2011年08月31日
フリーメーソンは 「闇の世界政府」なのか?
フリーメーソンとは、一体何者か。
正式な名称はフリー・アンド・アクセプテッド・メーソン。「メーソン」とは、「集団としてのフリーメーソンリーに属する構成員」を指す。その存在は秘密でも何でもない。日本グランド・ロッジは、東京・港区の東京タワーのすぐ隣にビルを構えており、NTTの電話番号案内に問い合わせれば、ちゃんと電話番号を教えてくれる。今年の4月のある日、私はそうやってフリーメーソンの日本グランド・ロッジの電話番号を調べ、連絡をとってみた。電話はあっさりと通じ、片桐三郎氏という広報責任者の方に、拍子抜けするほど簡単にアポイントがとれた。
4月14日、第38森ビルに隣接している、日本グランド・ロッジを訪ねた。片桐氏は、今年70歳になるというが、とてもそうは見えない。この世代には珍しい、ダンディーで気さくな人物だった。
メーソンについてはさまざまなフォークロアがある。まずはその話から切り出した。
たとえば、ケンタッキー・フライドチキンの店頭に立っているカーネル・サンダース人形の左胸についているバッジは、メーソンの高位階をあらわすバッジだという「風説」。どうでもよい噂話に思えるのだが、この話が陰謀マニアにかかると、一挙に飛躍して、「ファースト・フードの蔓延は、日本人の食文化を破壊しようとするフリーメーソンの陰謀である」という妄想にまで膨らんでいくのである。
あるいは、アメリカはフリーメーソン国家であるという「神話」。アメリカの歴代大統領の多くは、メーソンのメンバーだった。また、アメリカの1ドル札にはピラミッドと、その頂上に輝く不気味な一つ目の絵柄が描かれているが、これこそはメーソンのシンボルマークである……。
そして、日本はメーソンによって支配されているという妄想。マッカーサーはメーソンのメンバーであり、戦後の日本国憲法を起草したGHQのメンバーも多くはメーソンだった。戦後憲法の理念の多くは、メーソンの理念である。戦後、皇族や有力な大物政治家もメーソンのメンバーになった等々……。
こうした話は、信頼のおけそうな体裁の研究書にも、安っぽくいかがわしい「ユダヤ=フリーメーソン陰謀論」の本のなかにも書かれていて、信じていいのかどうなのか、確認された事実なのかどうなのか、さっぱりわからない。まずはそうしたフォークロアの数々の確認を求めたのだが−−。
「ああ、カーネル・サンダースさんですか。私、彼が来日したとき、ロッジの集会であったことがありますよ。ええ、彼もメンバーです。彼はメーソンであることを非常に誇りにしていましたね」
片桐氏はあっさりと、「ケンタッキー・フライドチキンの創業者=フリーメーソン説」を肯定したのだった。
「皇族では戦後の一時期、首相をつとめた東久邇宮さんが会員でしたね。自民党初代総裁の鳩山一郎元首相も会員でした。もう昔の人ですから秘密にすることはないでしょう。ただ、鳩山さんが入ったときは最晩年でしたよ。病気がちで動けないというので、当時のメーソンのグランド・マスターが彼の自宅まで出向いていって入会の儀式を行ったのです。
1ドル札のマークですか? ああ、あれも確かに『万物を見通す目』というメーソンのマークの一つです。このマークは、アメリカの国璽(こくじ)にも用いられているそうです。
初代のジョージ・ワシントンをはじめ、米国大統領にはメーソンのメンバーは確かに少なくない。リンカーンもセオドア・ルーズベルトもフランクリン・ルーズベルトもトルーマンも、最近ではフォードもそうでした。確認されているだけで、歴代の米国大統領のうち、15人がメーソンです。アメリカ独立と建国の歴史そのものが、フリーメーソンリーにサポートされているのですから、これは当然でしょう」
正直、驚かないわけにはいかなかった。フリーメーソン「伝説」の多くが事実であり、それをフリーメーソンリーの広報責任者が実にあっさりと認めてしまったのだから−−。
片桐氏に案内されて、地下にある、儀式を執り行なうホールにも足を踏み入れた。円い天井に星があしらわれ、床には市松模様、中央には宣誓のための祭壇、そして正面には<G>という文字が高く掲げられている。確かに壮麗な空間ではある。しかし、そうはいってもやはり、何ということはない、ただのホールにすぎない。とてつもない秘密がこのホール自体に備わっているとはとても思えない。なぜ、ごく最近まで、徹底的に非公開を貫いてきたのか、その理由がかえってわからなくなる。
「昔は何でもかんでも秘密にしていたものです。ロッジの内部も非メーソンには見せませんでしたし、ジャーナリストの方に、私のような人間がこうして率直にしゃべるということもありえなかった。最近になって少しずつ変わってきているんです」と片桐氏は語る。
「私に言わせると、メーソンは非常に頑固で保守的なんです。会員も高齢者が多く、40歳以下は25%くらい。みんなひどく頑固です。僕個人は、伝統は守りつつも不必要に世間の誤解を受けるような秘密主義は変えていった方がいいと思っていますが、そういう考え方の持ち主は、まだまだ少数ですね。この流れを変えるには、ひょっとしたら100年かかるかな、とも思います。そのくらいの保守性はメーソンにはありますよ」
片桐氏は、「自分の個人の話ならば話しやすいから」と言って、自身の体験を語りはじめた。
