2020年05月18日
5月18日のFX自動売買ソフト M と W
新型コルベットが「伝統のFR」を捨てた理由
2020年1月に開催された「東京オートサロン2020」でのシボレー新型「コルベット」の発表は、大きな話題を提供するものだった。なにしろ、2019年夏に発表されたこの新型コルベットにとっては、これがアジア地域での初公開。ゼネラルモーターズ・ジャパン(GMジャパン)としても、東京オートサロンには初出展だったのである。
それだけじゃない。東京オートサロンは物販、車両販売も可能なため、シボレーのブースには商談エリアが設けられ、同時に全国で予約受け付けを開始。結果的に400台を軽く上回る受注を獲得しているという。この数字、歴代コルベットでは数年かけて売ってきた数なのだから、まさに画期的というほかない。
展示された新型コルベットは、この週末のためだけにアメリカから空輸されていて、オートサロン閉幕後にはすぐに本国に送り返された。コストも手間暇もかかったに違いない。GMジャパンにとってはトライだったが、その甲斐は大いにあったわけだ。
もちろん注目されたのは、そうした舞台装置だけが理由ではない。クルマ自体が、オートサロンを訪れるクルマ好きの目をひくものだったからこそ、今までにないほどの熱い視線を浴びることになったのは間違いない。
766psの先代「ZR1」を上回るパフォーマンスを
いちばんのポイントは、エンジンを車体中央、具体的には2座席のキャビンのすぐ後方に積むミッドシップレイアウトの採用だろう。
1954年に初代モデルが登場して以来、これまでずっと貫いてきたFR(フロントエンジン・リヤドライブ)レイアウトから、通算8世代目にしての転換は世界のスポーツカーファンを大いに驚かせた。
ミッドシップらしさがわかるリヤからのスタイリング(写真:General Motors)
フェラーリやランボルギーニなど、世界のスーパースポーツカーが採用するミッドシップ。それをなぜ今、このタイミングで採用したのかは、2月にラスベガスで開催されたプレス向け国際試乗会の場で、開発陣から直に聞くことができた。
シボレー・パフォーマンスカーズのヴィークルパフォーマンスエンジニア、リードヴィークルダイナミクス・ライド&ハンドリングのスティーブ・A・パディラ氏の答えはこうだ。
「先代コルベットの最高峰モデルだったZR1は、最高出力766psにも達しました。FRレイアウトで受け止められる出力として、限界を極めたと思います。それを上回るパフォーマンス、そして感動を実現するにはミッドシップ化しかないというのが、われわれ開発陣の結論でした」
ミッドシップは、重量物であるエンジンが車体中央近くに積まれるため、前後バランスに優れ、旋回性能が高くなる。しかも、駆動輪であるリヤタイヤにより大きな荷重がかかるから、タイヤのグリップ力をめいっぱい引き出しやすい。つまり、より大きな出力を受け止めることができる。
フロントエンジンのままなら4WD化も一案だが、重量がかさむという欠点がある。これが、世界の名だたるスーパースポーツカーがミッドシップを採用する理由。コルベットも、そこに倣ったのだ。
おそらく、そこにはWEC(世界耐久選手権)などで戦うコルベット・レーシングからの要望もあったのだろう。
モータースポーツの実戦でフェラーリ「488GTB」や、レース用はミッドシップ化されているポルシェ「911」といったモデルと相まみえるには、FRでは限界がきていたのは明らかだった。今やマーケティング上、モータースポーツはコルベットにとって無視できないフィールドなのである。
実際、試乗会場には開発中の車両も展示されていたのだが、2014年には最初のミッドシップの試作車でテストを始めていたという。つまり、先代が出たときには、すでにミッドシップ化は決まっていたわけだ。
OHVが安定感につながる理由
ステアリングを握ってみると、新型コルベットは操舵と同時に旋回が始まるかのような軽快な身のこなしが、まず鮮烈だった。特徴的だった長いボンネットを見ながらのコーナリングより断然、軽快な印象が強まっている。
一方でミッドシップには、速いけれどスピンにいたる挙動変化が速く、ピーキーというイメージもある。ところが新型コルベットは、サーキットを全開で攻める領域ですらも、そうした不安定さをほとんど感じさせない。それはなぜだろうか。
そう思案して行き当たったのは、コルベットのエンジンが伝統のV型8気筒OHVレイアウトを踏襲しているという事実だ。
搭載されるエンジンは6.2リッターV8 OHV 16バルブ(写真:General Motors)
OHVという機構は、高回転化に向かないことなどから今や絶滅危惧種なのだが、一方でエンジンをコンパクト化でき、重心を下げられるという大きなメリットがある。コルベットは後者のメリットを生かすべく、OHVを熟成させながらずっと使い続けてきた。
