2023年05月20日
本好きは必読です! 「本のエンドロール」 安藤祐介
子どもの頃から本は必需品だった。
本屋はワンダーランド。
海外に行っても必ず書店巡りを
した。
本屋に勤め、店長をしていたこともある。
作家、編集者、店員さん、
本を作る人、売る人の物語も相当
読んできた。
けれど、本を造る、印刷所の話は
初めてだった。
’
この小説は「印刷会社はメーカー」だと
いう矜持を胸に、いくたびのトラブルに
見舞われながらも、営業を続ける主人公、浦本と
本造りにかかわる人たちの物語だ。
‘
書店員、森田和代が言う。
「昔は黙っていても本が売れたんですけどね、
今はそうはいきません。でも、一矢報いたい」
一矢報いる。その言葉が浦本の胸に刺さった。
「そのために私の立場でやれることは、
素晴らしいと思った本を一冊でも多く
売り場から読者の手へ送り出すことです」
「見習いたいです。私の立場でやれることは
よりよい本を造ることです。
浦本は「本を造ること」と言い切った。
森田は何も言わず頷いた。
「なんだか浦本さんとお話をしていると、
当たり前ですが印刷する方や製本する方も
いるんだあって実感します」
’
本を書く人、作る人、配本する人、そして
売る人がいる。
普段は関わり合いがなくても、浦本と森田の
仕事は一本の道で繋がっている。
そう、実感し、また心強く思えた。
こんな文章読んだら、本好きはたまりません。
胸が熱くなって涙が滲みます。
タイトルは、本の最終ページに載っている
奥付のこと。
読み終わって、初めて奥付を意識して
見ました。
作品の最後にとてもオシャレな演出も
魅せてくれます。
出来れば、読み終わってから見て欲しいです。
’
価格:1,012円 |
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