2023年05月19日
小気味いい啖呵。 「脳の闇」 中野信子
著者の本は初めて読んだが、
いやー、ここまで気持ちの良い
江戸前とは思わなかった。
専門の脳についての話も
もちろん面白いが、秀逸なのは、
第六章の「やっかない私」と
七章の「女であるということ」。
フレーズが切れてて、毒もあり
べらんめぇの落語を聞いてるようだ。
印象に残った文節をひく。
女の子扱いされることが大嫌いだった。
幼稚園の頃、大人になったら「およめさん」
と書いた子を心底、軽蔑していた。
どちらといえば、というかむしろ明らかに、
自分はかなり気難しい部類に属する人間で
あると思う。
(中略)
毎日が同じ繰り返しを前提としているような
閉塞的な関係は、自分には向いていない。
(中略)
気難しくしようと思ってしているのではなく、
相手に合わせるためのやる気を出すことが
不可能なのである。
「この相手に合わせることによるメリットは
コストに見合わない」と、勝手に脳が判断
するわけだが、その脳に判断されたら、
それ以上のことはできなくなってしまう。
結婚に向いている人がいる以上、
向かない人もいる。
それを多様性というのであって、
どちらかが優れているというのではない。
けれど論理的で頭がよいでもない一部の
人たちは、社会通念に頭を乗っ取られ、
こうあるべきだと他人を追い詰める快楽に
いつの間にか中毒してしまう。
そんなジャンキーたちに奪われるほど、
自分の人生は軽くないはずだと、
多くの人が開き直ることができると
いいと思うけれど。
……いいなぁ、中野、かっこいいっす。
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