2019年07月02日
融合篇〈シンデレラ〉一章
一節
ニュース速報です。
先ほど港区のビルで爆発事故が
起きた模様です。
付近の方は落ち着いて避難してください。
なお、このビルは
指定暴力団が
運営していたとの情報が入っています。
また、新宿や渋谷でも暴力団の事務所が
あるとみられるビルで爆発が起きており、
警察では大規模な
抗争事件とみて
捜査を進めています。
繰り返します。
先ほど、港区のビルで――
都内では爆発事故が相次いでいた。
これは、その内のいくつかのお話。
お姫様に憧れた女が選んだ、
とある道の話。
Normal
- 【シンデレラ】う……クソッ……頭痛ぇ……
- 【シンデレラ】私は……生きて……いる、のか……?
- 【シンデレラ】シャブが致死量に達してなかった……?
- 【シンデレラ】いや、でもこの光景は……
Hard
- 【 ギシン 】
- 【 アンキ 】
二節
いつの間にか、私は外を歩いていた。
トリップ中に見た黒いバケモノ達が、
そこかしこで人を襲っている。
……ああ、やっぱり私は死んだのか?
三節
まあいいさ。例えこれが、
シャブが見せる夢でも構わない。
こうして生きていると感じられるならば。
――やる事は、ただ一つ。
四節
目的を定めて、私は歩く。
その行く手を阻むように立ち塞がる
黒いバケモノを銃で撃つ。
なんだ、簡単に死ぬんだね?
五節
人目もはばからずに銃を撃つ。
警察なんて知るものか。夢でも現実でも、
私の邪魔をするものは許さない。
死ね。死ぬ。死ね。みんな死ねッ!!!
六節
事務所に顔を出すと、部下達がいた。
その顔は恐怖にひきつっている。
ああ、やけにリアルな夢だ。
そして……なんて楽しい現実だろう。
七節
数分もかからずに全員を血祭りにあげた。
一番信頼していた部下だけを、
最後まで残して。
「ねえ、もう一度私に従う?」
八節
真っ青な顔で頷いた男の太ももに一発。
痛みでのたうち回るその背中に一発。
そうして男を動けなくしてから、
私は事務所に火を付けた。
九節
事務所の奴らをあっという間に
皆殺しに出来る力。
正体不明のバケモノすら殺せる力。
その強さに、私は舌なめずりをした。
十節:前半
燃え盛るビルを見ながら、
私は考えていた。
この力があれば誰かに頼る必要はない。
気に喰わない奴らは自分一人で
叩き潰す事ができる。
――もう王子様はいらない。
「なんだ……最高じゃない」
私を嵌めた部下どもに感謝しなくては。
丸焼けになって死んだ後だけど!
笑いながら私は歩く。
さて、次はどこへ行こう?
これが夢なら、醒めない内に。
これが現実なら、壊れない内に。
夢とも現実ともつかぬ世界で、
女は力を手に入れた。
それは、さながら魔法のようで。
それは、さながら魔薬のようで。
Normal
- 【シンデレラ】クク……どの組から潰そうか?
- 【シンデレラ】いっその事、警察でもいいな。
- 【シンデレラ】私の邪魔をする奴らは全員消してやる……!
Hard
- 【 ギシン 】
- 【 アンキ 】
十節:後半
ニュース速報です。
港区で起きたビル爆発事件ですが、
容疑者の女性が指名手配
されました。
容疑者の名は××××。
このビルに事務所を構えていた
指定暴力団の関係者と
見られています。
また、新宿、渋谷で起きた
爆発についても
この女性が関係しているとみられており、
警察は情報提供を呼び掛けています。
女は進む。
敵対する組を潰し、
提携していた組を潰し、
親と慕う組すら潰して。
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