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高坂圭
フリーランスの放送作家・脚本家、コピーライター として活動し、33年目を迎えました。 最近は、物語プランナーとして、ストーリーの力で ビジネスをアップするクリエイターとしても活動しています。
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2023年05月16日

24年間は、やっぱり凄い! 「安部公房と私」 山口果林

今、どれだけ安部公房の小説を

覚えている人がいるか、

女優、山口果林を記憶しているか

わからないけど、

著者の真っすぐな、何ら忖度のない

文章に魅かれた。

たとえば、「密会」と題された一節。



未熟な私のどこに、安部公房は

引きつけられたんだろう。

初めての恋人との別れで、激しい

恋愛感情の酔いは、一、二年で冷めるとしても

(中略)

それまで安部公房から得られるものは、貪欲に

吸収したい!

自身のキャリアも高めたいというのが、

当時の私だった。



やがて二人は恋に落ちる。

著者の筆は率直だ。



表参道のアパートで二人暮らした。

セックスの相性も良かった。

面白がる好奇心も同じだった。



でも彼女は売れっ子女優になっていく。

「自分の中に安部公房の存在が定着

し始めるのを感じた」



だから、自分からお金を出すのもいとわない。

それを果林は直截に語る。



「別居してから、一緒の外出時の支払いは私がしてた。

ホテルの支払い時にはそっと私は安部公房に

現金を渡す。たぶんホテル側も察していたのだろう。

私のいる時に請求書を持ってくる。

付き合い始めた時と変わって私が支払うことに

何の違和感も持たなかった。



僕のかつてのガールフレンドが

「男は顔か、才能よね。どちらかがあれば

女は好きになる」と言った。

もちろんそれは彼女の個人的意見だけど、

この本を読んで、「うーん。ありそう」と

唸った。

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