2017年01月08日
物流危機を認識する。日本経済は物流に掛かっていると思う。
繁忙期を終えて、皆様の職場は落ち着きを取り戻したでしょうか?
成人の日と言う事で、この連休の物量もまずまずあるかもしれませんが、我々物流を担う業務関係者の中では、年末付近、頼んだ商品が指定の時間帯や期日に届かなかった!という件は多くなかったでしょうか?
実際、関東・関西方面から東北方面への物流においても、「便が確保できない」「荷物がいっぱいで次の配送日にまわります」なんてやり取りが、例年に比べ多かったと感じます。
それだけ物が動いているのかと思いきや、「ドライバーが足りず、便数を増やせない」という現状がそうさせていた事に気がつきました。
広く物流を見てみると、インターネット通販の拡大などで、宅配便が扱う荷物は年間37億個に達するそうです。その一方で、日本の物流現場では従業員の高齢化や人手不足が深刻になっているというのは、ここ最近の話題でご承知の通り。日本経済を支える物流の危機を考えてみました。
国土交通省の統計によると、2014年度に日本国内で輸送された貨物の距離と重さをかけた量は4150億トンキロメートルなんだそうです。単位にピンとこない方でも、なんとなく「4ケタの億」から膨大な数値を感じると思います。そのうち半分の2100億トンキロがトラック輸送になっています。プラスで、海運の1830億トンキロを合わせると全体の95%を占めます。この2つの業界では従業員の高齢化が進み、人手不足が深刻になっているのです。
影響を受けるのは宅配便などで商品をとどけてもらう消費者だけではありません。農林水産省と経済産業省、国土交通省は昨年12月21日、第1回の「農産品物流対策関係省庁連絡会議」を開きました。物流コストを削減し農家の所得拡大につなげることが狙いなのですが、九州などの産地でトラックを確保できない事態が相次ぎ、早急な対応を迫られていることも理由です。
JA熊本経済連によると、熊本県内の農家は東京や大阪など大都市市場への出荷を前提に野菜などを作っており、出荷量が増える年末などにとりわけトラックの確保が難しくなるのだといいます。
運輸業や建設業は労使協定によって一般職種の労働基準よりも大幅に拘束時間を延ばすことができます。そんな事から、もともと過重な労働が広がりやすい環境にあると言えます。とりわけ長距離を走るトラックの勤務はきつくなる傾向があり、それが慢性的な運転手不足をもたらす背景なのです。
ニュースや新聞などでも目にするように、運転手の過酷な勤務は深刻な交通事故にもつながります。そのため厚生労働省は「運転時間は2日平均で1日9時間以内」「連続運転は4時間以内」「休息は連続で8時間以上」など、労使協定で拘束時間を延長した場合でもこれだけは守ってほしいという基準を定めています。
実は、こうした基準は以前からあったのですが、守っていない企業が多かったのです。しかし、政府の働き方改革などを受け、労働基準監督署は過重な労働を放置する企業の摘発を強化しています。
その結果、九州と東京を結ぶ長距離トラックなどがこれまでの日程で走れなくなってきたのです。中でも産地を回って野菜などを集荷する農産物の輸送は時間がかかり、基準に抵触しやすいといいます。
企業が労働基準を守るのは当たり前のことですが、運転手の不足が一段と深刻になる引き金となっている事を考えると、これまでの物流がそれだけ過度な勤務に支えられていたことの証明となるのだと思います。
消費者はインターネット上に開設した店舗で商品を買う機会が増え、それを即日届けてくれるサービスも広がってきました。ただ、こうした利便性も安定した物流があってこその事。
宅配便をめぐっては昨年、大手の佐川急便の複数の社員が駐車違反の身代わり出頭を知人らに依頼して逮捕される事件も起きました。運転手が配送業務を続けられなくなる事態を避ける目的で、半ば組織的に身代わり出頭が横行していたとみられています。
どんな理由があっても違法な行為は許されませんよね。昨年末には佐川急便の従業員が配送中の荷物を投げつける光景がインターネット動画として投稿され、ニュースでも取り上げられました。
企業が従業員のモラルを維持することも重要であり、そのはざまでどのような改善モデルが生まれてくるのか?必ず抜け出すヒントがあるはずです。
幸いなことに、身の周りにおいての事故などはありませんが、ますます厳しさを増す環境である事は見えています。「いまさら」というネガティブな響きの言葉でも、行動に移すことで「決意」の意味に変わると思います。状況を変えられるのは行動しかないと思うので、私たちも日々の創意工夫で物流の危機的環境を改善していきたいと思います。
まずは、自社のところですけども・・・・
成人の日と言う事で、この連休の物量もまずまずあるかもしれませんが、我々物流を担う業務関係者の中では、年末付近、頼んだ商品が指定の時間帯や期日に届かなかった!という件は多くなかったでしょうか?
