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2020年07月03日

408.Assassin's Creed Unity

Xbox one アサシン クリード ユニティ



 おはようございます。あるへです。
 本日はこちら「アサシンクリード ユニティ」のレビューです。

 開幕にこう言うのもなんだけど、最近コロナ禍の内なるストレスのせいか、ゲームをしてても細かい引っ掛かりやバグ、思い通りに動かない挙動などちょっとしたことで妙にイライラしてしまうことが多々あって、「アサクリのフリーランとはこういうものだ」という定義をすっかり忘れてしまって、本編をずっとイライラしっぱなしでクリアしてしまったのを思い返すと、結構勿体ない遊び方をしてしまったなぁと反省しています。

 アサクリ初のOneでのデビューということで、街のスケールと広さが一回り巨大になったんですよね。高さのある建物は跳んで走って気持ちいい反面、登り切るのが遅くてイライラ。スティックを行きたい方向に倒しても着地点の吸い込みが半端なく強いので明後日の方向に跳んでしまってイライラ。もちろんそのまますんなり地面に足をつけたいのに余計な壁へへばりつくのもお約束。
 道は道でOneのマシンパワーで大幅に増えた障害物(木箱とか露店とか柵とか)が物凄い密度で密集しているのでまっすぐ走るのも一苦労。ちょっとしたマイナーチェンジとしてフリーラン中にAを押すかBを押すかで、登るか降りるかを能動的に選べるようになったのは結構大きな変更点だと思いました。これによって屋根から往来へ、無様な大ジャンプをせずに非常に素早く降下できるようになったのは大きい反面、何かによじ登るのにAを押すという操作が増えてしまって(押さないと登ってくれない)、フリーランの操作がやや煩雑になってしまった感も。

 そうそう密度といえば人の密度がすごい(笑)
 このご時世不安になるくらいどのエリアに行っても人人人……。

 さらにストレスを加速させたのが、シリーズ随一高いと思われる戦闘難易度。
 アサクリって無双ゲーな側面があって、並み居る敵をバッサバッサと屠っていくのが気持ちよかったのですが、受け流しできない強攻撃を結構な素早さで仕掛けてきたり、至近距離でも銃を撃ってきたり、何より主人公アルノの攻撃モーションには他のアクションへ移れない硬直時間が長めにあって、対応するボタンを押しても反応できないことが多いんですよね。
 そんなわけで一戦交えればほぼ被弾し、薬の使用は免れないような割と理不尽な難易度が私を苦しめました。
 高性能な防具を身に着けていないと銃は痛くて薬の消費がマッハなんですよ。

 でもって本作は消費アイテムの物価、特にその薬の値段が高めに設定されていて、意外と懐事情はかつかつでした。ゲームをコンプしてもまだ全ての装備を揃えられないくらい。まぁ、性能には格差があるのでたいていはプレイスタイルに合わせた一張羅を用意すればあとはコレクションなんですけどね。
 個人的にはこれくらいの金銭事情がちょうどよかったと思います。今までが貯まりすぎて使いきれませんでしたからね。

 でもって戦闘も難しけりゃ(難しい、というよりはストレスになるほうが大きいかな。なんだかんだで金欠に喘ぐほどではなかったので)ステルスもシリーズ中一番難しいと思います。
 なんだってもう敵の勘が良すぎる。
 一瞬敵の視界に姿をさらしただけでもうラストノウンポジション。家の壁を登り始めた瞬間に狙撃兵に見つかって、屋根に到達する前に撃たれる始末。
 これにはもう辟易しましたね。
 かといってこのラストノウンポジションを生かそうとしても、全然敵が寄ってきてくれないのでカバーキルも思ったほど狙えない。

 なんでこんなに鬼畜仕様になってしまったかといえば、もうマルチの弊害としか言いようがないです。ほとんどのコンテンツがマルチプレイ前提の調整。
 本作はOneのマシンパワーを生かすために、メインミッションといえどもマルチプレイが可能になり、フレンドとの共闘を推し(まくっ)た作品です。
 こちらが姿をさらして周囲の敵の視線が一か所に集中している間に、仲間が後ろから奇襲を仕掛ける、というのが大雑把なコンセプトになるので、ソロがこんなに難しくなっちゃったんですよね。
(そんな感じで本作の主人公は、性格付けやキャラ立ちににしてもゲームそのものの操作性や爽快感をとっても、シリーズ一貧弱かつ未熟なアサシンだと思ってます。ゲーム中では多少持ち上げられることがあっても素直に納得できない 笑)