先代までは、それがフロントエンジン車としては異例なほどのノーズの低さとして結実していたわけだが、搭載位置が変わった新型では、コンパクトで重心の低いそのエンジンが、車両の姿勢変化を抑えてきわめて安定した挙動を生み出すことに貢献している。
しかも、リヤタイヤのグリップがしっかりと発揮されるから、パワーをかけても容易にタイヤが空転することなく、確実に推進力に繋がる。
実際、最高出力495hpにもなる新型コルベットで臆することなくアクセルを全開にできるのは、まさに新採用のミッドシップと伝統のOHVユニットの組み合わせのおかげである。FRレイアウトでは、これだけのレベルの操縦性は実現不可能。ミッドシップ化は大成功といえるはずだ。
これまで日本市場でのコルベットは、マニアックなアメリカ車ファンやコルベットファンだけが選ぶ存在だったといっていい。しかし新型は、まさにポルシェ911をはじめとするヨーロッパ、あるいは日本のスポーツモデルと対等の立場で比較される、比較できる存在になった。東京オートサロンのブースの大盛況ぶりに表れていたのは、そこへの期待の高さだろう。
また、日本のユーザーにとっては、初の右ハンドル仕様での導入になることもトピックとして挙げられる。これはコルベットの歴史上、初めてのことである。
日本上陸は2021年だが待つ価値はある
実はコルベットは今、ヨーロッパでも確実なセールスを獲得している。先に記したWEC、特にル・マン24時間耐久レースなどのモータースポーツでの活躍により、人気が高まっているのだ。
そうなるとスポーツカー大国、モータースポーツ大国のイギリス向けの右ハンドル仕様を作らないわけにはいかない、というのが開発の理由。日本はその恩恵にあずかった形だ。
コルベット史上初となる右ハンドル仕様(写真:General Motors)
デザインマネージャーとして、主にインテリアを手掛けたトリスタン・A・マーフィー氏は「ついでのように作るのではなく、左ハンドルとはしっかり作り分け、最善のものに仕立てている」と自信満々だった。
たとえばポルシェやフェラーリなどの場合、右ハンドル仕様はペダル配置などに、どうしても妥協が生じてしまっているが、さてコルベットはどんな仕上がりになっているだろうか。
期待が高まるところだが、日本上陸は2021年春以降の予定と、まだまだ先。しかし気になった方は、待つ価値は絶対ある。きっと、ここから日本のコルベットの新しい章が始まることになるに違いない。
by 東洋経済オンライン
さて、わたしが
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2020年1月に開催された「東京オートサロン2020」でのシボレー新型「コルベット」の発表は、大きな話題を提供するものだった。なにしろ、2019年夏に発表されたこの新型コルベットにとっては、これがアジア地域での初公開。ゼネラルモーターズ・ジャパン(GMジャパン)としても、東京オートサロンには初出展だったのである。
それだけじゃない。東京オートサロンは物販、車両販売も可能なため、シボレーのブースには商談エリアが設けられ、同時に全国で予約受け付けを開始。結果的に400台を軽く上回る受注を獲得しているという。この数字、歴代コルベットでは数年かけて売ってきた数なのだから、まさに画期的というほかない。
展示された新型コルベットは、この週末のためだけにアメリカから空輸されていて、オートサロン閉幕後にはすぐに本国に送り返された。コストも手間暇もかかったに違いない。GMジャパンにとってはトライだったが、その甲斐は大いにあったわけだ。
もちろん注目されたのは、そうした舞台装置だけが理由ではない。クルマ自体が、オートサロンを訪れるクルマ好きの目をひくものだったからこそ、今までにないほどの熱い視線を浴びることになったのは間違いない。
766psの先代「ZR1」を上回るパフォーマンスを
いちばんのポイントは、エンジンを車体中央、具体的には2座席のキャビンのすぐ後方に積むミッドシップレイアウトの採用だろう。
1954年に初代モデルが登場して以来、これまでずっと貫いてきたFR(フロントエンジン・リヤドライブ)レイアウトから、通算8世代目にしての転換は世界のスポーツカーファンを大いに驚かせた。
ミッドシップらしさがわかるリヤからのスタイリング(写真:General Motors)
フェラーリやランボルギーニなど、世界のスーパースポーツカーが採用するミッドシップ。それをなぜ今、このタイミングで採用したのかは、2月にラスベガスで開催されたプレス向け国際試乗会の場で、開発陣から直に聞くことができた。
