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以前、オーストラリアで女子大生が自分の銀行口座に間違って入金された5億円を使い込んで逮捕されたという事件が報道されていました。最近の銀行の振込手続きはATMでもインターネットでも、支店番号や口座番号を入力すると相手の口座名義が表示されるため、誤送金が防止できるようになっています。それでも、パソコンやスマホからの処理に不慣れな人がいるせいか、事故の起きることが現在でも少なくありません。

●誤入金されたお金の使い込み
一方、振込ミスによる入金を受けた相手がお金を単に使ったからといって、必ず罪に問われるわけではありません。物販業など、日常的に振込入金を受けている会社であれば、通常の入金分と勘違いするということもあり得ます(5億円の勘違いは認められませんが)。

ただし、入金ミス・誤送金と気付いた後で勝手に使うと犯罪になります。入金ミスによるお金だと知りながら、銀行窓口で振込金を下ろして使うと騙したことによる詐欺罪、ATMで下ろして使うと盗んだことによる窃盗罪が成立する可能性があります。ちなみに、同じ銀行からお金を下ろしたのに罪名が異なるのは、機械であるATMを騙すことはできないので詐欺罪が成立せず、人の了解を得ずに勝手に持ち去るのが窃盗であるため、窓口で受付からお金を渡されると窃盗罪が成り立ちません。

●誤送金したお金の返還処置
受取人が振込金を使っていなければ、時間や手数料(600円〜1,000円)は掛かりますが、銀行による｢組戻し｣という手続きによって返金してもらうことが可能です。仮に、受取人が拒否した場合は、｢不当利得返還請求｣の訴訟を起こす方法もあります。ただし、勝訴したとしても、受取人が返還できるだけの資金を持っていないと実効性が無く、また訴訟費用と時間の無駄遣いになる可能性があります。振込金額次第では諦めることも必要です。

●組戻しの手続き
銀行による組戻しは以下の手順で進められます。
�@振込人が振込元銀行に組戻しを依頼します。
�A振込元銀行が振込先銀行に組戻しの連絡をします。
�B振込先銀行が受取人に組戻しのお願いをします。
�C受取人が組戻しを承諾します。
�D振込先銀行が受取人の口座から振込金額を引き落とします。
�E振込先銀行から振込元銀行に資金の回収連絡が来ます。
�F振込元銀行から振込人に振込資金が返却されます。

�Cの時点で受取人の承諾が得られなければ、処理が停止します。銀行には返還を要求する権利はありません。また、受取人の連絡先が不明ということもあります。

とにかく、間違ったと思ったらすぐに銀行のカスタマーセンター(顧客相談係)に連絡すべきです。組戻しの手続きの仕方は教えてくれます。ちなみに、警察は民事不介入であり、誤送金だけでは刑事事件ではないので対応できません。

なお、振込先の入力の間違いによって他人の口座に入金されるのではなく、該当口座が無いことで振込先金融機関において入金処理ができなかった場合は、自動的に利用者の普通預金口座に振込資金が返却されます。ただし、振込手数料は返金されません。