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2017年01月07日

衝動篇〈かぐや姫〉三章

一節

ピノキオと分かれたかぐや姫は、
虐めてくれる相手を探します。

強くて賢くて
頼りになる
ご主人様に、
叩いて殴って
縛ってほしい。

どんなに私が抵抗しても、
強い腕で抑えつけて
有無を言わさず征服して欲しい。

自分よりも強い人
それが、かぐや姫が求める
ご主人様なのです。


虐めを願う月の姫、
理想を求めて歩き出す。
ああ、ご主人様はどこ?


Normal

  • 【 ギシン 】タダ虐めるだけデハ駄目なんダ?
  • 【 アンキ 】面倒クサイ。面倒クサーイ!
  • 【 かぐや姫 】私、理想が高いのでしょうか……

Hard

  • 【 ギシン 】虐め方にモ注文があるンですカ。
  • 【 アンキ 】ただ単に痛めるだけでは駄目なんデスか。
  • 【 ギシン 】理想の高い女は嫌われルのにネェ。
  • 【 アンキ 】変態のプライドなんですかネェ。

二節

ふと、昔の事を思い出した。
私はいつから、
虐められたいと望んでいたのかしら?

三節

私は生まれつき、このような
みだらな性格だったのかしら?
それとも成長してからかしら?

四節

おじいさんとおばあさんと
暮らしていた頃は、
こんな思いは抱かなかった。

五節

きっと、多分。
殿方たちに見染められてから、
私はおかしくなったのです。

六節

私を見る卑しい目。
私を欲する獣の目。
その視線にさらされて――
私は初めて快感を覚えました。

七節

強い視線に苛まれ、
醜い欲望を突きつけられて。
私を求めるその欲望が、
堪らなく気持ち良かったのです。

八節

ああ、月に還りたくなどなかった。
もっともっとねめつけられて、
強い腕になぶられていたかった。

九節

もしあの時、地上に残れていたら。
月に還らず地上にいた私には、
別の物語があったのかしら…

十節:前半

信じられない光景を見て
かぐや姫は目を見張りました。
どうして、
そこにいるのでしょうか?

もう1人のかぐや姫は、
優しくたおやかな
笑みを浮かべています。

竹から生まれたかぐや姫。
もしかしたらもう一つ、
赤子を抱いた竹があったのでしょうか?

――その通り。
本の数だけ、
かぐや姫はいるのです。


竹の中から生まれた月の姫。
もしかして、
他の竹にも姫はいたのかな?


Normal

  • 【 ギシン 】アノかぐや姫もヤッパリ変態?
  • 【 かぐや姫 】変態はやめてください!
  • 【 アンキ 】デモ、虐められたそうな顔シテルヨ?
  • 【 ギシン 】ネェ、試しニ虐メテみれば?
  • 【 かぐや姫 】……わかりました。

Hard

  • 【 ギシン 】アッチのかぐやもコッチのかぐやも。
  • 【 アンキ 】みんなミーンナ虐めて欲しい変態サン!
  • 【 ギシン 】ナイトメアでもそれは変わらナイ?
  • 【 アンキ 】ある意味立派なヘンタイさん!
  • 【 ギシン 】自分に虐められて喜んじゃうナンテネ!

十節:後半

もう1人の自分は、
とても満足げな顔で
倒されました。

だって、そうでしょう?
思う存分、虐め抜いて
もらったのだから。

……ずるい
かぐや姫は顔をしかめます。
私だって、もっとなぶって
欲しかったのに、と。

ああ、いっそのこと。
倒された私のようにに染まれたら、
私は私に虐めて貰えるのでしょうか?


かすかに響くすすり泣き。
それは、かぐや姫の羨望。
闇に染まった自分を虐め抜き、
ずるい、ずるいとすすり泣く。

posted by 白の書 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 衝動篇
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