女優じゃなくて良かった、と。
どのオーディションに行っても女性参加者の方が7:3くらいで多い。では女性の役が多いかというとそうでもない。男性の方が比較的多い。(にしても、何故だろう)
そして女性の方が男性より生きていく上でお金がかかるから日々のやりくりも大変だろうと思う。男性より下着が多いし、化粧品も色々揃えるとなると安くはないだろう。
そしてバイオリズムの変化もある。オーディション日や本番に体調不良が重なると大変だろうと思う。
最近は声優の方が人気らしいから、そちらの世界はもっと大変なんだろうと思う。
こういう状況の中で、役を得るというのは男性より何倍も大変なんだろうと思う。
時々「私の方が出来ますから!」と吹き出しが出ている方がいらっしゃるけれど、この状況を考えると致し方無いのかなと思う。
そして女優の方が肝が座っている場合が多いけれど、ここまでの考察が背景にあるんだろうと思う。
ただ大変と言っていても仕方がない。
もし僕が女優ならどうやっていくかを考えてみようと思う。
・まず養成機関に入って勉強する。
芸術系の大学や劇団の養成所など。
最近はオーディションに行く事が増え、初対面の方と審査員の前でやる機会が増えたけれど、勉強不足が否めない方が多いと生意気ながら思う。
相槌は打てても、セリフが2行になると難しい。自分のセリフが言えても会話にならない。
基礎的な事を最初に学び、それを自分なりに膨らましていく事が大切だと思う。
そしてコンプレックスを無くす効果もあると思う。共演者で「基礎を学んでいない」コンプレックスを抱えている方を時々見かける。その思いをどう解消するかがとても大事だから、持ち続けて良いものだと思うけれど、最初に経験しておいた方が何かと都合が良いと思う。
・何に出たいかで進路を考える。
舞台に出たい、特に常に関わりたいのなら劇団だろうし、映像に出たいのであれば芸能事務所という事になるだろうけど、最近は舞台に強い事務所もあるらしい。劇団制ではない寄せ集めで創るプロデュース公演が多いという事だろう。
線を引かずにどちらもやりたいという事なら劇団の方がいいのかもしれない。だけど人気なのは事務所だろう。
僕ならば自分好みの芝居をやっていて、出演しやすい劇団を選びます。
これまでの経験上、稽古→本番の数の多さ、出番の多さがとても大切だと思う。前回ダメだった事を次の課題にして様々な人と交わる事が成長の鍵になるんだろうと思う。そして成長して魅力ある女優になった際は世間はほっとかないものだから、色んなところからオファーがくるようになるだろうと思う。そうなるまでは自分から色々チャレンジして、人の目に触れる機会を増やす事が大事だと思う。SNSや動画アプリを積極的にやっていくのも現代のやり方なのかもしれない。
芝居に関わりたいから出役じゃなくても気にしないという方もいらっしゃる。プロデュース公演や小劇場界では役者だけれど、演出助手や制作、当日運営をやっている方が沢山いる。
僕も劇団時代にスタッフで沢山公演に参加したけれど、配役される人がいるなかで、どう気持ちを持ち続けるか苦労した。「平気」と言っているコもいたけれど、本当だったのだろうか。「10年やっても目が出なかったら辞めますよ!そうなってもいいようにやってますから!」と言っていたコもいたけれど、10年は疾うに過ぎている。
裏から支える事は勉強になり、無駄になっていないけれど、出役もある程度ないと勉強の成果を実践出来ない。何事もバランスが大事だ。
演る事が目の前にあるのが役者にとっての幸せだと思う。出る事へのこだわりは持っていたいし、出ていないと身体は錆びるように思う。僕の場合は旅公演先で声掛けして勉強会をやり、発表会も企画してやり、ライブ会場を自分で営業して得て、人前に立つ環境を作ったりしていた。出る機会が用意されていないなら自分で工夫する必要があると思う。
僕がこの前出演した劇団チャリT企画さんがWSオーディションをやるらしい。女優さんがいらっしゃるようだけれど、休団中で実働している女優がいない。この前はオーディションや以前の出演者の客演で女優も沢山出演していた。面白い公演を作られているし、僕が芝居一筋の女優なら受けたいところ。
だけどこれを見て劇団員が増えて客演依頼が掛からなかったら寂しいから、ここはスルーしてくださいね。
・目標に向かって生きる
「どういう芝居がやりたいか」ではなく「どういう役者になりたいか」が大切だと思う。
遠回りでも、今はそのような状態ではなくても、自分の山の頂きを考えたり、イメージする事が大事に思う。
・結婚、出産をどうするか
ここが現実的に一番の考えどころだと思う。
やりだした当初はそんな事考えずに夢に向かって走れても同級生が結婚し出産しだしたら、否が応でも悩み事の一つになる。
隣の芝居が羨ましく見えたりもするだろう。
もし自分だったら…こればっかりは縁だからなぁ。昔は女優は結婚するなと言われていたらしい。その根拠は様々だろうけど、実際に子育てと芝居を両立されている女優を多く知らない。
昔、養成所でお金が無いからとサランラップを洗って使っているという女優がいた。
その後彼女は芝居を辞めて結婚し、出産し、都心を離れて子育てしているけれど、それは女優の貧乏は大変だという事を物語っていると思う。
「芝居が出来るなら、他に何もいらない。」そんな漫画の台詞のような想いを持ち続けられるか…初めの一歩を踏み出す人は「自分は売れるはず」と考える一方で現実面も熟慮した方がいいのかもしれない。
やはり、女優じゃなくて良かった。
だけど、尊敬いたします。
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