正式な名称はフリー・アンド・アクセプテッド・メーソン。「メーソン」とは、「集団としてのフリーメーソンリーに属する構成員」を指す。その存在は秘密でも何でもない。日本グランド・ロッジは、東京・港区の東京タワーのすぐ隣にビルを構えており、NTTの電話番号案内に問い合わせれば、ちゃんと電話番号を教えてくれる。今年の4月のある日、私はそうやってフリーメーソンの日本グランド・ロッジの電話番号を調べ、連絡をとってみた。電話はあっさりと通じ、片桐三郎氏という広報責任者の方に、拍子抜けするほど簡単にアポイントがとれた。
4月14日、第38森ビルに隣接している、日本グランド・ロッジを訪ねた。片桐氏は、今年70歳になるというが、とてもそうは見えない。この世代には珍しい、ダンディーで気さくな人物だった。
メーソンについてはさまざまなフォークロアがある。まずはその話から切り出した。
たとえば、ケンタッキー・フライドチキンの店頭に立っているカーネル・サンダース人形の左胸についているバッジは、メーソンの高位階をあらわすバッジだという「風説」。どうでもよい噂話に思えるのだが、この話が陰謀マニアにかかると、一挙に飛躍して、「ファースト・フードの蔓延は、日本人の食文化を破壊しようとするフリーメーソンの陰謀である」という妄想にまで膨らんでいくのである。
あるいは、アメリカはフリーメーソン国家であるという「神話」。アメリカの歴代大統領の多くは、メーソンのメンバーだった。また、アメリカの1ドル札にはピラミッドと、その頂上に輝く不気味な一つ目の絵柄が描かれているが、これこそはメーソンのシンボルマークである……。
そして、日本はメーソンによって支配されているという妄想。マッカーサーはメーソンのメンバーであり、戦後の日本国憲法を起草したGHQのメンバーも多くはメーソンだった。戦後憲法の理念の多くは、メーソンの理念である。戦後、皇族や有力な大物政治家もメーソンのメンバーになった等々……。
こうした話は、信頼のおけそうな体裁の研究書にも、安っぽくいかがわしい「ユダヤ=フリーメーソン陰謀論」の本のなかにも書かれていて、信じていいのかどうなのか、確認された事実なのかどうなのか、さっぱりわからない。まずはそうしたフォークロアの数々の確認を求めたのだが−−。
「ああ、カーネル・サンダースさんですか。私、彼が来日したとき、ロッジの集会であったことがありますよ。ええ、彼もメンバーです。彼はメーソンであることを非常に誇りにしていましたね」
片桐氏はあっさりと、「ケンタッキー・フライドチキンの創業者=フリーメーソン説」を肯定したのだった。
「皇族では戦後の一時期、首相をつとめた東久邇宮さんが会員でしたね。自民党初代総裁の鳩山一郎元首相も会員でした。もう昔の人ですから秘密にすることはないでしょう。ただ、鳩山さんが入ったときは最晩年でしたよ。病気がちで動けないというので、当時のメーソンのグランド・マスターが彼の自宅まで出向いていって入会の儀式を行ったのです。
1ドル札のマークですか? ああ、あれも確かに『万物を見通す目』というメーソンのマークの一つです。このマークは、アメリカの国璽(こくじ)にも用いられているそうです。
初代のジョージ・ワシントンをはじめ、米国大統領にはメーソンのメンバーは確かに少なくない。リンカーンもセオドア・ルーズベルトもフランクリン・ルーズベルトもトルーマンも、最近ではフォードもそうでした。確認されているだけで、歴代の米国大統領のうち、15人がメーソンです。アメリカ独立と建国の歴史そのものが、フリーメーソンリーにサポートされているのですから、これは当然でしょう」
正直、驚かないわけにはいかなかった。フリーメーソン「伝説」の多くが事実であり、それをフリーメーソンリーの広報責任者が実にあっさりと認めてしまったのだから−−。
片桐氏に案内されて、地下にある、儀式を執り行なうホールにも足を踏み入れた。円い天井に星があしらわれ、床には市松模様、中央には宣誓のための祭壇、そして正面には<G>という文字が高く掲げられている。確かに壮麗な空間ではある。しかし、そうはいってもやはり、何ということはない、ただのホールにすぎない。とてつもない秘密がこのホール自体に備わっているとはとても思えない。なぜ、ごく最近まで、徹底的に非公開を貫いてきたのか、その理由がかえってわからなくなる。
「昔は何でもかんでも秘密にしていたものです。ロッジの内部も非メーソンには見せませんでしたし、ジャーナリストの方に、私のような人間がこうして率直にしゃべるということもありえなかった。最近になって少しずつ変わってきているんです」と片桐氏は語る。
「私に言わせると、メーソンは非常に頑固で保守的なんです。会員も高齢者が多く、40歳以下は25%くらい。みんなひどく頑固です。僕個人は、伝統は守りつつも不必要に世間の誤解を受けるような秘密主義は変えていった方がいいと思っていますが、そういう考え方の持ち主は、まだまだ少数ですね。この流れを変えるには、ひょっとしたら100年かかるかな、とも思います。そのくらいの保守性はメーソンにはありますよ」
片桐氏は、「自分の個人の話ならば話しやすいから」と言って、自身の体験を語りはじめた。
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posted by hilde at 10:45| メディアが報道しない日本の真実