2023年11月03日
プライムビデオ 「グーグーだって猫である」
むかーし映画館で観たので二度目。
原作は大島弓子の漫画で、小泉の役は
吉祥寺に住む天才漫画家。
残念ながら、吉祥寺の風景と彼女の佇まい以外、
あまり印象に残らない作品だったが、
スクリーンにふんだんに出て来る大島弓子(この映画の
原作)の絵は、とても懐かしく、
いろんなことを思い出した。
’
中学2年の時だった。
妹が読んでる「りぼん」を通して僕は
少女漫画を知った。
可愛い絵とお話、悪人がほとんど出ない
優しい世界に夢中になった。
小学校の頃から、「どうして男はランドセルも
傘も黒なんだろう、もっと華やかな色にしたい」
などと思ってた僕だから、少女漫画のキレイな絵
に魅かれたんだろう。
とくに陸奥A子や太刀掛秀子の作品が好きだった。
あの漫画に出て来る少年に憧れた。
サラサラの髪、細いジーンズ、チェックのシャツ、
ダッフルコート。
恥ずかしい話だが、今の僕のファッションセンスは
あの頃の少年がベースとなっている。
’
恥ずかしいついでにいえば、その頃ひとりの
少女に恋した。
彼女とは小さな学習塾で出会った。
白いモヘアのセーターと大きな目が印象的な人だった。
でも思春期のまっただなか、意識しすぎて
話も出来なかった。
ましてや告白など。
だけどなんとか自分を印象づけたい。
そこでよせばいいのに、思い出したのが
陸奥A子的アプローチだった。
それも勝手に自分の中でアレンジしたバージョン
だけに始末が悪かった。
’
まず塾には必ず遅れて入る。
みんなが一斉に玄関を見る。
もちろん彼女も。
その時くっきりとした印象を残すように、
僕は小道具として真っ白なセーターに
真っ赤なガーナチョコレートを選んだ。
これを何度も繰り返せば、彼女の頭の中に
白と赤のキレイなコントラストを身にまとった
少年が、少しうつむき加減で入ってくる絵が
インプットされるはず。
……はい、どうしようもないバカです。
チョコレートがリンゴに変わることは時々
あったが、僕は白赤コントラスト、うつむき加減
を一週間続けた。
一週間後、いつものように遅れて入って来る
僕の側に彼女がやってきた。
やった、努力は報われる。
俺にも始まるぞ、少女漫画的ラブストーリーが。
そう思った瞬間、彼女がいった。
「高坂さん、いっつも同じもん着てるけど、
他のセーター持っとらんと」
’
以来僕は、「ロマンチック」な気分になった時、
「ひとりよがり、ひとりよがり」と
自分に言い聞かせるようにしている。
グー、グー。
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