【シノアリス】シナリオ

一節

シンデレラは嘲笑う。
今さら得た命なんて何になる？

どうせなら楽しく使わなきゃ。
自分を馬鹿にした母と姉たち。
優しいだけの間抜けな王子様。
全部ぜーんぶ書き換えよう！

その為には、とても面倒くさいけど。
死者の国からクソ作者に
お出まし願わねば。
それには供物が必要だ。

シンデレラは笑う。
これから重ねる犠牲の数を数えて。

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魂の声に耳を傾けて、
何の為に生きるのか？
何の為に戦うのか？

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Normal

• 【　ギシン　】シンデレラは何を望むデス？
• 【シンデレラ】面白おかしい物語に決まってるだろ。
• 【シンデレラ】そうだな……私が王になるとか？
• 【　アンキ　】灰かぶりが王！？イカれてル！面白い！
• 【シンデレラ】だろ？その為に、邪魔な奴らは殺さなきゃ。

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Hard

• 【　ギシン　】下働きノ娘ガ王になるデスか。
• 【　アンキ　】王子様がイナイと何も出来ナイのにネ？
• 【　ギシン　】デモ、このシンデレラは違うみたいデス。
• 【　アンキ　】物語より皮肉で痛烈デ汚イ灰かぶり。
• 【　ギシン　】サテ、どんな物語を紡いでくれるデス？

二節

灰かぶりと馬鹿にされ、
蔑まれ生きてきた魂が、
簡単に救われるとでも思ってた？

三節

例え誰かに愛されて
幸せな時間を過ごしても、
足蹴にされた過去は変わらない。

四節

心の傷は治らない。
愛や時間が全てを癒すなんて、
甘ったるい幻想を信じてる？

五節

受けた傷はじくじくと広がり
膿んで爛れて腐臭を放つ、
いつか心を蝕むの。

六節

どうして自分だけ我慢する？
傷つけられたら、傷つけ返そう？
同じ――いやそれ以上の痛みを与えよう

七節

歪むのは簡単。
自分の欲望を認めればいいだけ。

八節

邪魔する奴は消せばいい。
出来る限り優しく、
出来る限り苦痛を長引かせて。

九節

ほら見てごらん。
痛みに歪む敵の顔。
ああ――なんて気持ちがいいんだろう！

十節：前半

ふと、鏡を見た。
そこに映る女はとても楽しそうで、
心から今の状況を楽しんでいるらしい。

口元に浮かぶうっすらとした笑み。
歪んだ目元。
そのどれもが美しい。

――ああ、そうだ。
これこそが私の本当の姿――

シンデレラは笑いながら、
次の供物に武器を突きつけた。

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立ち止まって鏡を見てごらん。
今、どんな顔をしている？
きっとそれが、あなたの本性。

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Normal

• 【　ギシン　】敵を殺スの、楽しいデスカ？
• 【シンデレラ】楽しいねぇ。特に騙し打ちは堪らない。
• 【シンデレラ】例えば――こんな風に、ね？
• 【　ギシン　】ピャッ！？首返シテ返シテー！
• 【シンデレラ】あははッ！ほら、もっと必死になりな！
• 【　アンキ　】ウン！気持ちイイほど性格悪いデスネ！！

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Hard

• 【　ギシン　】殺す事ヲ楽しんでイルね？
• 【　アンキ　】命ヲ奪う事ガ心地よいのデスネ？
• 【　ギシン　】虐げらレてキタ分、他人ヲ虐げタイ。
• 【　アンキ　】蔑まさレた分、他人ヲ蔑みタイ。
• 【　ギシン　】イイですネ。もっと嗤ッテ。
• 【　アンキ　】もっとモット嘲笑ッテくれタマエ！

十節：後半

シンデレラは気付いた。
他人を欺く楽しさに。
他人を従える悦びに。
シンデレラは気づいてしまった。

人に足蹴にされて生きてきた。
男の気まぐれな愛で救われた。
それらは全て、クソッタレな作者の都合。

それなら作者すら欺いて
自分に都合の良い物語を書かせよう。

卑劣。
それは、シンデレラを焦がす、
炉の埋み火。

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歪な車輪の音が聴こえる。
それは、シンデレラのかぼちゃの馬車。
人を欺く卑劣な虚飾。