2017年11月07日
仮面の王 / パラディン
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私が奉公で訪れたのは、とても不思議な国。何万もの「掟」を守り、皆が仮面を被って生活している。その国で孤独に生きる私を救ってくれたのは、ある一人の少年だった。
彼は、掟によって話す事の出来ない私と友達になってくれた。私の顔……火傷跡を見て気味悪がらないでくれた。私にとっての王子様。今では国の王様になってしまったけれど……
彼から想いを告白されたあの日は、私の宝物だ。普段は物怖じしない彼の声が、少し恥じらいを帯びていた。頷く私がどんな気持ちだったのか、仮面で彼には見えなかっただろうけど。
彼との結婚前夜。明日、私が声を出すことを許されたら、最初に彼へ伝える言葉はもう決めてある。言葉の意味を思い返す私の傍らで、彼がかわいらしい寝息を立てた。
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