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高坂圭
フリーランスの放送作家・脚本家、コピーライター として活動し、33年目を迎えました。 最近は、物語プランナーとして、ストーリーの力で ビジネスをアップするクリエイターとしても活動しています。
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2023年05月17日

女性の気持ちが分かる本。 「自転しながら公転する」 山本文緒

主人公、32歳の都はアパレル勤務。

中卒の寿司職人、寛一と付き合いはじめるが、

あれこれ悩み、決断できない。



職場はセクハラ、頼りない店長と

問題だらけ。

タイトル通り、彼女はぐるぐると自転、

思い悩む。

そして都がたどり着いた結論とは……。



結構長い小説だったが、一気に読了。

話自体はなんてことないけど、

うだうだ考えている32歳女性の

心理描写がとてもリアルで

女性にファンが多いのがよくわかる。



印象的な場面は解説にも書いてあったが、

店の飲み会でひどいセクハラを受けた都が、

後輩のそよかと彼に話を聞いてもらい

帰宅したあと、心情を吐露するシーン。



「羨ましくて爆発しそうだった。

ああいう男性と付き合ってるそよかが

心底羨ましかった。高学歴で、いい会社に勤めていて、

優しくて大人で、冷静に女の人を守ってくれる。

でも自分はああいう人と巡り合える気がしなかった。

自分が巡り合ったのは、寛一だ」



著者はかつて、

「一番残酷なのは普通の人かもしれない」と

いう言葉を記している。

よくわかるよねー。

この小説はそんな作家の視点で描かれているから、

少し痛くて滑稽で傲慢で、でも不安で揺れ動いて、

自信がもてない、どこにでもいる普通の女性を

優しく包み込む力がある。



著者は昨年がんでなくなったそうだが、

作品は残る。

もう少し彼女の小説を読もうと思います。


自転しながら公転する (新潮文庫) [ 山本 文緒 ]

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感想(5件)





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