シボレー・パフォーマンスカーズのヴィークルパフォーマンスエンジニア、リードヴィークルダイナミクス・ライド&ハンドリングのスティーブ・A・パディラ氏の答えはこうだ。
「先代コルベットの最高峰モデルだったZR1は、最高出力766psにも達しました。FRレイアウトで受け止められる出力として、限界を極めたと思います。それを上回るパフォーマンス、そして感動を実現するにはミッドシップ化しかないというのが、われわれ開発陣の結論でした」
ミッドシップは、重量物であるエンジンが車体中央近くに積まれるため、前後バランスに優れ、旋回性能が高くなる。しかも、駆動輪であるリヤタイヤにより大きな荷重がかかるから、タイヤのグリップ力をめいっぱい引き出しやすい。つまり、より大きな出力を受け止めることができる。
フロントエンジンのままなら4WD化も一案だが、重量がかさむという欠点がある。これが、世界の名だたるスーパースポーツカーがミッドシップを採用する理由。コルベットも、そこに倣ったのだ。
おそらく、そこにはWEC(世界耐久選手権)などで戦うコルベット・レーシングからの要望もあったのだろう。
モータースポーツの実戦でフェラーリ「488GTB」や、レース用はミッドシップ化されているポルシェ「911」といったモデルと相まみえるには、FRでは限界がきていたのは明らかだった。今やマーケティング上、モータースポーツはコルベットにとって無視できないフィールドなのである。
実際、試乗会場には開発中の車両も展示されていたのだが、2014年には最初のミッドシップの試作車でテストを始めていたという。つまり、先代が出たときには、すでにミッドシップ化は決まっていたわけだ。
OHVが安定感につながる理由
ステアリングを握ってみると、新型コルベットは操舵と同時に旋回が始まるかのような軽快な身のこなしが、まず鮮烈だった。特徴的だった長いボンネットを見ながらのコーナリングより断然、軽快な印象が強まっている。
一方でミッドシップには、速いけれどスピンにいたる挙動変化が速く、ピーキーというイメージもある。ところが新型コルベットは、サーキットを全開で攻める領域ですらも、そうした不安定さをほとんど感じさせない。それはなぜだろうか。
そう思案して行き当たったのは、コルベットのエンジンが伝統のV型8気筒OHVレイアウトを踏襲しているという事実だ。
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OHVという機構は、高回転化に向かないことなどから今や絶滅危惧種なのだが、一方でエンジンをコンパクト化でき、重心を下げられるという大きなメリットがある。コルベットは後者のメリットを生かすべく、OHVを熟成させながらずっと使い続けてきた。
先代までは、それがフロントエンジン車としては異例なほどのノーズの低さとして結実していたわけだが、搭載位置が変わった新型では、コンパクトで重心の低いそのエンジンが、車両の姿勢変化を抑えてきわめて安定した挙動を生み出すことに貢献している。
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これまで日本市場でのコルベットは、マニアックなアメリカ車ファンやコルベットファンだけが選ぶ存在だったといっていい。しかし新型は、まさにポルシェ911をはじめとするヨーロッパ、あるいは日本のスポーツモデルと対等の立場で比較される、比較できる存在になった。東京オートサロンのブースの大盛況ぶりに表れていたのは、そこへの期待の高さだろう。
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日本上陸は2021年だが待つ価値はある
実はコルベットは今、ヨーロッパでも確実なセールスを獲得している。先に記したWEC、特にル・マン24時間耐久レースなどのモータースポーツでの活躍により、人気が高まっているのだ。
そうなるとスポーツカー大国、モータースポーツ大国のイギリス向けの右ハンドル仕様を作らないわけにはいかない、というのが開発の理由。日本はその恩恵にあずかった形だ。
コルベット史上初となる右ハンドル仕様(写真:General Motors)
デザインマネージャーとして、主にインテリアを手掛けたトリスタン・A・マーフィー氏は「ついでのように作るのではなく、左ハンドルとはしっかり作り分け、最善のものに仕立てている」と自信満々だった。
たとえばポルシェやフェラーリなどの場合、右ハンドル仕様はペダル配置などに、どうしても妥協が生じてしまっているが、さてコルベットはどんな仕上がりになっているだろうか。
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