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総量規制は意味があるのか?総量規制の効果と矛盾

総量規制が施行され昨日で丸3年が経過しました。総量規制は多重債務者問題が発展し、貸金業者の過剰貸付けの防止も含め規制導入となりましたが、総量規制には賛否両論あり、様々な問題があるのは事実です。


まず第一に、年収の3分の1までしか貸付禁止としていますが、借り手の借入を把握できるのは指定信用情報機関による信用情報のみです。しかし、この信用情報は廃業・倒産となった貸金業者の貸付は信用情報を脱退した時点で消えてしまいます。


例えば、中小消費者金融より、2社で100万借入があったとしても、その消費者金融が廃業・倒産してしまえば、信用情報は消され、まったく借入が無い人と同じ情報になってしまいます。今の消費者金融業界は銀行系の大手しか生き残っていない状態で、中小・地元密着の消費者金融は激減しています。廃業したとしてもみなし貸金業者として回収のみしているケースは多く、信用情報には借入が無くても返済しなければならない借金はあることになります。

又、銀行の消費者ローンは指定信用情報機関に加盟してなければ原則分かりません。銀行カードローンは必ず貸金業者の保証会社が付いている為、保証会社の保証情報である程度分かることになっていますが、今残高が拡大している銀行カードローンの情報は完璧に整備されていない状態です。


そして、仮に銀行カードローンでの借入情報が分かったとしても、銀行は総量規制対象外になりますので、総量規制の年収3分の1の計算に入りません。


このことから、廃業して回収のみ行っている消費者金融から2社100万円借入があったとしても実際には分からず、銀行で消費者ローンを借りていたとしてもその金額は総量規制とは関係ありません。しかし、法律は全ての国民は多重債務者にならないよう貸金業者からの借入は年収3分の1までに規制しましたが、見えない借入、銀行の借入については何もお咎め無しの状態です。


この曖昧な規制に何の意味があるのか?本当に多重債務者の事を考えるのであれば、規制するのは貸金業者だけではありません。多重債務者は必ずしも消費者金融からの借金が全てではないからです。


多重債務のすべては消費者金融だけなのか?

消費者金融の借入原因は確かにギャンブルや交際費・飲み代などの遊び代も多く入りますが、実は住宅ローンの返済の穴埋め目的で借りる人もかなり多いのです。不況の影響で給料は上がらず、残業代カットやリストラにより収入が減った時、一番のネックは住宅ローンの支払です。住宅ローンをボーナス併用で組んでいるならば、なおさら給料の減少の影響は強く、住宅ローンの返済で消費者金融を借りた原因の人は多くいるはずです。


住宅ローン以外にも、車のローン、子供の教育ローン、友人・知人からの借金、クレジットカードのショッピング。全てを含めて多重債務者となるはずなのですが、総量規制はなぜか貸金業者のみを規制対象としました。


それは「消費者金融は金利が高いから多重債務者になる」、「銀行か金利が低いから多重債務者にはならない」との理由が大きいと聞いています。はたしてそれは本当なのか?確かに住宅ローンの金利と消費者金融の金利は全く違います。しかし、消費者金融と住宅ローンを比べるのはおかしく、借入金額の大きさや返済期間を見れば全然違うローンと分かるはずです。


銀行カードローンは確かに消費者金融よりも低金利となりますが、その金利の違いは数%で、それだけで貸金業者の借入が多重債務の原因になるとは考えにくいことです。


総量規制の全てが間違っているとは思いませんが、この規制ができた為に、資金供給ができなくなり、違法なソフトヤミ金、クレジットカードの現金化が拡大している一因となっています。


又、総量規制によって借りれなくなったのは数件借入がある人だけではなく、自身の収入が0円の専業主婦も規制で借入ができなくなりました。多重債務者と借入が無い専業主婦を一括りにするのは分からない話です。専業主婦は配偶者の給料管理をしている場合が多く、多重債務者と違い返済能力は有るはずです。事実、規制が入る前は消費者金融各社もレディースローンに対して力を入れており、それほど専業主婦の返済能力は問題なかった証拠とも言えます。


銀行は総量規制対象外の為、総量規制で借りられなかった資金需要者に積極融資をして欲しい希望はありますが、銀行に個人向け融資のノウハウはあまり無く、結局貸すも貸さないも保証会社の貸金業者次第とも言えます。


問題は総量規制で借りられなかった人がどこに流れるのか?

総量規制で消費者金融の貸付が規制され、総量規制対象外の銀行が受け皿にならなければ、借りれなかった人の一部は違法なヤミ金やクレジットカードの現金化を利用してしまいます。冒頭にも書いたように総量規制は信用情報で借入を把握している中、実際の借金と信用情報にはずれがあり、規制は貸金業者のみの為、本当に意味のある規制になっていません。総量規制対象外を作るのであれば、消費者金融のような庶民金融の対象外を作るべきであり、それが本末転倒と言うのであれば、そもそも総量規制は必要ないのでは?と思ってしまいます。


大きな問題は規制強化により借りられない人がヤミ金へ流れてしまう問題です。ヤミ金は総量規制後も増えていないと言われていますが、借りられない人から需要があるのであれば、問題が表面化することもありません。どうしてもお金が必要になればヤミ金からでも借りたいと思う人は必ずいます。その人はヤミ金から借りた抵抗感よりも、貸してくれなかった貸金業者・銀行への怒りの方が強いのではないでしょうか?


全ての資金需要者が満足できる供給は無理な話ですが、今の曖昧な総量規制の影響で借りられなかった人は多く増え、その人達の受け皿、アフターケアは一切無い状態です。債務整理をしてもそれが根本的な解決にはなりません。


今の貸金業界は苦情・行政処分の減少で健全化が進んでおり、今の曖昧な総量規制を取っ払ったとしても昔のような過剰貸付けが起きるとは思えません。


総量規制には見直し・撤廃の話も出ていますが、現実的に緩和されることは厳しいと個人的には思っています。しかし、このような曖昧な規制では本当に規制する意味があるのか?と誰でも思うはずです。その点だけでも議論に上がればと思います。


※この記事はあくまで個人的な感想です。



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