2017年12月27日
固定残業代について感じること
早いもので2017年も残りわずかとなりました。意気込んで本ブログを立ち上げたものの、記事を書く時間がないことを仕事を理由にさぼってしまい、大した量・内容の記事を掲載することができませんでした。残された2017年を反省しつつ、来年こそ皆さんの有益になる記事を少しでも多く掲載できるようここに本年最後の記事を書かせて戴くことといたします。
テーマは固定残業代についてです。
最近、ハローワークに出されている求人票には「固定残業代として〇〇円を支給する。」旨の内容が掲載されているものが少なからず見受けられます。事業主側は「毎月残業代の計算をするのはいちいち面倒だし、おおよそこれくらい毎月残業が発生しているからこれくらい支払ってしまえばよかろう。」と考えて運用されているケースがあるのかもしれません。
しかし、固定残業代を安易に導入することは、あとで労働者とトラブルになるもととなることを十分に検討する必要があります。
まず、労働基準法で、事業主は、労働者を法律で定める労働時間を超えて労働させた場合には、所定の計算式で算定した残業代を支払う義務があります。ということはその前提として、事業主には個々の労働者の労働時間を把握する義務がある。ということになります。この点を見逃すことはできません。これは固定残業代を支払っているか否かに関係ありません。
次に、事業主は、労働者に賃金を支払う場合にもいくつか義務が課されています。それは、賃金は「毎月1回、定期に、その全額を」支払わなければならないことです。特に、本件では「毎月1回、全額を」という面で問題が生じる可能性があります。
そもそも、固定残業代という制度が法律上存在する制度ではありません。先ほど述べた理由から実務上の要請で考え出されたものといえるでしょう。
しかし、そうだとしても、法律に抵触する運用は認められないことはご理解いただけると思います。
この点、固定残業代が法律に抵触しないためには以下のような要件を満たしていることが必要とされています。
@ 雇用契約上、賃金に〇〇時間分の残業手当を算入している旨が明確にされていること。
A 賃金支給の際、残業の時間数と残業代の金額を労働者に示すこと。
B 〇〇時間を超えて実際に残業が行われた場合は、別途上乗せして残業代を支給する旨が明確に示されていること。
Aの要件が必要とされているのは、上に述べた事業主の労働時間把握義務からきているためですし、@の要件も固定残業代が残業何時間分に相当するかがわからなければ、比較のしようがないからです。
さらに、Bの要件が必要なのも、もし、超過分を支払わないと、賃金の支払いに当たっての「毎月1回、全額を」という事業主の義務に違反する結果となるためです。従って、残業の少ない月にも固定残業代を支払われている方という理由で、残業の多い月に固定残業代の支払いで済ますということは許されないのです。
実際の裁判でも、セールス手当という名目で残業代の定額払いを行っていたものについて、超過分の残業代の支払いを求めた労働者の主張を認めたケースがあります。
以上のように見てきますと、固定残業代の制度を導入するにあたっては、慎重にも慎重を期さないと思わぬトラブルに巻き込まれてしまうことになりかねないということになってしまいます。
テーマは固定残業代についてです。
最近、ハローワークに出されている求人票には「固定残業代として〇〇円を支給する。」旨の内容が掲載されているものが少なからず見受けられます。事業主側は「毎月残業代の計算をするのはいちいち面倒だし、おおよそこれくらい毎月残業が発生しているからこれくらい支払ってしまえばよかろう。」と考えて運用されているケースがあるのかもしれません。
しかし、固定残業代を安易に導入することは、あとで労働者とトラブルになるもととなることを十分に検討する必要があります。
まず、労働基準法で、事業主は、労働者を法律で定める労働時間を超えて労働させた場合には、所定の計算式で算定した残業代を支払う義務があります。ということはその前提として、事業主には個々の労働者の労働時間を把握する義務がある。ということになります。この点を見逃すことはできません。これは固定残業代を支払っているか否かに関係ありません。
次に、事業主は、労働者に賃金を支払う場合にもいくつか義務が課されています。それは、賃金は「毎月1回、定期に、その全額を」支払わなければならないことです。特に、本件では「毎月1回、全額を」という面で問題が生じる可能性があります。
そもそも、固定残業代という制度が法律上存在する制度ではありません。先ほど述べた理由から実務上の要請で考え出されたものといえるでしょう。
しかし、そうだとしても、法律に抵触する運用は認められないことはご理解いただけると思います。
この点、固定残業代が法律に抵触しないためには以下のような要件を満たしていることが必要とされています。
@ 雇用契約上、賃金に〇〇時間分の残業手当を算入している旨が明確にされていること。
A 賃金支給の際、残業の時間数と残業代の金額を労働者に示すこと。
B 〇〇時間を超えて実際に残業が行われた場合は、別途上乗せして残業代を支給する旨が明確に示されていること。
Aの要件が必要とされているのは、上に述べた事業主の労働時間把握義務からきているためですし、@の要件も固定残業代が残業何時間分に相当するかがわからなければ、比較のしようがないからです。
さらに、Bの要件が必要なのも、もし、超過分を支払わないと、賃金の支払いに当たっての「毎月1回、全額を」という事業主の義務に違反する結果となるためです。従って、残業の少ない月にも固定残業代を支払われている方という理由で、残業の多い月に固定残業代の支払いで済ますということは許されないのです。
実際の裁判でも、セールス手当という名目で残業代の定額払いを行っていたものについて、超過分の残業代の支払いを求めた労働者の主張を認めたケースがあります。
以上のように見てきますと、固定残業代の制度を導入するにあたっては、慎重にも慎重を期さないと思わぬトラブルに巻き込まれてしまうことになりかねないということになってしまいます。
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