2024年05月15日
【不思議な話】祖父は元ヤーさん
母から聞いた話。
俺の祖父は元ヤーさんで、
両手を合わせて五本の指しかなかったという。
「沢山の人間の指を詰めてきた」
と誇らしげに語る祖父を、母は内心嫌っていた。
しかし嫁いだ身として口に出しはしなかった。
ある日の晩。
まだ小さい俺と同じ布団で眠っていると、
急に俺がギャーと叫んだ。
夜泣きとは違った泣き方に
慌てた母は俺をあやそうとしたが、
俺は狂ったように転がって
「xxさんxxさんxxさん」
と誰かの苗字を叫びながら壁に頭を打ち始めた。
止めさせようとしても、
暴れるわ手に噛みつくわでどうしようもなかったらしい。
後日、俺と母が暮らしていた部屋は元祖父の部屋で、
押入れの奥に指詰め用の道具や短刀が保管してあることが分った。
そして「xxさん」というのは
祖父の893ネームみたいなものだということも。
恐ろしくなった母は俺を連れて実家に帰り、
なんやかんやで離婚の流れになったらしい。
「アンタ、私のことをママって呼ぶ前に
xxさんって言ったんよ。
まだ何も喋れない赤ちゃんだったのに」
と言われて、
何も覚えていないながらゾッとした。
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