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2021年09月06日

俳優の本棚

昔、劇団時代に行ったWSで「民藝ではどんな稽古してるんスか?」と聞かれた事がある。
「別に普通ですよ。」と答えた僕。
勿論、普通ではないのだけれど、昨日今日会った方に軽く聞かれて親身に話す内容ではないし、世阿弥の「秘すれば花」という事もあり、回答を避けた事がある。

では、この「秘すれば花」とは何か?
世阿弥は「風姿花伝」という名著を残していて、その中に書かれている言葉。
勉強が得意じゃない僕は原文では無理なので、現代の能役者が解説している本で学びました。
色んな解釈があるので、気になる方は読んでみてはいかがでしょうか?

このように音楽ばっかりではなく、演劇も勉強している僕ですが、芸談や役者が書いている本を読むのが好きでそこから学ぶ事が多い。

劇団に入っておらず、劇団でどんな稽古をして、どんな事を大切にしているのか気になる方は、そこの役者が書いた本を読むのをお勧めします。

民藝関係であれば、滝沢修、宇野重吉、北林谷栄、大滝秀治、米倉斉加年、日色ともゑ、そして久保栄。
他の演劇関係では山本安英、山崎努、西田敏行、平田オリザ、栗山民也、鴻上尚史。
映画関係だと三木のり平、伊丹万作。
声優関係だと久米明、大塚明夫。
僕はずっと文学座さんがどんな稽古をしているのか気になっていたので、絶版の田中千禾夫『物言う術』を古本屋で購入した事もありました。
(全て敬称略とさせて頂きました。)

今、思いつくのはこの辺りだけれど、他にも勿論沢山出版されている。劇団によって伝わっている本もあるだろう。

演技を勉強するには、戯曲、方法論関係の本も沢山あり網羅するのは大変だけれど、戦中戦後の俳優は無いところで方法論を自ら確立してやってきた訳で今の世代は既存の本から沢山学べてとても有難い環境にあると思う。

改めて本棚のページをめくると、未来の演劇界に託されているように感じる。

戦中は戦争の影響で思うように芝居が出来なかった時代。
今はコロナ禍で思うように公演が打てない時代。


先輩方が乗り越えた様に、僕も読んで乗り越えたい。

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