昔々、遠い山里に、貧しい木こりの次郎という男が住んでいました。次郎は毎日、深い森の中で木を切り、風のささやきや葉のざわめきと共に過ごしていました。彼の暮らしは厳しく、日々の労働の末に得るわずかな収入では、彼自身と老いた母を養うのがやっとでした。それでも、次郎は母が夕方に用意してくれるささやかな食事と温かな笑顔を心の支えにしていました。
ある日、次郎がいつもよりさらに森の奥深くで木を切っていると、不思議な光景に出くわしました。午後の日差しを受けて、まるで山が光り輝いているように見えたのです。その表面は油でぬるぬると光っていました。次郎は驚きと興味からその山に近づき、驚くべきことを目にしました。なんと、その山からは油がしみ出していたのです。油は濃く、芳醇な香りを放ち、石の裂け目に溜まっていました。その姿はまるで黄金のように輝いていました。
次郎の心臓は高鳴りました。このような現象については噂で聞いたことがありましたが、自分がその目で見ることになるとは思ってもいませんでした。彼は慎重に油をひょうたんに集め、急いで村へ戻りました。その晩、薄暗い灯火の下で、次郎はその油を母に見せました。
「こんな油は見たことがないね」と、母は感嘆しながら油を指で触れて言いました。それは滑らかで豊かで、まるで古代の森や隠された秘密の香りが漂っているようでした。「この油を市場に持っていけば、いい値がつくに違いないよ、次郎」
翌朝早く、次郎はその油を村の市場に持っていきました。驚いたことに、商人たちは彼に思ってもみなかった高値を提示しました。次郎は毎日の労働で得るよりもはるかに多くの金を手にしました。その日から次郎は山へ通い、貴重な油を集めては市場で売るようになりました。次郎の収入は増え、彼の質素な家は次第に立派な家具や美味しい食べ物で満たされていきました。
しかし、富はしばしば貪欲の種を育てます。次郎はますます頻繁に山へ通うようになり、以前よりも多くの油を汲み上げるようになりました。油は次郎の欲望に応えるかのように、これまでよりも勢いよく山から流れ出しました。村人たちはその噂を聞き、羨望と疑念の眼差しで次郎を見つめました。
ある日、遠くの町から裕福な商人が村を訪れ、その奇跡の山の話を耳にしました。商人は次郎を訪ね、山そのものを買い取りたいと申し出ました。
「今は油が豊富だが、いつまでも続くとは限らない。山を私に売ってくれれば、お前がもう困ることはないようにしてやる」
次郎は迷いました。その山は彼にとって祝福のような存在であり、彼の人生を変えた贈り物でした。しかし、商人の提案は魅力的で、終わりなき富の約束は彼を誘惑しました。結局、次郎は商人の申し出を受け入れ、取引が成立しました。
商人はすぐに労働者を呼び寄せ、山の麓に壮大な邸宅を建てました。昼も夜も、彼らは油を汲み上げ、樽に詰めて遠方へと運びました。しばらくの間、油はこれまで通り豊かに流れ続け、商人は日に日に豊かさと権力を増していきました。
しかし、山も油も無限ではありませんでした。ある夜、労働者たちが山の奥深くまで掘り進めていると、突然、恐ろしい轟音が響き渡りました。大地が震え、山に大きな亀裂が走りました。その裂け目からは、黒ずんだ油が噴き出しましたが、それは腐敗と死の臭いを伴っていました。
油は土地に溢れ出し、商人の邸宅や周囲の田畑を覆いました。濃厚で可燃性の液体に火がつき、火災が発生しました。空は煙で覆われ、村人たちは恐怖に駆られて家や財産を捨てて逃げ出しました。次郎はこの惨事を目の当たりにし、欲に駆られた自分の行いの結果を目の当たりにして、言葉を失いました。
結局、かつて命と繁栄の源であった山は、貪欲によってもたらされた災厄により、荒れ果てた廃墟と化しました。次郎は全てを失い、心も砕けて、元の質素な小屋に戻りました。静まり返った荒野となった山は、無限の富を求めた者たちが引き起こした破滅を、黙して語ることなく、ただひっそりと立ち続けました。
そして、村は廃墟となり、油の物語も時の中に埋もれていきました。ただ、山から油が溢れ出し、それを欲した者たちが滅びたという警告だけが、老いた者たちの口から伝えられ続けたのです。
ギャグ編
昔々、ある山里に、木こりの次郎という男がいました。次郎は真面目でお人好し、でもちょっと間が抜けたところがありました。母親から「ぼんやりしてたら、山の妖怪に食べられるよ!」とよく言われていましたが、彼の頭の中は「どうやって昼寝をするか」でいっぱいでした。
ある日、次郎はいつものように木を切っていましたが、昼寝に最適な場所を探しながら、知らず知らずのうちにいつもよりずっと奥深くまで入り込んでしまいました。すると、目の前に妙にキラキラと光る山が現れました。次郎は目をこすり、「あれ、これって夢か?」と呟きました。
彼は少し不安になりましたが、「まぁ、夢ならちょっと触ってみても大丈夫だろう」と、その山に近づきました。そこで、山の表面がぬるぬるしていることに気づきます。「うわっ、これは…油?」と手を舐めてみて、思わず顔をしかめました。「苦っ!これ、絶対料理には使えないなぁ。」
しかし、次郎はその油をひょうたんに集め、「これ、ひょっとして何かの役に立つかも」と、村へ持ち帰りました。その夜、彼は母親に油を見せました。
「お母ちゃん、この油、なんか使えると思う?」次郎は期待に満ちた目で尋ねました。
母親はその油を見つめ、真剣な表情で一言、「油っていうより、ただの汚れ水じゃないのかい?」と言いました。しかし次郎は、「そんなことないさ!だって、あの山が光ってたんだよ!」と必死に弁解しました。
「まぁ、それなら明日市場で試してみなさい」と母は微笑みましたが、その後、小さく「また失敗するんじゃないかねぇ…」とつぶやきました。
翌日、次郎は意気揚々と市場に向かいましたが、商人たちは彼の持ってきた油に首をかしげました。「これ、何に使うんだ?」と一人の商人が尋ねました。
次郎は自信満々で答えました。「えっと…これで、ツルツル滑りたい人に売ろうと思って!」
商人たちは大笑いしました。「そんな人いるわけないだろう!」と言いながらも、一人の変わり者の商人が「面白いから買ってやる」と言って、次郎にいくばくかの銅銭を渡しました。
次郎は大喜びで家に帰り、母に「ほら、やっぱり売れたよ!」と自慢しましたが、母は「それは良かったね。でも、もっと他に役立つものを探しに行った方がいいんじゃないかい?」と冷静にアドバイスしました。
その後、次郎は「もっとすごい油が出るに違いない!」と信じて、何度も山へ行きましたが、どんどんと量が増えていき、村にはもう油が必要な人はいなくなりました。ついには次郎も油まみれになってしまい、「もうやめてくれ!」と叫びながら、油まみれの状態で家に帰る羽目に。
母は呆れた顔で「だから言ったでしょ」と言いましたが、次郎は「まぁ、これも一つの経験さ!」と笑い飛ばしました。
そして次郎は、村人たちに「油はもう要らない!」と言われたことで、再び木こりに戻り、今度は昼寝をしないように、そして山の油を掘り出さないように気をつけながら働くことにしました。
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