感想を書き始めたらちょっと多くなったので、二回にわたってお送りします。
・カンテレ
7RULES(セブンルール)
『屋久島高校 演劇部顧問・上田美和』の回
全国大会常連の先生が部員一人しかいない屋久島の高校に単身赴任して奮闘する様子を描いた番組。
部員を他の部から呼んだり、演技指導の為に実際に浜辺に行ったり生徒に寄り添っていて、生徒も一生懸命でとても良かった。
県大会の宝山ホールは僕も何度も立った場所だから懐かしかった。
審査にどのくらい反映されるか分からないが、劇場でやる感覚が欲しいと思った。
僕たちは稽古場や公共施設ですが、皆さんは教室で練習を重ねる。当然大会が行われるホールとは空間が違う。空間が違うという事は残響が違うという事。教室で普通に聞こえていた言葉も残響で聞き取れない事が多い。
舞台を観て「そんなにはっきり言わなくても…」と思う事があるけれど、どのくらいの速さで言えば客席で違和感なく聞こえるかは、ずっとつきまとう命題。演出家が細かく言ってくれたらいいけれど、なかなかそうはいかない。自分を客席にも置く事は物理上出来ない訳だから、演じつつも気をつけ、心掛けるしかない。
動きも勿論、考えないといけない訳だけれど照明が入ると感覚も変わる。
だからこれは許されていないのかもしれないけれど、大会の前に実際にそのホールを借りて練習をしたらいいと思う。特に今はコロナ禍で借りる人が少なく「安価でホールでピアノを弾きませんか?」と大体のホールはやっているから、稽古場として借りるのは安いと思う。
みんなでお金を出し合ってやる価値は必ずあると思います。
同じグラウンドなのに甲子園の魔物に取り憑かれる高校球児のようにならないようにするには場数も重要だと思います。
・NHK Eテレ
青春舞台 2013
高校演劇と言えば、これ!という番組。
全国12ブロックから勝ち上がった高校演劇部の全国大会。その各校の演目のダイジェストや密着、最後には最優秀賞一校が60分ノーカットで放送される。
密着の中で先生からのダメ出しに「心を込めて、気持ちを込めて」というのがあった。その後の生徒の演技はそれを汲み取っての演技ではあったけど、少し力んで大きくやった、という結果になっていた。僕達の現場でもそうだけれども、思春期の生徒に対して顧問の伝え方がとても大事のようだ。今回の事に関するともっと細かく顧問自身が心を込めるとはどういう事だと思っているのかを伝える必要性があると思う。
言う側は簡単だけれども、演る側は具体性を持っていないといけない。
そのセリフの時に具体的に何を考え、どうやるのか。
生徒が悩み考える余白は残しつつ投げかける必要性があると感じた。
この時の第59回全国高等学校演劇大会の会場は今は無き長崎公会堂。
特徴的で色んな思い出がある劇場だったから正面や舞台、搬入口、楽屋、ロビーが映って懐かしかった。
取り壊させて更地になったあと、今はどうなっているんだろう。
高田高等学校の『マスク』に驚いた。
マスクが学校で流行った時の集団心理を描いている。どんだけ未来予知しているんだ!
最優秀賞は大阪市立鶴見商業高等学校「ROCK U ! 」
在日朝鮮人の女子高生が朝鮮学校から高校に来た時のお話。
思春期の悩み、迷いがストレートに描かれている。
関西弁でまくし立てるセリフがところどころ聞き取りづらかったのが残念だった。
舞台ツラ(舞台前側)を見ると収録用のマイクは数本設置されていたけれど、舞台用のマイクはない。多分これは高校演劇ルールとしてマイクなしという事だと思うけれど、客席ではもっと聞き取りづらかったのではないだろうか。
昔、福島に旅公演に行った際にちょうど東北大会が行われていて少し観に行ったが、客席前方では笑いが起こっているけれど、後方にいる観客は何で笑いが起きているのか分からない事があった。これは僕たちの現場でもある事だけれど、出来るならば回避したい。
長崎公会堂は舞台袖にあるボイラーの音がずっとあり、特にセリフは注意が必要な劇場でした。
その注意点を踏まえて全国大会をやるなんて、余程の天才じゃないと出来ない。本番をやっただけでも凄いと思う。
(最優秀賞の収録は後日開催される最優秀と優秀の合計4校が出られる国立劇場の可能性は高い。多分そうだと思う。)
そういえば昔、公会堂は遺体安置所になった事から照明スポットの所に幽霊が出るなんて、噂もありましたっけ。
・NHK Eテレ
青春舞台 2016
第62回全国高等学校演劇大会の会場は広島のJMSアステールプラザ。(ここも立った場所。懐かしい。)
静岡県立伊東高等学校「幕が上がらない」の発想が面白い。
舞台を使わず、幕を降ろした舞台の前や客席を使っての芝居。芝居なかで客席を使うという事は時々あるけれど、客席のみというのはまずない。舞台を使うという固定概念に縛られずにやり切ったのが凄い。
最優秀賞は岐阜県立岐阜農林高等学校「I s(あいす)」。
農業とバスケットを巧みに表現していた。特にバスケの動き、音、ネットを揺らす工夫がうまくいっていた。
主役Sを務めた鶴田琴美さんはインタビューで卒業後に女優を目指すと言っていたので現在が気になった。ちょっと検索してみたら準ミス濃姫に選ばれたり、劇団アルデンテに所属して鶴田のみーこというお名前で活動中らしい。今のお写真を拝見すると親戚の叔父さんのように「大きくなったねぇ」と思ってしまった(笑)。
強豪校で高校の中で演劇部が一番部員が多いとの事。男子生徒も多いらしく、僕の思春期では考えられない。
顧問の先生は多分高校演劇界では有名な先生なんだろう。ダメ出しも的確だった。
ただ「今のセリフ、どういう内容でやった?」というダメ出しが気になった。
結果、気付くという行為をしていないのに「気付いた」とセリフを言っていたから、そこをちゃんとやるように、というダメ出しだった。
この流れはよく見られる事例だけれど、酷い演出家だとハナから馬鹿にした言い方をして、考えていない役者を執拗に攻撃してくる人もいる。
素晴らしい演劇を創る目標で集まっている同士であるならば、みんなの時間をそこで割かず、そんな問答をせずに「今のセリフ気付いていないように見えるから、明確に表現してください」と言えば短時間で済む。
高校演劇も体育会系の部分が見受けられるけど、顧問や先輩は細心の注意を払った方が良いのではないかと感じた。
後編に続く。
そして何度もお伝えしていますが、下記の配信チケット、まだご購入出来ますのでお見逃しなく!
「うちのばあちゃん、アクセルとブレーキ踏み間違えた」☆配信チケット
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視聴は6月27日(日)迄です。
初めての父親役、初めての第一声。
ご覧頂けましたら幸いです。
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