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2022年11月19日

パン粉業界の苦悩を知る≪小麦価格の据え置き≫

#食品業界 #小麦 #パン

今年の10月期の輸入小麦価格は、政府の緊急措置で据え置きになり小麦粉の値上げは回避されたわけですが、4期連続の値上げと予想されていた状況にうれしいニュースでした。

小麦粉を主原料とするパン粉業界にとっても、吉報と言えそうですが実態を聞いてみるとそうではないようです。


あらゆる原料コストが上昇する中で、パン粉業界も「イースト」「油脂」「ショートニング」「包材」「燃料費」などのコスト上昇への対応に苦労しています。

パン粉業界は、従来の小麦粉価格中心の価格政策から、小麦粉やその他原料分を含めたトータルコストの価格政策に転換を図っています。

つまり、僕なんかのように「小麦粉の価格が据え置きになったんだから値上げなんてムリだよ」とメーカーさんをつっぱねても、小麦粉以外のコスト上昇分を製品価格に転嫁し始めているので、我慢できる状態ではないのです。

今回の小麦粉の価格据え置きが、来年にも予定している製品価格改定に影響を与えるのは必至でしょう。

逆に、今回の据え置き政策が、他のコスト分の転嫁としての価格改定の理解を得られにくい状態となったとも言えるんじゃないでしょうか。


パン粉の適正価格は、小麦粉仕入額の4倍と言われていますが、現状は2〜2.5倍程度だそうです。

製品に見合ったコストが十分には吸収できていない状況で、適正価格での販売、適正利益の確保が厳しく、設備更新など再投資もできていないんです。

非常に危機的な状況という認識をしているようです。


パン粉業界は長きにわたって、冷食業界の製品の発展、品質向上に大きな貢献をしています。今後もその技術力、ノウハウなどで、価値ある製品の提供が期待されているわけです。

その期待にこたえるためにも、コストの増分は適正に価格に転嫁すべきでしょうし、発注側もできる限り受け入れて欲しいものです。

まだまだ続きそうなコストインフレ(給与がついてこないけど)ですが、適正利益を確保して収益を改善できるようになれば、価格競争から製品競争へと健全な発展に転換されていくんでしょう。



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