2023年05月17日
何度読んでも、気持ちいい! 「江戸前の男 春風亭柳朝一代記」 吉川潮
芸人を描かせたら天下一の著者が
綴る、柳朝伝。
読むのは5度目くらいですが、
いやー、楽しい。
志ん朝、談志、円楽と並ぶ四天王と
うたわれた柳朝師。
粋でいなせで威勢の良い口調は
まさしく江戸っ子そのもの。
映画にテレビに大活躍で
ハリウッドでフランク・シナトラで共演も
果たし、シナトラにオイチョカブを教えた
のが自慢。
落語好きが高じて、いつのまにか
僕は寄席のプロデューサーや
落語のDVDや本を作るようになった。
たくさんの噺家さんたちも
会ってきたが、芸人さんの洒落で生きる
姿勢、自分の不幸を笑い飛ばす強さ、
時折見せる情けなさ、弱さに惚れ、
人生の手本としてきた。
もちろん落語は生きるバイブルだ。
この小説には、そんな噺家の持つおかしみと
哀しみがいっぱい詰まってる。
とくに好きなのは、こんな場面。
柳朝の師匠、彦六師が談志、円楽とともに
「素晴らしき世界」に出たとき。
談志がいきなり彦六に、
「師匠近ごろだいぶ耄碌したそうで」とかました。
柳朝が、「耄碌じゃなくて彦六だよ」とやり返す。
談志と円楽が「うまいね」と言って喜ぶ。
若い頃、鈴本の楽屋で柳朝、談志、円楽ら前座が
浴衣姿でゴロゴロしていた。
そこへ彦六が入ってきて、
「てめえたち、鈴本に湯治に来てるんじゃねえぞ!」
談志が黒のトックリのセーターに黒の背広の
上下で楽屋入りしたら、彦六すかさず
「マドロスの喪服だね」
収録中、柳朝が彦六に酌をして着物の上に
酒をこぼした。
あわてて自分の手拭いで着物を拭いた。
談志がそれを見て、
「おい、馬鹿に優しいじゃねぇか」
そこで柳朝、
「うん、死んだらこの着物もらうことに
なってるんでね」
すかさず彦六、
「馬鹿野郎、誰がてめえなんぞにやるもんか」
いいねー、この間合い、このやりとり。
「難しいものを簡単に見せるのがプロ」
柳朝師匠の口癖、肝に銘じて
いつも湯上りでのほほんと生きていきたいねー。
綴る、柳朝伝。
読むのは5度目くらいですが、
いやー、楽しい。
志ん朝、談志、円楽と並ぶ四天王と
うたわれた柳朝師。
粋でいなせで威勢の良い口調は
まさしく江戸っ子そのもの。
映画にテレビに大活躍で
ハリウッドでフランク・シナトラで共演も
果たし、シナトラにオイチョカブを教えた
のが自慢。
落語好きが高じて、いつのまにか
僕は寄席のプロデューサーや
落語のDVDや本を作るようになった。
たくさんの噺家さんたちも
会ってきたが、芸人さんの洒落で生きる
姿勢、自分の不幸を笑い飛ばす強さ、
時折見せる情けなさ、弱さに惚れ、
人生の手本としてきた。
もちろん落語は生きるバイブルだ。
この小説には、そんな噺家の持つおかしみと
哀しみがいっぱい詰まってる。
とくに好きなのは、こんな場面。
柳朝の師匠、彦六師が談志、円楽とともに
「素晴らしき世界」に出たとき。
談志がいきなり彦六に、
「師匠近ごろだいぶ耄碌したそうで」とかました。
柳朝が、「耄碌じゃなくて彦六だよ」とやり返す。
談志と円楽が「うまいね」と言って喜ぶ。
若い頃、鈴本の楽屋で柳朝、談志、円楽ら前座が
浴衣姿でゴロゴロしていた。
そこへ彦六が入ってきて、
「てめえたち、鈴本に湯治に来てるんじゃねえぞ!」
談志が黒のトックリのセーターに黒の背広の
上下で楽屋入りしたら、彦六すかさず
「マドロスの喪服だね」
収録中、柳朝が彦六に酌をして着物の上に
酒をこぼした。
あわてて自分の手拭いで着物を拭いた。
談志がそれを見て、
「おい、馬鹿に優しいじゃねぇか」
そこで柳朝、
「うん、死んだらこの着物もらうことに
なってるんでね」
すかさず彦六、
「馬鹿野郎、誰がてめえなんぞにやるもんか」
いいねー、この間合い、このやりとり。
「難しいものを簡単に見せるのがプロ」
柳朝師匠の口癖、肝に銘じて
いつも湯上りでのほほんと生きていきたいねー。
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