 開発側も、「それはわかってるよ」と言わんばかりに、今回のチャレンジ(他シリーズでいうフルシンクロ)には「敵に見つかるな」とか、アイテムをスリ盗るのに殺すな、とか華麗にパルクールしながらターゲットを追えとかいう神経を尖らせるようなものがほぼ無かったのが幸いでした(マルチ中にそんなんやっちゃったら友情崩壊待ったなしだもんね)。
 アイテム(薬と煙幕)の物量で正面からごり押して、見つからずにスリ盗るのが面倒だから殺してから奪い取る、というのも一つの戦術として認めてもらえたのは嬉しい反面、本作のゲームプレイ体験はずいぶんと大味なものになってしまったのが残念でもありました。

 ただ、プレイも終盤になって比較的あらゆるものの密度の低めなベルサイユに、残したものを収集しに行ったり、DLCであるDead Kingは、本編と比べてもかなり「アサクリ感」があって、一度気持ちをリセットして、アサクリってこういうものだったなぁと思いだした私は結構楽しんでプレイできました。
 Dead Kingは大規模な地下のお墓とその上に建つ街がコンセプトで、地下墓地の仕掛けを解いたりするのがとてもアサクリ的。

 フリーランシステムって、「自由」ってイメージがあって跳んだり跳ねたり気持ちいい!ってイメージがあるけど、個人的には非常に癖のあるシステムで、これをしっかり生かすにはマップデザイン、レベルデザインが非常に重要だと思ってます。
 そういった意味では3、4、ローグあたりが本当に熟成していた頃で、本作はまた振り出しに戻ってしまったかのよう。
 んー、なんだろうな。360からOneになって様々なシステム的な制約が解けて、当時の街並みの再現の方に力を入れすぎちゃった感じ。結果として窮屈で動きにくいマップに。

 巨大といえども大きな街一つになってしまって、ほとんど自然がなく家ばかり。フランス革命は知れば知るほど「偉い人たち」ではなく「民衆」そのものが野蛮で理性のタガが外れた人間の底知れない醜さ、みたいのが全面に出てしまっていて、奇麗な街並みとは反して案外暗い雰囲気だったりします。
 そんな中、騎士団も教団も今までのシリーズを通してみればずいぶんと脱線気味で、どうにもお話が空虚な感じになっています。
 ローグでの「最も暗いストーリー」のキャッチフレーズはユニティの方がふさわしいんじゃない?

 そんなあれこれが絡み合って、本作は悪い意味で先祖返りしてしまった、というのが私の感想ですかね。アサクリ1のリマスター、みたいな(笑)

 あ、そうそう。悪い所が目立つ本作ですが、いい所もあるんですよ。

 まず、誤字がほぼ無いです(え)。
 ええ……。逆に不安になるくらい完璧なローカライズで、ショーンの意味不明な皮肉さえなかったら花丸あげちゃうよ。
 それに、繋がりにくいとはいえマルチには人がちらほらいて、全部の共闘ミッションを二人ないし四人でクリアすることができました。
 さすがに強奪ミッションは人がいませんけどね。やってみればわかる(笑) 共闘ミッションのほうがはるかに面白いんで、まぁしょうがないかな。
 なんだかんだ言ってマルチは楽しい。今まで遊んできたどのアサクリのマルチプレイも、その時点ではまだ人がいて遊ぶチャンスがありました。これは偏(ひとえ)にアサクリのマルチが唯一の体験であり、面白さのエッセンスを秘めたアイデアが大事に生かされているからだと思います。そういう点では本当に素晴らしいのだけれど。
 それを下支えする快適性や操作性という点では、技術力不足は否めない。ま、そういうところ洋ゲーらしいっちゃらしいんですけど。

 パリの街並みが当時の世相と相まってあまり好きにはなれないのですが、それを助長しているのが殺人ミステリー。
 結構えぐい殺され方をしてる死体(描写であって見た目はおぼろ)があったりして、その殺人犯をミステリーゲームよろしく突き止めるわけです。
 これはほとんど戦闘が絡まず、今までに集めた証拠を整理して、自分で犯人を推理する必要があります。
 このミッションは結構楽しかった!
 ちょっと理不尽なところもあれど、間違えても特にデメリットはないし、最後に完璧な筋立てをデータベースとして表示してくれるので普通に楽しめました。
 だからこそこの時代の人間の狂気が渦巻いていて、一層このオープンワールドの雰囲気が暗くもなってるんですけどね。

 フリーロームは楽しかったです。敵の拠点とか警戒地帯でなければ狙撃兵はまずいないので気楽でした。地味に建物の中という概念も新しい要素なので、宝の半数は屋内にあるんですよね。巨大な建物とか、無数にある窓の中から開いてるものを探して侵入するのは、楽しい反面、なかなか見つからないとうんざりするものも。建物内もインタラクトできる扉、できない扉が混在していて、一つの迷路になっているので、本作はホント、その時の気分によってだいぶ印象が変わってくる不安定なゲームです。


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