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2016年07月12日

世界史の大転換〜常識が通じない時代の読み方〜 佐藤 優、 宮家 邦彦

世界各国でナショナリズムの台頭と思われるような現象が表れるなかで、最近の世界の動向を元・外交官の2人が中東情勢、中央アジア、欧州、アメリカ、中国、そして日本について議論を交わしていくという本です。

佐藤優さんはロシア、宮家邦彦さんは中東の大使館で勤務していた経歴を持つ外交のスペシャリスト。
見識の広さ、世界情勢への理解の深さはそれぞれに専門地域は違えど、ともに凄いものを持っています・・・といっても私の2人に対する理解は、

・佐藤さんについては著書を読んだ(5〜6冊程度?)。
・宮家さんについては「そこまで言って委員会NP」で話しているのをよく見かけていた。

という程度のものです。
また私自身もいわゆる国際問題の専門家でも何でもないので、いくら私が「凄い人です」なんて言ったって説得力は無い訳ですが・・・。

おっと話がそれました。
この本について簡単にまとめておきたいと思います。

どんな本だった?


ひとことで言うと、難しい本です。


何せ知識レベルの高い2人の対談本ですから、テーマに挙げられる国や地域の歴史や文化、人種など様々な事柄を背景にして、それらの事が分かっている前提で議論が進められていきます。

私はたまたま佐藤優さんの本を何冊か読んでいるので、ロシアや中東情勢、キリスト教やイスラム教に関する話が出てくると「佐藤さんの本で読んだことがある話だな」と連想することが出来ましたが、どの程度の人がこの本の内容を本当の意味で理解できるのかなあと正直思いました。

え?
勿論、私も理解なんて出来ないですよ。
さらさらっと1回読んだだけで今この記事を書いていますが、正直なところ、読んで何かを分かったような気になっているだけです。
雰囲気を楽しむとでもいいますか・・・。

だって内容を理解するためには、書中に出てくる単語一つ一つの意味を正確に理解する知識と、2人の文脈を解析して把握できる読解力の2つが必要です。
読解力はともかく、それだけの「知識」を持ちあわせている人はそうそう多くないのではないでしょうか?
何しろ世界が舞台のこの本。
国名はもとより、地域名や人種・民族名、言語名、経済や政治用語など世界的な視野での単語が惜しみなく飛び交っている訳です。

読むことで得られたもの


では、理解できないから意味が無いのか?というと、決してそんな事はありません。

私がこの本を読んだことで得られたことは次のとおりです。

・世界で起きている事象の背景の入門的な知識を得ることができた。
・単純な話ではなく、様々な問題が絡んでいること。
・背景には、単純に国同士の利害関係ではなく、地域や国の歴史・文化、民族が抱える問題など、普段のニュースには出てこない事項が要因となっていること。
・それらを読み解くためにはそれぞれの地域の地勢的、民族的な歴史を知らなければ理解できないこと。

つまりどういう事かというと、

・この本には世界で起きている事象の大きな流れが語られている。
・しかしそれらを読み解くためには、まず背景となる多くの事柄の知識が必要。
・その知識を得るためのヒントがこの本にはつめ込まれている。

という事で、更に論を進めると

・この本に書かれているこの事柄はどういう意味だろう?
・この用語の意味は何だろう?
・どうしてこのような読み取り方が成り立つのだろう?

というような疑問を持ち、実際に自分で調べてみたり、勉強したりすることで本当の理解へと辿り着く事ができる、と言えるのではないでしょうか。

つまり、これは解説本の体を見せながら、実はこの現実世界で起こっている事項を読み解くためのヒント集であり、考える訓練をするための本なのです。

表紙には「一挙に解き明かす!」と書いてあり、確かに「これはこういうことですよね」と解釈が書かれていますが、その内容を本当の意味で理解するためには膨大な知識が必要です。

とにかく刺激がビシビシ伝わってくる、凄い本だなと思いました。

こんな時にまた読みたい


何か世界で事件が起こる度、テレビやネットで流れるニュースを見て何かを思う時があります。
そのニュースだけ、あるいはネットで幾つかの記事を見て、「本当に起こっている何か」を捉えることは難しいのだなということを何となく気付きました。

「なぜこのような事が起こったのか」「どのような影響力を持つのか」という視点から背景となる事象をしっかりと見抜き、それを元に「自分はどう考えるのか」ということを考えなければならないのだな、と思い知らされた感じを強く持ちました。

そんな風に何かを真剣に考えるとき、この本を読み返すことになりそうです。
posted by 霧島もとみ at 2016年07月12日 | Comment(0) | TrackBack(1) | 本:教養
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他人との距離感をいつも遠く感じながら生きてきました。高校の体育祭のフィナーレでは、肩を抱き合って大はしゃぎする光景に「何でこんなに盛り上がれるんだろう・・・?」と全く共感できませんでした。共感できない自分が理解できず、いつも悩んでいます。そんな私でも面白いと思うことはこの世界に一杯あります。それが私の生きる糧でした。面白いことが増えていけば、よりたくさんの人が楽しく生きられるはず。そんな世界を夢見ています。
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