2018年10月12日
思春期だった俺、ついつい見てしまった結果・・・【怖い話】
高校2年生だった7月頃の話。
その日は定期テストで早く帰れたこともあり、
普段から人が少ない路線なのにさらに電車がガラガラだった。
音楽を聞きながら携帯を弄っていると、
向かいの座席にカップルが座ったのが視界の端で見えた。
最初こそ気にしていなかったのだが、
女の方が男の頬にキスをした。
それも何回も。
視界の端で見えただけだったが、
そこは思春期だった俺、ついつい見てしまった。
男は中肉中背のハゲたおっちゃん。
女は日本人ではなさそうなアジア系のお姉さん。
当時の俺は、外国人のパブのねーちゃんでも連れてるんだと思ったが、
どうも男は女のイチャつきに嫌そうな顔をしていた。
昼間の電車で堂々とキスって・・・、
国によっては普通なのかなと俺は考えていた。
しばらくチラチラ見ていると、
女がキスするのをやめて男に何か話しかけていた。
俺は音楽を聞いていたので内容は全く分からなかったが、
女が男の頬に顔を近づけたまま何やらブツブツと喋っている。
その時、
「あ、この女の人、変な人なんだ」、
そう思って目を逸らそうとした。
だが、ちょうど男と目が合った。
ちょっと気まずい感じがしたので、
また下を向いて携帯を弄ることにした。
周りの人は全く見ていなかった。
それでもやっぱり気になるので、
カップルを視界の端で見ていた。
それからしばらくすると、
女がキスをやめて俺の方をまじまじと見てきた。
向かいに座っていたからそう感じるだけだと思ったのだが、
顔を上げるとしっかりと目が合った。
それが不気味だったこともあり、
俺は地元の駅に着いた瞬間に急いで電車から降りた。
家に帰ってからは夜中まで翌日のテストの勉強をした後、
さっさと布団に入った。
すると、頬に何か当たった感触がした。
唇だ。
俺は怖くて目を開けられなかったが、
その唇の主が誰なのかはすぐに想像がついた。
数回キスが続いた後、頬のすぐ横でブツブツと囁き始めた。
日本語ではない言葉でひたすらブツブツと。
その時は、
「あぁ、電車で見たおっちゃんから移ったんだなぁ」とか、
「他の人は見てないんじゃなくて見えてなかったんだなぁ」とか、
「見えたのがバレたから付いて来たんだろうなぁ」などと、
もう怖すぎて逆に冷静に色々と考えていた。
気がつくと寝てしまっていたようで、朝になるとアイツは居なかった。
俺はそこから1ヵ月程、不定期に耳元で囁かれることになる。
気がおかしくなりそうだった。
3回のお祓いも意味がなかった。
でもある時からアイツは現れなくなった。
たぶん誰かが見たのだろう。
それでアイツは今も見た人を付け回しているのだと思う。
アイツが何を伝えようとしていたのかは、今となっては分からない。
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