2017年03月28日
ショーペンハウアー『根拠律の4つの根について』A
前回、根拠律の根が4つの類に分たれる、というところまで説明しました。早速、その4つを順にみていきましょう。
(1) 生成の根拠律(因果律)
客観の諸状態の変化、つまり原因―結果の法則。時間と空間という形式において、前の状態が後の状態に変化したとき、前者を原因、後者を結果とする。ただし物質の生成ないし消滅を考える事はできない。
(2) 認識の根拠律
判断は、その判断とは異なるものを根拠としてもたねばならない。例えば判断の根拠が別の判断であるとき、これは人間特有の概念という領域において、理性によって抽象的に行われる形式的推論である。
(3) 存在の根拠律
空間および時間が、それぞれ位置と連続によって規定される法則。つまり空間と時間の存在を規定する法則であり、ア・プリオリな純粋直観によってのみ理解できる。前回示した三角形の例などに用いられる。
(4) 行為の根拠律(動機づけの法則)
自分の行為の動機に対する「なぜ」は普通の原因と違い、自分の内部から直接的に認識する事ができる。内から見た因果律=動機づけの法則は、根拠律の独特な形態としてあげられる。
隙のない、非常に体系だった4つに思われます。
今後、他の哲学者の考えとも比較していきたいですが、これはこれで非常に説得力があります。特に、通常の因果律は「変化」以外に適用してはならないこと(1)、判断は理性にのみ関わること(2)、空間と時間はア・プリオリであること(3)(カントの学説の応用)を意識して、自分の認識はどの根拠律に則っているのかを、適宜確認していくことは有益でしょう。
さらに注目すべきは(4)で、ショーペンハウアーは動機づけを特殊なものとして位置づけています。動機づけ=内からみた因果性、すなわち「意欲」を、私たち(意欲の主体)はきわめて直接的に認識しています。
こうした考えが、ショーペンハウアーの主著、『意志と表象としての世界』へとつながっていくのです…。
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