実際、関東・関西方面から東北方面への物流においても、「便が確保できない」「荷物がいっぱいで次の配送日にまわります」なんてやり取りが、例年に比べ多かったと感じます。
それだけ物が動いているのかと思いきや、「ドライバーが足りず、便数を増やせない」という現状がそうさせていた事に気がつきました。
広く物流を見てみると、インターネット通販の拡大などで、宅配便が扱う荷物は年間37億個に達するそうです。その一方で、日本の物流現場では従業員の高齢化や人手不足が深刻になっているというのは、ここ最近の話題でご承知の通り。日本経済を支える物流の危機を考えてみました。
実は超過労働に支えられていた
国土交通省の統計によると、2014年度に日本国内で輸送された貨物の距離と重さをかけた量は4150億トンキロメートルなんだそうです。単位にピンとこない方でも、なんとなく「4ケタの億」から膨大な数値を感じると思います。そのうち半分の2100億トンキロがトラック輸送になっています。プラスで、海運の1830億トンキロを合わせると全体の95%を占めます。この2つの業界では従業員の高齢化が進み、人手不足が深刻になっているのです。
影響を受けるのは宅配便などで商品をとどけてもらう消費者だけではありません。農林水産省と経済産業省、国土交通省は昨年12月21日、第1回の「農産品物流対策関係省庁連絡会議」を開きました。物流コストを削減し農家の所得拡大につなげることが狙いなのですが、九州などの産地でトラックを確保できない事態が相次ぎ、早急な対応を迫られていることも理由です。
JA熊本経済連によると、熊本県内の農家は東京や大阪など大都市市場への出荷を前提に野菜などを作っており、出荷量が増える年末などにとりわけトラックの確保が難しくなるのだといいます。
運輸業や建設業は労使協定によって一般職種の労働基準よりも大幅に拘束時間を延ばすことができます。そんな事から、もともと過重な労働が広がりやすい環境にあると言えます。とりわけ長距離を走るトラックの勤務はきつくなる傾向があり、それが慢性的な運転手不足をもたらす背景なのです。
ニュースや新聞などでも目にするように、運転手の過酷な勤務は深刻な交通事故にもつながります。そのため厚生労働省は「運転時間は2日平均で1日9時間以内」「連続運転は4時間以内」「休息は連続で8時間以上」など、労使協定で拘束時間を延長した場合でもこれだけは守ってほしいという基準を定めています。
実は、こうした基準は以前からあったのですが、守っていない企業が多かったのです。しかし、政府の働き方改革などを受け、労働基準監督署は過重な労働を放置する企業の摘発を強化しています。
その結果、九州と東京を結ぶ長距離トラックなどがこれまでの日程で走れなくなってきたのです。中でも産地を回って野菜などを集荷する農産物の輸送は時間がかかり、基準に抵触しやすいといいます。
企業が労働基準を守るのは当たり前のことですが、運転手の不足が一段と深刻になる引き金となっている事を考えると、これまでの物流がそれだけ過度な勤務に支えられていたことの証明となるのだと思います。
現場へのしわよせ
消費者はインターネット上に開設した店舗で商品を買う機会が増え、それを即日届けてくれるサービスも広がってきました。ただ、こうした利便性も安定した物流があってこその事。
宅配便をめぐっては昨年、大手の佐川急便の複数の社員が駐車違反の身代わり出頭を知人らに依頼して逮捕される事件も起きました。運転手が配送業務を続けられなくなる事態を避ける目的で、半ば組織的に身代わり出頭が横行していたとみられています。
どんな理由があっても違法な行為は許されませんよね。昨年末には佐川急便の従業員が配送中の荷物を投げつける光景がインターネット動画として投稿され、ニュースでも取り上げられました。
企業が従業員のモラルを維持することも重要であり、そのはざまでどのような改善モデルが生まれてくるのか?必ず抜け出すヒントがあるはずです。
幸いなことに、身の周りにおいての事故などはありませんが、ますます厳しさを増す環境である事は見えています。「いまさら」というネガティブな響きの言葉でも、行動に移すことで「決意」の意味に変わると思います。状況を変えられるのは行動しかないと思うので、私たちも日々の創意工夫で物流の危機的環境を改善していきたいと思います。
まずは、自社のところですけども・・・・
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