の皮疹には
強いステロイド外用剤が必要である。
一方、軽症の皮疹には中程度の強さ以下のステロイド薬が基本である。
海外での数千例を対象とした全身への「タクロリムス軟膏0.1%」
(プロトピック)単独の治験では、
アトピー性皮膚炎に非常に有用で、強力なステロイド薬と
同等の効果が認められている。
また、濃度を低くした小児用プロトピック軟膏が
日本でも使用可能になり、2歳以上の小児にも使えるようになった。